令和8年度税制改正に対応

「1億円の控除限度額」とは何か(取引先1社あたり・税込みで判定)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

一のインボイス発行事業者以外の相手からの課税仕入れの合計額(税込み)が、その年または事業年度で1億円を超える場合、超えた部分については免税事業者等からの仕入れの経過措置(7・5・3割控除)を適用できません。改正前の上限は10億円でした。判定は取引先1社ごと・税込みで行い、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。自社の当てはめは税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 上限額は1億円。改正前の10億円から引き下げられた。
  • 判定は「一の」相手ごと、つまり取引先1社あたりの合計額で行う。会社全体の合計ではない。
  • 合計額は税込みで判定する。税抜きで数えると結論が変わる場合がある。
  • 適用は令和8年10月1日以後に開始する課税期間から。控除割合の切り替え(日付基準)とは基準が異なる。

経過措置に「上限」が付いた

インボイス発行事業者でない相手から仕入れた場合でも、支払った消費税相当額の一定割合を仕入税額控除できる経過措置があります(令和8年10月1日からは70%)。

令和8年度税制改正で、この経過措置に金額の上限が設けられました。上限を超えた部分は、経過措置の対象から外れます。

国税庁の資料には、次のように示されています。

一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で1億円(改正前:10億円)を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、本経過措置の適用を認めない

押さえる点は4つ

論点内容
金額1億円(改正前は10億円)
判定の単位「一の」相手ごと=取引先1社あたりの合計額。会社全体の合計ではない
集計の方法税込みの合計額で判定する
適用時期令和8年10月1日以後に開始する課税期間から

「一の」=取引先1社あたり

条文の書き方は「一の適格請求書発行事業者以外の者からの」です。インボイス発行事業者でない相手ごとに、その相手との課税仕入れを合計して判定します。

インボイス発行事業者からの仕入れは、そもそもインボイスの保存で控除できるため、この判定には入りません。

「税込み」で数える

国税庁の令和8年度税制改正特集のページでは、判定の対象を「課税仕入れの合計額(税込み)」としています。

税込みか税抜きかで結論が変わる帯があります。たとえば税抜きで9,500万円の仕入れは、税込みにすると1億450万円となり、1億円のラインを越えます。集計の方法をどちらにするかで判定が入れ替わるため、この点は特にご注意ください。

割合の切り替えとは「基準」が違う

同じ経過措置の話でも、適用の始まり方が異なります。

何が変わるかいつから
控除割合が80%→70%になる令和8年10月1日(日付が基準)
1億円の控除限度額令和8年10月1日以後に開始する課税期間から

12月決算の法人であれば、令和8年10月1日以後に開始する課税期間は令和9年1月からの期です。つまり令和8年中は控除割合だけが70%に変わり、1億円の上限は令和9年1月開始の期からという順序になります。自社の課税期間での当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。

確認しておきたいこと

  • インボイス発行事業者でない取引先が、それぞれ年間いくらか(税込み)
  • そのうち1億円を超える相手があるか
  • 自社の課税期間が、いつ令和8年10月1日以後に開始するか

金額の見当は試算ツールでつけられます。区分や申告での取扱いについては、税理士または税務署にご相談ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者1億円の上限という話を聞いた。うちの仕入れは年に3億くらいあるが、関係あるのか。

制度の事実この上限は、インボイス発行事業者でない相手からの課税仕入れについてのものです。国税庁の資料では「一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額」が1億円を超える場合とされており、相手ごとの合計で判定します。インボイス発行事業者からの仕入れはこの判定に入りません。自社の取引の当てはめは税理士または税務署にご確認ください。

経営者取引先ごとに1億円ということは、免税の相手が5社いれば5億円まで大丈夫ということか。

制度の事実国税庁の資料の書き方は「一の」相手ごとの合計額です。相手ごとに判定するため、ある1社との合計が1億円を超えなければ、その相手についてはこの上限に当たらないことになります。ただし実際の申告での区分や計算方法については、税理士または税務署にご確認ください。

経営者1億円は税抜きの金額で数えればいいのか。

制度の事実国税庁の令和8年度税制改正特集のページでは「課税仕入れの合計額(税込み)」と示されています。税込みで判定するため、税抜きで数えると判定が変わる場合があります。自社の帳簿でどう集計するかは税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

1億円は会社全体の仕入れの合計で判定するのですか?
国税庁の資料では「一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額」とされています。インボイス発行事業者でない相手ごとに合計する形です。会社全体の合計ではありません。自社の取引での当てはめは税理士や税務署にご確認ください。
1億円は税抜きですか、税込みですか?
国税庁の令和8年度税制改正特集のページでは「課税仕入れの合計額(税込み)」と示されています。税込みで判定します。
上限を超えたら、その相手からの仕入れは全部控除できなくなるのですか?
国税庁の資料では、適用が認められないのは「その超えた部分の課税仕入れ」とされています。1億円までの部分と超えた部分の区分や実際の計算方法については、税務署または税理士にご確認ください。
いつから適用されますか?
国税庁の資料では、控除限度額の見直しは令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されるとされています。控除割合の80%から70%への切り替えは日付を基準としており、こちらとは基準が異なります。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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