消費税で、いま変わること
2割特例の終了を中心に、令和8年度税制改正で消費税がどう変わるかをまとめています。
最終更新: /数値は国税庁など一次情報で照合
いちばん大きい変更は「2割特例の終了」
2割特例は、免税事業者からインボイス発行事業者になった人などが、売上に係る消費税額の2割を納めればよい、という負担を軽くする特例でした。 これが令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終わります。
終わったあとは、要件を満たす個人事業者は令和9年分・令和10年分の3割特例、または本則課税・簡易課税で計算します。 法人(12月決算)は令和9年分から特例が使えず、本則課税か簡易課税になります。この切り替わりで、納める消費税の見込みが変わります。
くわしく知る(解説記事)
2割特例の終了と、そのあとの計算
2割特例がいつ終わり、そのあと個人・法人で計算方法がどう切り替わるか。
- 2割特例はいつ終わる?終了時期を課税期間ごとに整理消費税の2割特例(納付税額を売上税額の2割にできる経過措置)は令和8年9月30日までの日の属する課税期間で終了します。個人・法人それぞれの最後の適用時期を国税庁の一次情報で整理します。
- 2割特例が終わると税額はどう変わるか2割特例の終了後、消費税の納付税額がどう変わるかを、3割特例・本則課税・簡易課税の計算の違いから整理します。国税庁の一次情報にもとづく解説。
- 2割特例の対象になるのは誰か(対象者の判定)消費税の2割特例の対象者を、国税庁の要件にもとづいて整理します。インボイス登録で課税事業者になった小規模事業者が中心で、基準期間の課税売上高などの条件があります。
- 3割特例の「確定申告書への付記」とは何か(付記がないと適用されません)3割特例は、適用を受けようとする場合に確定申告書へその旨を付記する必要があります。国税庁の一次情報をもとに、付記の位置づけと対象者・対象年分を整理します。
- 3割特例が使えない8つのケース(国税庁Q&A 問115-2)個人事業者でも3割特例を適用できない課税期間が8つあります。国税庁のQ&A問115-2が挙げる①〜⑧を原文どおりに整理し、基準期間1,000万円の判定が税込か税抜かで変わる点、特集ページの「主な適用要件」3項目だけでは特定期間が抜ける点まで扱います。
- 個人事業主向け:2割特例終了後の消費税まとめ個人事業主に向けて、2割特例の終了、令和9・10年分の3割特例、令和11年分以降の本則・簡易課税までの流れを、国税庁の一次情報でまとめます。
- 法人向け:2割特例終了後の消費税まとめ法人に向けて、2割特例の終了と令和9年分からの特例消滅、本則課税・簡易課税の選択までを国税庁の一次情報でまとめます。個人事業者との違いに注意して整理します。
- 2割特例の終了後、免税事業者に戻れるかインボイス登録をやめて免税事業者に戻れるかどうかを、登録の取消しと基準期間の課税売上高、2年しばりの観点から国税庁の一次情報にもとづいて整理します。
簡易課税・本則課税の選び方
どちらで計算すると納付額を小さくできそうか。届出書の期限の特例も。
- 簡易課税と本則課税、税額が小さいのはどちらかの考え方2割特例の終了後に選ぶことになる簡易課税と本則課税について、どちらの納付税額が小さくなるかを見分ける考え方を、国税庁のみなし仕入率にもとづいて整理します。
- 3割特例と簡易課税は何が違うか(国税庁Q&A 問117-3・還付の注意点つき)3割特例は納付税額を売上税額の3割とする計算、簡易課税は事業区分ごとのみなし仕入率で控除する計算です。国税庁Q&A問117-3の記載にそって両者の違い、届出書の期限の特例、5,000万円の要件と2年間の継続適用、そして「簡易課税・3割特例では通常還付が生じない」という注意点を整理します。
- 2割特例・3割特例と簡易課税は、どの率で入れ替わるか(80%・70%とみなし仕入率の比べ方)2割特例の特別控除税額は売上税額の80%、3割特例は70%と条文で定められています。簡易課税の控除はみなし仕入率(90%・80%・70%・60%・50%・40%)です。1種類の事業だけを営み、売上げに係る対価の返還等がない場合、控除される金額の大小はこの率の比較だけで決まります。入れ替わる境界がどこにあるか、そして率だけでは決まらない要件・期間・還付の論点を、国税庁とe-Gov法令検索の一次情報で整理します。
- みなし仕入率の事業区分はどう見分けるか(第4種と第5種の境界・加工賃・固定資産の売却)簡易課税制度の事業区分は第1種から第6種までの6つで、みなし仕入率は90%・80%・70%・60%・50%・40%です。判定は原則として課税資産の譲渡等ごとに行います。第4種と第5種の境界にある飲食店業、第3種から除かれる加工賃その他これに類する料金、第4種になる固定資産の譲渡、事業ごとに区分していない場合の取扱いを、国税庁タックスアンサーNo.6509・No.6505の記載で整理します。
- 簡易課税の届出は、あとから出せる場合があります(提出期限の特例)消費税簡易課税制度選択届出書は原則として課税期間が始まる前に出しますが、2割特例・3割特例を受けた事業者には提出期限の特例があります。令和8年分に2割特例を受けた個人事業者が令和9年分から簡易課税で計算する場合の期限(令和10年3月31日・金曜日)まで、国税庁の一次情報で整理します。
- 課税事業者選択届出書と、2割特例・簡易課税の関係消費税課税事業者選択届出書を出して課税事業者になった場合でも、2割特例は適用できるとされています。ただし課税事業者となった後2年以内に一般課税で調整対象固定資産を取得すると、2割特例が使えない課税期間が生じます。国税庁の一次情報で整理します。
インボイスの経過措置(仕入れる側)
免税事業者からの仕入れを何割控除できるか。帳簿の書き方・1億円の限度額まで。
- インボイスの経過措置の全体像(2026年以降)2割特例・3割特例・免税事業者からの仕入れの控除割合・簡易課税の届出期限の特例まで、令和8年度税制改正後のインボイス経過措置の全体像を国税庁の一次情報で整理します。
- 免税事業者からの仕入れは何割控除できるか(8割→7割→5割→3割→0)インボイス発行事業者でない相手から仕入れた場合、消費税相当額のうち控除できるのは一定割合だけです。令和8年10月からの70%を含む控除割合の推移と、切り替えの時期を国税庁の一次情報で整理します。
- 7・5・3割控除を受けるための帳簿・請求書の保存要件(「80%控除対象」の記載)免税事業者等からの仕入れで7・5・3割控除を受けるには、帳簿に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」の記載が必要です。帳簿4項目・請求書等5項目と、記号による代替、受領者による追記が認められる範囲を国税庁のQ&A原本で整理します。
