7・5・3割控除を受けるための帳簿・請求書の保存要件(「80%控除対象」の記載)
最終確認日: (数値は一次情報で照合)
免税事業者などインボイス発行事業者以外の相手からの課税仕入れについて経過措置(80%控除・7・5・3割控除)の適用を受けるには、一定の事項を記載した帳簿と請求書等の保存が要件になります。帳簿には原則的な記載事項に加えて「80%控除対象」「免」など経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要で、「※」「☆」などの記号を付し、別途「※は80%控除対象」と表示する方法も認められています。請求書等は区分記載請求書等と同様の記載事項が必要です。自社の帳簿の付け方が要件を満たしているかは、税理士または税務署にご確認ください。
この記事の要点
- 経過措置の適用は、帳簿と請求書等の保存が要件。割合が正しくても保存要件を欠けば適用を受けられない。
- 帳簿の記載事項は4つ。うち③に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を加える必要がある。
- 「80%控除対象」「免税事業者からの仕入れ」などと取引ごとに記載するほか、「※」「☆」の記号を付けて別途「※は80%控除対象」と表示する方法も認められている。
- 令和8年10月1日以後は「7・5・3割控除」を受ける課税仕入れである旨の記載が国税庁の資料に示されている。
- 請求書等は区分記載請求書等と同様の5項目。軽減対象である旨と税率ごとの税込価額の記載がない場合に限り、受領者が自ら追記して保存することが認められる。
割合が合っていても、それだけでは足りない
免税事業者などインボイス発行事業者以外の相手からの課税仕入れは、支払った消費税相当額の一定割合を控除できます。令和8年9月30日までが80%、令和8年10月1日からが70%です。
ただし国税庁のQ&Aは、この経過措置について次のように書いています。
なお、この経過措置の適用を受けるためには、次の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となります。
割合を正しく計算していても、帳簿と請求書等の保存が要件を満たしていなければ、この経過措置の適用を受けることはできない仕組みになっています。
帳簿に書く4つの項目
帳簿の記載事項は次の4つです。③に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」が加わる点が、通常の課税仕入れとの違いです。
| # | 記載事項 |
|---|---|
| ① | 課税仕入れの相手方の氏名又は名称 |
| ② | 課税仕入れを行った年月日 |
| ③ | 課税仕入れに係る資産又は役務の内容(軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及びその旨)及び経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨 |
| ④ | 課税仕入れに係る支払対価の額 |
②の「課税仕入れを行った年月日」は、80%と70%のどちらの割合になるかを決める日でもあります。その日の考え方は「[令和8年9月30日をまたぐ取引は80%か70%か](/articles/matagi-torihiki-hantei/)」で扱っています。
「※は80%控除対象」とまとめて示す方法
取引のたびに一行ずつ書き足す方法のほかに、記号でまとめて示す方法も認められています。Q&A問113の(参考1)は次のように書いています。
③の「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」の記載については、個々の取引ごとに「80%控除対象」、「免税事業者からの仕入れ」などと記載する方法のほか、例えば、本経過措置の適用対象となる取引に、「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、かつ、これらの記号・番号等が「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法も認められます。
つまり、対象の取引に印を付けておき、帳簿のどこかに凡例を一度示す形でも差し支えないとされています。会計ソフトでの具体的な運用方法は、税務署にご確認ください。
令和8年10月からの記載の文言
国税庁の令和8年度税制改正特集の資料は、この経過措置による仕入税額控除について次のように記しています。
この経過措置による仕入税額控除の適用に当たっては、免税事業者等から受領する区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等の保存とこの経過措置の適用を受ける旨(「80%控除」・「7・5・3割控除」を受ける課税仕入れである旨)を記載した帳簿の保存が必要です。
割合が70%・50%・30%と変わっていくため、資料では 「7・5・3割控除」 という呼び方が併記されています。実際に帳簿へどの文言を記載するかについては、税理士または税務署にご確認ください。
請求書等に必要な5つの項目
請求書等については、区分記載請求書等と同様の記載事項が必要とされています(区分記載請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を含みます)。
| # | 記載事項 |
|---|---|
| ① | 書類の作成者の氏名又は名称 |
| ② | 課税資産の譲渡等を行った年月日 |
| ③ | 課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及びその旨) |
| ④ | 税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額 |
| ⑤ | 書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称 |
登録番号は入っていません。相手はインボイス発行事業者ではないため、インボイス(適格請求書)ではなく、区分記載請求書等と同じ形の書類を保存することになります。
書き足してよい範囲は限られている