- 「1億円の控除限度額」とは何か(取引先1社あたり・税込みで判定)令和8年度税制改正で、免税事業者などからの仕入れの経過措置に1億円の上限が設けられました。判定は取引先1社あたり・税込みの合計額で行い、令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用されます。国税庁の一次情報で整理します。
- 令和8年9月30日をまたぐ取引は80%か70%か(判定は「課税仕入れを行った日」)免税事業者等からの仕入れの控除割合が80%から70%に切り替わる境目は、原則として請求日でも支払日でもなく「課税仕入れを行った日」です。取引の種類ごとにその日がいつになるかを、消費税法基本通達の原文で整理します。
インボイスの登録・取消
発行事業者の登録申請の進め方と、登録をやめる手続き。
よくある誤解
思い込みで損をしないための、つまずきやすい論点。
そのほかの解説
- コピー機や社用車のリース料を、毎期の支払分だけ控除していいのか(原則は引渡しの日に一括。賃貸借処理なら分割も認められています)リース取引による課税資産の譲り受けが課税仕入れに該当する場合、課税仕入れを行った日は資産の引渡し等を受けた日です。ただし所有権移転外リース取引で賃借人が賃貸借処理している場合は、支払うべき日の属する課税期間の課税仕入れとすること(分割控除)も認められています。国税庁は、分割控除を選んだ後に控除の時期を自由に動かすことは認めていません。消費税法基本通達11-3-2と質疑応答事例の原文で整理します。
- 簡易課税でも、売上税額の積上げ計算は選べます(使えなくなるのは仕入税額の側の3つの方法です)消費税法37条1項が「これらの規定にかかわらず」と読み替えているのは、第30条から第36条までで計算する仕入税額の側です。売上税額の積上げ計算は消費税法45条5項に置かれており、同項は適用できる者を「第一項の規定による申告書を提出する事業者」で適格請求書等の写しを保存している場合としていて、簡易課税制度を適用している事業者を除いていません。国税庁の法人用「申告書(簡易課税用)の書き方」も、積上げ計算を適用する場合の記載方法の参照先を案内しています。設例5と設例4という実際の記載例も公表されています。条文と国税庁の資料の原本で確かめます。
- 令和8年9月30日をまたぐ対価は、期間で按分するのか(国税庁の設例は役務の提供について「全額70%」としています)9月21日から提供を受けた役務が10月20日に完了した場合、国税庁インボイスQ&A問113-3は令和8年10月20日が課税仕入れを行った日となることから70%の割合を用いると記載しています。9月分を80%で按分する計算はしていません。一方、商品の仕入れについては引渡しの日ごとに80%と70%に分かれるとしています。按分が起きる場合と起きない場合の違いを原本で整理します。
- 同じ短期前払費用でも、令和8年のインボイスの資料と2019年の税率の資料は答えが逆です(国税庁 問113-4 と 問7)3月決算法人が毎年1月に1年分の保守料金を払い短期前払費用として処理している場合について、国税庁 インボイスQ&A 問113-4【令和8年4月追加】は、1年間分の保守料金全額について仕入税額相当額の80%の割合により経過措置の適用を受けることとして差し支えないと記載しています。一方、2019年(8%から10%)の経過措置Q&A【具体的事例編】問7は、ほぼ同じ形の事案について、旧税率8%適用分のみ仕入税額控除を行い、新税率10%適用分は仮払金として翌期に繰り越すと記載しています。同じ消費税法基本通達11-3-8を適用した同じ形の事案で、答えが逆を向いています。どちらの資料が何について書かれたものかを、国税庁の原本で確かめます。
- 家賃を口座振替で払っていて請求書が来ない場合、何を保存すればよいか(契約書と通帳の組み合わせ)事務所の家賃を口座振替で払っていて請求書も領収書も交付されない場合について、国税庁は契約書と通帳を併せて保存することにより仕入税額控除の要件を満たすとしています。ただし同じ照会に対する2つの国税庁文書で、複数の書類に求められる条件の書き方が違います。原本で確認した差を整理します。
- 年払いした保険料・家賃は「支出した日」の課税仕入れになることがある(短期前払費用)課税仕入れを行った日は、原則として資産の譲受け・借受けをした日、または役務の提供を受けた日です。ただし消費税法基本通達11-3-8は、所得税基本通達37-30の2または法人税基本通達2-2-14《短期の前払費用》の取扱いの適用を受けている場合、その前払費用に係る課税仕入れはその支出した日の属する課税期間に行ったものとして取り扱うとしています。免税事業者からの仕入れの経過措置の割合は課税仕入れの時期で判断するため、令和8年9月30日をまたぐ年払いでは判定の軸が変わります。国税庁の一次情報で整理します。
- 特定非常災害の被災事業者には、消費税の届出等の特例があります(根拠は消費税法ではなく租税特別措置法86条の5)租税特別措置法86条の5は、特定非常災害の被災事業者について、課税事業者選択・簡易課税・インボイス発行事業者の登録の取消しに関する届出書を「指定日」までに提出すれば、適用を受けようとする課税期間の初日の前日に提出したものとみなすと定めています。税務署長の承認は条文の要件になく、2年縛り・3年縛りに当たる規定も適用しないとされています。ただし「指定日」は条文にも告示にも日付が書かれておらず、あとから出る別の告示で定まります。令和6年能登半島地震では市町ごとに3回に分かれ、熊本県でも平成28年熊本地震と令和2年7月豪雨に先例があります。3つの先例は本数も期間も異なります。法令と国税庁の告示の原本で整理します。
- 被災事業者のインボイス登録の取消しは、被災前に終了した課税期間には遡りません(国税庁は個人事業者の令和7年分を例に挙げています)租税特別措置法86条の5第13項は、被災事業者である適格請求書発行事業者が指定日までに登録の取消しを求める旨の届出書を提出した場合、その提出があった日の翌日に登録が効力を失うと定めています。効果の起点は「提出があつた日」であり、国税庁は令和8年熊本地震の被災事業者向け資料に「この特例は、被災前に終了した課税期間について適用できません」と記載し、個人事業者の令和7年分を例に挙げています。同条1項には「被災日の属する課税期間以後の課税期間」という限定が条文に置かれていますが、13項にその文言はありません。条文と国税庁の原本で、どちらの側から読んでも同じ結論になることを確かめます。
- 12月29日から1月3日は、e-Tax で届出書を送信できません(年末年始の休止と、郵便の通信日付印)消費税の届出書には「その課税期間の初日の前日まで」に提出するものがあり、暦年を課税期間とする個人事業者ではその日が12月31日にあたります。ところが国税庁 e-Tax の利用可能時間カレンダーは、12月29日から1月3日までを「休止中」としています。e-Taxのよくある質問は「e-Taxの利用可能時間以外はe-Taxへのデータ送信等は行えません」と記載しています。この日に提出期限が来る届出書について、国税庁の一次情報が何を書いているかを整理します。
- 1月2日・1月3日も「休日」に入る(12月29日から1月3日までの6日間と、課税期間の初日が1月中旬の法人)国税通則法10条2項は、提出期限が日曜日・国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日・政令で定める日に当たるときは、その翌日を期限とみなすと定めています。国税通則法基本通達(徴収部関係)第10条関係の4は、この「一般の休日」に1月2日および3日が該当するとしています。国税通則法施行令2条2項は政令で定める日を土曜日・12月29日・30日・31日としています。合わせると12月29日から1月3日までの6日間はすべて休日です。この6日間が「課税期間の初日から起算して15日前の日」に当たるのは、課税期間の初日が1月13日から1月18日までの法人です。国税庁の一次情報で確認します。
- 公表サイトの一括データは「いつの時点」のものか(全件は前月末時点・差分は過去40日分)国税庁適格請求書発行事業者公表サイトは、取引先の登録状況をまとめて取得する手段として全件データ・差分データ・Web-APIの3つを提供しています。全件データは前月末日時点の最新情報で、毎月初日に作成して原則その翌日の午前6時以降に公開されます。差分データは日次で作成されますが、ダウンロードできるのは過去40日分です。更新の周期と、差分データに付く「事業者処理区分」の読み方を国税庁の一次情報で整理します。
- 取引先の登録番号を公表サイトで確認する(「取消年月日」と「失効年月日」は別のものです)国税庁適格請求書発行事業者公表サイトでは、請求書等に記載された登録番号を入力して、その番号が取引時点において有効なものかを確認できます。公表サイトには「取消年月日」と「失効年月日」という2つの日付欄があり、根拠となる条文が異なります。また登録の取消や失効があっても、公表サイトには取消・失効後7年間は掲載されます。検索の方法、公表される事項、7年間の公表期間、登録をやめるときの届出書の期限を、国税庁の一次情報で整理します。
- 消費税の届出書は何種類あるか(提出期限の一覧と、期限が延びない届出書)国税庁 タックスアンサー No.6629《消費税の各種届出書》は、主な届出書23種類の「届出が必要な場合」と「提出期限等」を一覧にしています。期限の書き方は「事由が生じた場合速やかに」型と「課税期間の初日の前日まで」型に大きく分かれ、後者は該当日が休日等に当たっても延びません。ただし郵便または信書便で提出した場合は通信日付印により表示された日に提出したものとみなされます。一覧の全体像と、期限の型の見分け方を国税庁の一次情報で整理します。
- 災害で申告・納付ができないときの期限延長には3つのルートがあります(地域指定・対象者指定・個別指定)国税通則法11条は、災害その他やむを得ない理由により期限までに申告・申請・請求・届出その他書類の提出、納付または徴収に関する行為ができないと認めるときは、その理由のやんだ日から2か月以内に限り期限を延長できると定めています。その具体的な仕組みは国税通則法施行令3条にあり、1項の地域指定、2項の対象者指定、3項の個別指定の3つに分かれます。地域指定と対象者指定は申請が要らず官報に掲載されますが、個別指定は申請が必要で、国税庁の手続案内には標準処理期間の定めがありません。消費税の届出書が「休日でも延びない」話とは条文の系統が異なります。法令と国税庁の一次情報で整理します。
- 簡易課税をやめられるのはいつからか(2年間の継続適用と不適用届出書)簡易課税制度は「消費税簡易課税制度選択届出書」で選び、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」でやめます。ただし国税庁 タックスアンサー No.6505 は、事業を廃止した場合を除き、選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ不適用届出書を提出することはできないとしています。提出期限は課税期間の初日の前日までで、その日が休日等に当たっても期限は延びません。届出書を出したままにした場合に簡易課税が再び適用される取扱いまで、国税庁の一次情報で整理します。
- 1,000万円の判定では返品も引きます。基準期間が免税か課税かで引き方が変わります(消費税法9条2項1号のイとロ)消費税法9条2項1号は、基準期間における課税売上高を、課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から「イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額」を控除した残額と定めています。イは売上げに係る対価の返還等の金額、ロはその消費税額に78分の100を乗じて算出した金額です。基準期間が免税事業者であった課税期間の場合は、消費税法基本通達14-1-6のなお書きによりロがないものとして扱われます。同じなお書きは消費税法施行令48条1項2号と53条3項2号も名指ししています。法令と通達の原文で整理します。
- 2種類以上の事業をやっている場合の簡易課税の計算(75%特例と、区分していない売上げの扱い)簡易課税制度で2種類以上の事業を営む場合、みなし仕入率は事業ごとに分けて計算します。ただし1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上を占めるとき、または3種類以上の事業で特定の2種類の合計が75%以上を占めるときは、特例の計算ができます。国税庁タックスアンサーNo.6505と消費税法施行令57条の原文から、原則法と簡便法の算式、75%の判定に使う金額、事業ごとに区分していない売上げの扱いを整理します。