免税事業者等から受け取った請求書に記載が足りない場合について、Q&A問113の(参考2)は次のように書いています。
免税事業者等から受領した請求書等の内容について、③かっこ書きの「軽減対象資産の譲渡等である旨」及び④の「税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額」の記載がない場合に限り、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められます。
追記が認められると書かれているのは、この2点についてのみです。また、提供された請求書等に係る電磁的記録を整然とした形式および明瞭な状態で出力した書面に追記して保存している場合も、同様に認められるとされています。
個別の書類がこの範囲に収まるかどうかは、税務署にご確認ください。
確認しておきたいこと
- 取引先のうち、インボイス発行事業者でない相手を帳簿上で区別できているか
- その取引に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」を記載する運用があるか
- 記号でまとめる方法をとる場合、凡例をどこに置くか
- 受け取った請求書等に、税率ごとに合計した税込価額の記載があるか
納付税額の見当は試算ツールでつけられます。帳簿の付け方と保存の要件については、税理士または税務署にご確認ください。
経営者の疑問と、制度の事実
答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。
経営者割合さえ合っていれば控除できるんだろう。帳簿の書き方まで決まっているのか。
制度の事実国税庁のQ&A問113では、この経過措置の適用を受けるためには、一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となるとされています。帳簿については、原則的な記載事項に加えて、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要とされています。自社の帳簿が要件を満たしているかどうかの確認は、税理士または税務署にご相談ください。
経営者経理担当が一人しかいない。取引のたびに一行ずつ書き足すのは現実的でない。
制度の事実Q&A問113の(参考1)では、個々の取引ごとに「80%控除対象」「免税事業者からの仕入れ」などと記載する方法のほか、対象となる取引に「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、それらが経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法も認められるとされています。自社の帳簿でどの方法をとるかは、税理士または税務署にご確認ください。
経営者相手からもらった請求書の書き方が足りないときは、こちらで書き足していいのか。
制度の事実Q&A問113の(参考2)では、免税事業者等から受領した請求書等について、軽減対象資産の譲渡等である旨および税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額の記載がない場合に限り、受領者が自ら追記して保存することが認められるとされています。認められる範囲はこの2点に限られる書き方になっているため、個別の書類の取扱いは税務署にご確認ください。
よくある質問
- 帳簿に何も書き足さないと、どうなりますか?
- 国税庁のQ&A問113では、この経過措置の適用を受けるためには一定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件となるとされ、帳簿には原則的な記載事項に加えて経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要とされています。自社の帳簿が要件を満たしているかは、税理士または税務署にご確認ください。
- 取引ごとに「80%控除対象」と書くのは手間です。まとめて示す方法はありますか?
- Q&A問113の(参考1)では、経過措置の適用対象となる取引に「※」や「☆」といった記号・番号等を表示し、かつ、これらの記号・番号等が経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨を別途「※(☆)は80%控除対象」などと表示する方法も認められるとされています。会計ソフト上での運用方法は、税務署にご確認ください。
- 免税事業者からもらった請求書に税率ごとの合計額が書かれていません。返送して直してもらう必要がありますか?
- Q&A問113の(参考2)では、免税事業者等から受領した請求書等について、軽減対象資産の譲渡等である旨および税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額の記載がない場合に限り、受領者が自ら請求書等に追記して保存することが認められるとされています。電磁的記録を出力した書面に追記して保存している場合も同様とされています。個別の書類の取扱いは税務署にご確認ください。
- 令和8年10月以降も「80%控除対象」と書いたままでよいのですか?
- 国税庁の令和8年度税制改正特集の資料では、経過措置の適用を受ける旨として「80%控除」・「7・5・3割控除」を受ける課税仕入れである旨を記載した帳簿の保存が必要とされています。実際の記載の文言をどうするかは、税理士または税務署にご確認ください。
個別の判断について
適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。
出典(一次情報)
- 国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問113【令和8年4月改訂】(PDF原本)確認日 2026-08-16
- 国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度)」特集資料 7・5・3割控除(PDF原本・全10ページ)確認日 2026-08-16
- 国税庁 消費税法基本通達 第11章第3節 課税仕入れ等の時期(11-3-1)確認日 2026-08-16
法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。