- 「◯月◯日から2年」はいつ終わるのか(応当日の前日に満了する — 国税通則法10条1項3号)国税通則法10条1項3号は、月または年の始めから期間を起算しないときは、最後の月または年においてその起算日に応当する日の前日に期間が満了すると定めています。最後の月に応当する日がないときは、その月の末日です。税務大学校の講本『国税通則法(基礎編)令和8年度版』は、「経過する日」を期間の末日となる日、「経過した日」を期間の末日の翌日と定義し、図解つきの具体例を載せています。この2語は1日ずれます。また、期間の初日を算入するかどうかは同条1項1号の本文とただし書で決まり、期間が午前0時から始まるときは初日算入です。国税庁の一次情報で整理します。
- 「売上げに係る対価の返還等」に入るのは返品と値引きだけではありません(国税庁が挙げる7つ)消費税法38条1項が挙げる行為は「返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたこと」ですが、国税庁タックスアンサーNo.6359は調整が必要な取引として7つを列挙しています。売上割引、販売奨励金、協同組合等の事業分量配当金、船舶の早出料、直接の取引先以外に支払う飛越しリベートまでが含まれます。根拠は消費税法基本通達14-1-1から14-1-5です。返品と値引きだけを拾っていると、2割特例・3割特例の計算と納税義務の判定に使う金額がずれます。法令と国税庁の一次情報で範囲を整理します。
- 仕入税額の計算方法は3つあります。積上げと割戻しの併用はできません(消費税法施行令46条・基本通達11-1-9)本則課税で仕入税額を計算する方法は、消費税法施行令46条に3つ書かれています。1項が請求書等積上げ方式、2項が帳簿積上げ方式、3項が総額割戻し方式で、この3つの名前は消費税法基本通達11-1-9が定義しています。同通達は、請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式の併用は可能だが、そのいずれかと総額割戻し方式との併用はできないとしています。また総額割戻し方式を使えるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます。条文と通達の原文で整理します。
- 免税だったころの売上げを返品されても、消費税は調整できない(売上側と仕入側で扱いが逆)消費税法基本通達14-1-6は、免税事業者であった課税期間に行った課税資産の譲渡等について課税事業者となった課税期間に返品・値引きをした場合、消費税法38条1項の適用はないと定めています。14-1-7は逆向きの場合も同じです。一方、仕入側は平成28年改正法附則52条4項・53条4項により元の課税仕入れの割合で調整します。売上側と仕入側で扱いが正反対になります。
- 免税事業者が登録した年は、その年の12月31日までに簡易課税を選べる(2割特例・3割特例の特例とは別系統)簡易課税制度選択届出書は、原則としてその課税期間の初日の前日までに提出するものです。ただし国税庁 タックスアンサー No.6505 は、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間にインボイス発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができるとしています。2割特例・3割特例を受けた事業者の届出期限の特例とは別の措置です。両者の違いを国税庁の一次情報で整理します。
- 取引先がインボイス登録をやめたとき、受け取る側(買い手)の手続はどう変わるか取引先が適格請求書発行事業者の登録をやめると、その効力が失われた日以後の課税仕入れは「適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れ」になります。経過措置により仕入税額相当額の一定割合(令和8年10月1日から令和10年9月30日までは70%)を控除できますが、そのためには買い手の側で帳簿と請求書等の保存が必要です。効力が失われる日、相手方ごと・年ごとの1億円の上限、買い手が簡易課税や2割特例を適用している場合の計算、税込1万円未満の課税仕入れの取扱いを、国税庁と法令の一次情報で整理します。
- 基準期間と特定期間とは何か(消費税の課税事業者になるかの判定)基準期間は個人事業者なら前々年、法人なら原則として前々事業年度です。特定期間は個人事業者ならその年の前年1月1日から6月30日まで、法人なら原則として前事業年度開始の日以後6か月の期間です。どちらかの課税売上高が1,000万円を超えると納税義務は免除されません。免税事業者だった基準期間は税込みで判定する点、特定期間は年換算しない点、給与等支払額で代えられる点を国税庁の一次情報で整理します。
- 売上割戻しを「行った日」は、返金した日とは限りません(消費税法基本通達14-1-9から14-1-11)返品や値引きは「返還等をした日の属する課税期間」で調整します。ところが売上割戻し(リベート)は、消費税法基本通達14-1-9が2つの区分に分け、算定基準が販売価額または販売数量によっており、かつ契約その他の方法により相手方に明示されている割戻しは「課税資産の譲渡等をした日」に行ったものとすると定めています。つまり売った日の側です。さらに14-1-10は保証金等として預かる場合、14-1-11は取引が無効または取消しとなった場合を別に定めています。「返金した日で拾えばよい」と一般化すると、調整する課税期間がずれます。法令と国税庁の一次情報で整理します。
- 届出書が期限に間に合わなかったときの承認は2種類あります(「やむを得ない事情」の4類型と、災害等の特例)消費税の届出書が期限に間に合わなかったときの承認には、条文の違う2つの系統があります。ひとつは消費税法9条9項・37条8項が政令に委ねた「やむを得ない事情」の承認で、国税庁は「届出書の提出を忘れていた場合等は『やむを得ない事情』に当たりません」と明記しています。もうひとつは消費税法37条の2の災害等の特例で、こちらには承認の返事が来なくても承認があったものとみなされる規定があり、簡易課税の2年・3年の制限が適用されない旨も条文に書かれています。国税庁と法令の一次情報で、両者の違いを整理します。
- 恒久的施設(PE)を持たない国外事業者は、簡易課税を使えません(2割特例も同じ)消費税法37条1項は、簡易課税制度の対象となる事業者から「その課税期間の初日において恒久的施設を有しない国外事業者」を除いています。国外事業者とは非居住者である個人事業者と外国法人をいい、恒久的施設はPEと略称されます。国税庁タックスアンサーNo.6505は、令和6年10月1日以後に開始する課税期間から適用がないこと、令和6年9月30日までに届出書を提出していても同じであることを記載しています。同じ除外は2割特例の条文にも置かれています。
- 法人成りしたとき、個人事業者時代の課税売上高は法人に引き継がれるのか消費税の納税義務の判定は事業者単位で行うため、個人事業者がいわゆる法人成りにより法人を設立した場合、個人事業者であった期間の課税売上高は、その法人の基準期間における課税売上高にも特定期間における課税売上高にもなりません(消費税法基本通達1-4-6 注)。ただし設立の日における資本金の額または出資の金額が1,000万円以上である新設法人などに該当する場合は納税義務は免除されません。また、法人成りした年の個人事業者であった期間については、その年の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば納税義務は免除されません。国税庁の一次情報で整理します。
- 消費税の確定申告と納付はいつまでか(個人事業者は翌年3月31日・法人は2か月以内)消費税の確定申告書の提出と納付の期限は、原則として課税期間の終了の日の翌日から2か月以内です。個人事業者の12月31日を含む課税期間だけは翌年3月31日まで延長されています。所得税の3月15日との違い、法人の1か月延長特例、期限が日曜・土曜に当たったときの繰下げ、中間申告の回数を国税庁の一次情報で整理します。
- 特定期間の判定を給与等支払額で行う場合、何を集計するのか(通勤手当・未払・出向負担金の扱い)特定期間の1,000万円判定は、課税売上高に代えて特定期間中に支払った給与等の金額の合計額で行うことができます。その「給与等の金額」は消費税法第9条の2第3項が財務省令に委ね、消費税法施行規則第11条の2が所得税法施行規則第100条第1項第1号の給与等の金額と定めています。所得税の課税対象とされる給与・賞与等が該当し、所得税が非課税とされる通勤手当・旅費等は該当せず、未払額は含まれません。出向先が出向元へ支払う給与負担金の扱いと、国外事業者がこの方法を使えないことも、条文と国税庁の一次情報で整理します。
- 登録簿の登載事項が変わったときの届出書の期限は「速やかに」で、日数は書かれていません(消費税法57条の2第8項・第9項)社名を変えた、本店を移した。そのとき提出する「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」の期限を、消費税法57条の2第8項は「速やかに」とだけ定めており、何日以内という書き方をしていません。届け出る対象も「登録簿に登載された事項」に変更があったときとされ、その登載事項は消費税法施行令70条の5第1項の4つです。国税庁のNo.6629は、この届出書の提出期限等を「事由が生じた場合速やかに(注12)」と記載しています。条文の原文で整理します。
- 税務署の時間外収受箱に入れた日は、消印の日付とは扱いが違います(発信主義は郵便・信書便だけ)税務署の閉庁日でも、申告書等は時間外文書収受箱(夜間文書収受箱)へ投函して提出できます。ただし国税庁 タックスアンサー No.2036 は、郵便または信書便で提出した場合は通信日付印により表示された日が提出日とみなされ、「それ以外の方法で提出された場合には、税務署に申告書が到達した日が提出日となります」と記載しています。国税通則法22条が「郵便又は信書便」と定めていること、国税庁が到達の根拠法令に民法97条を挙げていること、令和7年1月から控えに収受日付印が押されていないことを、一次情報から整理します。
- 税込1万円未満の返品・値引きには、返還インボイスを交付しなくてよい(交付義務と保存要件は別)消費税法57条の4第3項ただし書と消費税法施行令70条の9第3項第2号は、売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、適格返還請求書(返還インボイス)の交付義務が免除されると定めています。国税庁は、売手が負担する振込手数料相当額を売上値引きとして処理している場合を例に挙げています。一方、返還等の税額を控除するための保存要件は帳簿のみであり(消費税法38条2項)、交付義務とは別の規定です。
- 設立したばかりの法人に消費税の納税義務が生じるのはどんなときか(新設法人・特定新規設立法人)設立1期目・2期目の法人には基準期間がないため、原則として消費税の納税義務は免除されます。ただし国税庁 タックスアンサー No.6503 は、その例外として「新設法人の納税義務の免除の特例」と「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」を掲げています。判定の基準時は事業年度開始の日の資本金の額、特定新規設立法人は特定要件と5億円(令和6年10月1日以後は50億円の要件も)です。届出書の扱い、外国法人のみなし、基準期間がない課税期間中に調整対象固定資産を取得した場合の3年の制限まで、国税庁の一次情報で整理します。
- 課税期間を1か月・3か月に短縮すると、2割特例・3割特例は適用できない課税期間になる消費税の課税期間は、特例として事業者の選択により3か月ごとまたは1か月ごとに短縮できます(消費税法第19条)。ただし国税庁のインボイス制度に関するQ&A 問115 は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間を2割特例の適用ができない課税期間として掲げ、問115-2 は3割特例についても同じ扱いを掲げています。注記により、課税期間の特例の適用・不適用によって一の課税期間とみなされる課税期間も含まれます。届出の期限と、2年間は特例をやめられないという定めもあわせて、国税庁の一次情報で整理します。
- 調整対象固定資産とは何か(「100万円」は法律ではなく政令に書かれています)消費税法2条1項16号は調整対象固定資産を「建物、構築物、機械及び装置…その他の資産でその価額が少額でないものとして政令で定めるもの」と定義しており、金額の線を書いていません。線を引いているのは消費税法施行令5条で、棚卸資産以外の資産のうち、一の取引の単位につき100万円以上のものとされています。同条の列挙は11号まであり、無形固定資産・ゴルフ場利用株式等・生物まで含みます。国税庁と法令の一次情報で、範囲と金額の測り方を整理します。
- 返品・値引きは2割特例・3割特例の計算に2か所で入る(消費税法38条は置き換えられていない)2割特例・3割特例の根拠である平成28年改正法附則51条の2第1項・51条の3第1項が置き換えるのは、消費税法30条から37条まで(仕入税額控除)だけです。売上げに係る対価の返還等の控除(消費税法38条1項)はそのまま残ります。しかも附則51条の2第2項・51条の3第2項は、特別控除税額を計算するときの金額からも返還等に係る消費税額を控除すると定めています。返品・値引きは2か所に現れます。
- 返品・値引きを売上から直接引く経理処理(純額処理)でも、帳簿の保存は要ります(消費税法基本通達14-1-8)消費税法基本通達14-1-8は、課税資産の譲渡等の金額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除する経理処理を継続して行っているときは、これを認めるとしています。その注は、この場合は消費税法38条1項の適用は別途無いが、同条2項に規定する帳簿を保存する必要があると明記しています。国税庁タックスアンサーNo.6359も同じ内容を置いています。通達の原文で確かめます。
- 高額な資産を買うと、簡易課税の届出書を3年間出せなくなることがあります(調整対象固定資産・高額特定資産)消費税法37条3項は、一定の場合に該当する事業者は「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出できない期間があると定めています。引き金になるのは、税抜100万円以上の調整対象固定資産や、税抜1,000万円以上の高額特定資産を、一般課税の課税期間中に取得した場合などです。制限される期間は、条文ではいずれも「その仕入れ等の日の属する課税期間の初日から、同日以後三年を経過する日の属する課税期間の初日の前日まで」と書かれています。設備投資と簡易課税の選択が同じ時期に重なる場合に、国税庁の一次情報が何を書いているかを整理します。
- e-Tax で出した日を後から確かめる手がかりは「受信通知」です(受付日時と受付番号が載り、1,900日で消えます)国税庁 e-Tax よくある質問 1-13 は、e-Tax で申告等データを送信した場合、メッセージボックスに格納される「受信通知」により申告等データが税務署に到達したこと等を確認できると記載しています。受信通知には氏名又は名称・提出先税務署・受付日時・受付番号・申告した税目等が表示されます。ただし同じ記載は、保存期間を経過するとメッセージボックスから削除されると注意を促しており、よくある質問 5-8 は格納された日から120日で「メッセージボックス(過去分)」へ移され、1,900日間(約5年間)で既読・未読に関わらず削除すると記載しています。書面の控えへの収受日付印が令和7年1月から押されなくなったことと合わせて、一次情報から整理します。
- 「免税事業者であった期間の課税売上高」という欄は2つあり、指す年が違います(作成コーナーの同名の2ページ)インボイスの登録で年の途中から課税事業者になった方が国税庁の確定申告書等作成コーナーを使うと、「免税事業者であった期間の課税売上高」という言葉が2か所に出てきます。片方は前々年(基準期間)の免税だった期間を指し、1,000万円の納税義務の判定に使われます。もう片方は申告するその年の1月1日から課税事業者となった日の前日までを指し、仕入税額控除の「課税売上高5億円超」の判定に使われます。同じ言葉で違う年を指しているため、同じ金額を両方に入れると判定の対象期間が入れ替わります。国税庁の2ページの原文と、消費税法30条2項・6項、国税庁の設例6で整理します。
- 3割特例から「特定少額資産の譲渡」を除く文言は2028年4月1日に動く(附則17条の単位は「資産の譲渡等」)3割特例(平成28年改正法附則51条の3)は、特別控除税額の計算から「特定少額資産の譲渡」に係る部分を除くと書かれています。ただしその定義(消費税法2条1項8号の6)は2028年4月1日施行版で新設されるもので、2026年10月1日施行版にはまだありません。その空白を令和8年改正法附則90条2項が読み替えで埋め、読み替えの末日は2028年3月31日です。読み替えが終わったあとを引き取る附則17条は「資産の譲渡等」を単位に書かれており、課税期間を単位にしていません。条文原本で整理します。
- 災害で帳簿やインボイスを保存できなかったときの定めがあります(消費税法30条7項ただし書と、その意義を書いた通達)消費税法30条7項は、帳簿及び請求書等を保存しない場合には仕入税額控除を適用しないと定めたうえで、ただし書で「災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない」としています。この「災害その他やむを得ない事情」の意義は、仕入税額控除の章ではなく、消費税法基本通達11-2-22が参照する8-1-4に置かれています。条文と通達の原文で確かめます。
- 災害で簡易課税の承認申請をするとき、申請書には「生じた日」と「やんだ日」の両方を書きます(消費税法施行規則17条の2)災害等があった場合の簡易課税の届出特例(消費税法37条の2)の承認申請書に何を書くかは、消費税法施行規則17条の2が定めています。1号・2号のどちらにも「災害その他やむを得ない理由の生じた日及びそのやんだ日の年月日」が記載事項として置かれており、日付は2つ書く組み立てになっています。同じ「間に合わなかったときの承認」でも、施行規則17条4項・11条4項には、この2つの日付はありません。e-Gov法令検索の原文で、3つの記載事項を並べて確認します。
- 特定非常災害の被災事業者が出す届出書には、専用の様式がありません(「参考事項」欄に書く旨と、措置法施行規則37条の3の2の記載事項)特定非常災害の被災事業者に対する消費税の届出等の特例(租税特別措置法86条の5)を使うとき、提出するのは普段と同じ届出書です。専用の様式は用意されておらず、国税庁は届出書の「参考事項」欄に被災事業者である旨を記載するよう案内しています。ただし、その文言は案内ページとリーフレットで一致していません。あわせて、租税特別措置法施行規則37条の3の2が定める不適用届出書の記載事項を原文で確認します。
- 1億円の上限は「開始する課税期間」から、簡易課税の届出期限の特例は「終了する課税期間」から(令和8年改正法附則90条)令和8年改正法(令和8年法律第12号)の附則90条は、消費税の2つの見直しの適用時期を1つの条の中で定めています。3項の1億円の控除限度額は「令和8年10月1日以後に開始する課税期間」から、1項の簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例は「令和8年10月1日以後に終了する特例対象課税期間」から。開始と終了で軸が逆です。さらに1億円の集計は「その年・その事業年度」単位で、適用開始の単位とも一致しません。e-Gov法令検索の条文原本で整理します。
- 3割特例を使っている課税期間に支払った工事代金は、自己建設高額特定資産の1,000万円の累計に入りません(平成30年政令135号 附則21条の3)自分で建物などを建てる場合の高額特定資産は、取得価額ではなく建設等に要した課税仕入れの累計額が1,000万円以上になったかどうかで判定します。この累計からは、免税事業者だった課税期間と簡易課税の適用を受ける課税期間の分が除かれます(消費税法施行令25条の5第1項2号)。2026年10月1日施行版で新設された平成30年政令135号の附則21条の3は、この除外に3割特例の適用を受ける課税期間を加える読替えを定めています。2割特例には附則21条の2が同じ形で置かれています。e-Gov法令検索の条文原本で整理します。
- 割れた課税期間に返品があるとき、引き方は前半と後半で変わります(国税庁の設例6)年の途中でインボイスの登録をすると、1つの課税期間に免税だった期間と課税事業者だった期間が同居します。この年に返品・値引きがあると、引き方が前半と後半で変わります。国税庁の設例別の消費税申告書の計算・記載方法の設例6は、免税だった期間について売上げも返還等も税込のまま計算し、課税事業者だった期間については両方とも税抜きに直してから控除しています。PDF原本の数値で整理します。
- 年の途中で課税事業者になった年は、2年後の基準期間の計算で前半と後半に割れます(インボイスQ&A問8-2)インボイスの登録で年の途中から課税事業者になると、その年は1つの課税期間の中に免税だった期間と課税事業者だった期間が同居します。2年後の申告でその年を基準期間として使うとき、国税庁のインボイスQ&A問8-2は、免税だった期間の課税売上高について税抜処理は行わず、そのままの金額を使うとしています。全部を税込のまま足す、または全部を割り戻す、という計算とは金額が変わります。国税庁の計算例と条文の根拠を原本で整理します。
- 免税だったころの売掛金が貸し倒れても、消費税は控除できない(消費税法基本通達14-2-4・14-2-5)免税事業者だった課税期間の売上げに係る売掛金が、課税事業者になってから貸し倒れた場合、消費税法39条1項の貸倒れに係る消費税額の控除の適用はありません(消費税法基本通達14-2-4)。その(注)は、控除を受けなかった貸倒額をあとで回収しても同条3項の貸倒回収の調整も適用しないとしています。逆向きの場面(課税事業者だった期間の売掛金が、廃業・免税になった後で貸し倒れた)を定めた14-2-5も同じ形です。国税庁の確定申告の手引きが、申告書の記入手順として同じことを書いています。
- 国税庁の作成コーナーで消費税の申告書を作れない24の場合(うち2つは免税事業者だった期間の返還等)確定申告書等作成コーナーの「ご利用になれない方」ページには、消費税及び地方消費税について令和7年分で24項目が掲げられています。1番目が「法人」で、17番目と18番目が免税事業者であった期間に関するものです。この2項目は令和3年分から令和7年分まで一言一句同じで、インボイス制度の開始より前から掲げられています。理由は公表されていません。なお同ページは、該当する場合はe-Taxソフトで申告書等を作成し送信できると案内しています。
- 現金主義(消費税法18条)をやめたときの精算は、「やめた課税期間」ではなく直前の課税期間で行います(消費税法施行規則12条)消費税法18条3項が政令に委ね、消費税法施行令40条2項がさらに財務省令に委ねた先が、消費税法施行規則12条です。同条は全8項からなり、前受金・前払金の引き算の向きが消費税法施行令40条1項と逆であること、控除しきれない金額を処理するのは「直前の課税期間」であることを定めています。なお控除しきれない分の落ち先も、売上側と仕入側で別に定められています。e-Gov の法令原文で条文をたどります。
- 課税期間の初日にさかのぼって登録できる場合は3つあります(開業だけではない — 消費税法施行令70条の4・消費税法施行規則26条の4)消費税法施行令70条の4は、財務省令で定める課税期間の初日から登録を受けようとする旨を記載した申請書をその課税期間の末日までに提出し、登録がされたときは、その課税期間の初日から登録を受けたものとみなすと定めています。その財務省令である消費税法施行規則26条の4は、対象となる課税期間を3つ挙げています。事業を開始した日の属する課税期間、吸収合併があった日の属する課税期間、吸収分割があった日の属する課税期間です。提出期限は「当該課税期間の末日まで」で、15日前の日ではありません。e-Gov の法令原文で確認します。
- 登録した年のように2つの方式が混ざる課税期間では、千円未満切捨ての土台が欄ごとに違います(国税庁の設例4)課税期間の途中でインボイスの登録を受けると、1つの課税期間の中で売上税額の計算方式が割戻しと積上げに分かれることがあります。このとき、付表の課税標準額の欄は割戻し分と積上げ分を合計してから千円未満を切り捨てますが、消費税額の欄の割戻し分は、課税標準額ではなく割戻し分だけの対価の額を千円未満切り捨てた金額に税率を乗じます。国税庁の設例4で、土台を取り違えた場合との差は3,610円になります。設例の原本で整理します。
- 課税売上割合の分母と分子では、返品・値引きの引き方の書き方が違います(消費税法施行令48条1項1号・2号)課税売上割合を定めているのは消費税法施行令48条1項で、1号に掲げる金額のうちに2号に掲げる金額の占める割合とされています。返品・値引き・割戻しはどちらからも引きますが、条文の書き方が同じではありません。分母の1号は返還等の金額を丸ごと控除する形で、イ・ロの構造を持ちません。分子の2号は「イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額」を控除する形で、消費税法9条2項1号と同じ構造です。さらに2号のイには輸出取引等に係る対価の返還等を含める括弧書きが付いています。条文の原文で整理します。
- 適格請求書発行事業者登録簿に載る事項は、政令が4つ定めています(消費税法施行令70条の5第1項・第2項)インボイスの登録をすると、氏名または名称と登録番号が「適格請求書発行事業者登録簿」に登載されます。何が登載されるかを定めているのは消費税法施行令70条の5第1項で、掲げられている事項は4つです。このうち所在地が挙がっているのは法人と国外事業者だけで、個人事業者の住所は列挙されていません。同条2項は公表の方法を「インターネットを利用して、利用者が容易に検索することができるように体系的に構成された情報を提供する方法」と定めています。条文の原文で整理します。
- 売上税額の計算には2つの方式があります。原則は総額割戻し、積上げは消費税法45条5項の特例です売上税額(税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額)の計算方法は、消費税法45条1項2号が定める総額割戻し方式が原則で、同条5項が定める適格請求書等積上げ方式が特例です。積上げには交付した適格請求書等の写しの保存が条件として付き、45条5項ただし書と消費税法施行令62条2項が4つの適用除外を定めています。国税庁の設例では、同じ取引でも方式によって課税標準額が1,000円、消費税額が468円変わります。条文と国税庁の設例の原本で整理します。
- 廃業・合併でインボイス登録の効力が失われる日は、届出書を出した場合に限られています(消費税法57条の2第10項2号・3号)消費税法57条の2第10項は、適格請求書発行事業者の登録がその効力を失う場合を3つ定めています。2号(事業を廃止した場合)と3号(合併により消滅した場合)には、どちらも「消費税法57条1項の届出書を提出した場合に限る」という括弧書きが付いています。効力を失う日も、廃止は「事業を廃止した日の翌日」、合併は「合併により消滅した日」で1日ずれます。税務署長の処分である6項の取消しとは別の経路です。条文の原文で整理します。
- インボイス発行事業者の登録は、税務署長が拒否できる場合が条文に定められています(消費税法57条の2第5項)消費税法57条の2第3項は、税務署長は申請書の審査をし「第五項の規定により登録を拒否する場合を除き」登録をしなければならない、と定めています。つまり登録を拒否できる場合が条文に置かれています。特定国外事業者以外の事業者では、納税管理人の届出をしていないことと、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ2年を経過しないことの2つです。特定国外事業者では5つです。登録後の取消しを定めた第6項と合わせて、条文の原文で整理します。
- 「◯日前までに」と「◯日前の日までに」は数え方が1日違います(前に遡る期間の計算)国税通則法基本通達(徴収部関係)10-2は、前に遡る期間の計算は国税通則法10条1項の規定を準用して計算すると定め、注で国税徴収法95条1項の「公売の日の少なくとも10日前までに」を設例にしています。その答えは公売の日から数えて11日前です。一方、消費税法施行令70条の2第1項の「課税期間の初日から起算して十五日前の日」は、国税庁が示した設例2件のいずれも初日から15日を引いた日と一致します。同じ「◯日前」でも、余裕を置く型と日を特定する型で答えが1日ずれます。通達と国税庁の設例で確かめます。
- 災害で申告期限が延びると、消費税の中間申告書を出さなくてよくなることがあります(消費税法42条の2)消費税法42条の2は、国税通則法11条(災害等による期限の延長)による申告に関する期限の延長により、中間申告書の提出期限と、その中間申告書に係る課税期間の確定申告書(消費税法45条1項)の提出期限とが同一の日となる場合は、その中間申告書を提出することを要しないと定めています。特定非常災害の指定も、国税庁長官が定める指定日も、届出書も条文には出てきません。ただし「延長されれば中間申告が不要になる」わけではなく、2つの期限が同じ日に重なったときだけの規定です。法令の原文で整理します。
- 相続があったとき、みなし登録期間の末日と登録が効力を失う日は1日ずれる(消費税法57条の3)消費税法57条の3第3項は、みなし登録期間の終わりを「死亡した日の翌日から四月を経過する日」としています。同条第2項は、登録が効力を失う日を「死亡した日の翌日から四月を経過した日」としています。同じ「死亡した日の翌日から四月」でも、経過する日と経過した日は1日ずれます。同条第4項は、みなし登録期間の末日の翌日以後に被相続人の登録が効力を失うとしています。さらに消費税法45条2項・3項の申告期限は「相続の開始があつたことを知つた日の翌日から四月を経過した日の前日まで」と書かれており、起算点そのものが「死亡した日」ではありません。e-Gov の法令原文で3つの日付を並べて確認します。
- 確定申告の時期でも、e-Tax が24時間動いているとは限りません(月曜日の8時30分開始)国税庁 e-Tax の「利用可能時間」ページは、所得税等の確定申告時期について「全日(土日祝日等を含みます。)/24時間(メンテナンス時間を除きます。)」と記載しています。一方、同じページが読み込んでいる利用可能時間カレンダーの原本CSVを2021年から2026年まで実際に読むと、確定申告期間(2月16日から3月15日)に含まれる月曜日24日のうち20日が「8時30分から24時」でした。また2024年から土曜日の区分がデータ上変わっています。e-Taxのよくある質問1-10は「利用可能時間以外はe-Taxへのデータ送信等は行えません」と明記しています。国税庁の一次情報とカレンダーの原本データで整理します。
- 現金主義(消費税法第18条)を選んでいる個人事業者は、課税仕入れを「支出した日」で判定します消費税法18条1項は、所得税法67条1項または2項の適用を受ける個人事業者について、資産の譲渡等および課税仕入れを行った時期を「対価の額を収入した日」および「費用の額を支出した日」とすることができると定めています。原則(消費税法基本通達11-3-1)とは判定に使う日が変わるため、令和8年9月30日をまたぐ取引で結論が反対に出ることがあります。入口の要件は所得税法施行令195条、手続は消費税法18条2項の「申告書への付記」です。国税庁と法令の一次情報で整理します。
- 税込1万円未満の仕入れは、インボイスの保存が要らない場合があります(少額特例)平成28年改正法附則53条の2と改正令附則24条の2第1項は、一定規模以下の事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内で行う課税仕入れについて、支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けられることを定めています。対象は基準期間の課税売上高1億円以下、または特定期間の課税売上高5千万円以下の事業者です。1万円未満かどうかは一回の取引ごとに判定します。
個別の判断について
適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。
本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。
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