令和8年度税制改正に対応

簡易課税と本則課税、税額が小さいのはどちらかの考え方

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

本則課税は「売上税額−実際の仕入税額」、簡易課税は「売上税額×(1−みなし仕入率)」で納付税額を計算します。実際の仕入率がみなし仕入率より高い事業は本則課税、低い事業は簡易課税のほうが税額が小さくなる傾向があります。境界は事業ごとに変わるため、両方を試算して確かめてください。

この記事の要点

  • 本則課税=売上に係る消費税額−仕入れに係る消費税額(実額)。
  • 簡易課税=売上に係る消費税額×(1−みなし仕入率)。仕入れの実額は使わない。
  • 実際の仕入率がみなし仕入率より高ければ本則課税、低ければ簡易課税のほうが税額が小さくなりやすい。
  • 簡易課税は基準期間の課税売上高5,000万円以下で届出が必要、いったん選ぶと原則2年間は変えられない。

2つの計算方法の違い

2割特例・3割特例が使えなくなると、消費税の納付税額は本則課税か簡易課税で計算します。まず、それぞれの計算式を並べます。

  • 本則課税:売上に係る消費税額 − 仕入れに係る消費税額(実際に支払った分)
  • 簡易課税:売上に係る消費税額 −(売上に係る消費税額 × みなし仕入率)

本則課税は実際の仕入れ・経費にかかった消費税を差し引きます。簡易課税は実際の仕入れを使わず、事業区分ごとに決められた「みなし仕入率」で自動的に差し引く分を決めます。

みなし仕入率(国税庁)

事業区分主な業種みなし仕入率
第1種卸売業90%
第2種小売業、飲食料品の譲渡に係る農林漁業80%
第3種製造業・建設業・農林漁業など70%
第4種その他(飲食店業など)60%
第5種サービス業・運輸通信業・金融保険業50%
第6種不動産業40%

見分ける考え方

ざっくりした見分け方は「実際の仕入率」と「みなし仕入率」の比較です。

  • 実際の仕入率が みなし仕入率より高い(仕入れ・経費が多い)→ 本則課税のほうが差し引ける額が大きく、税額が小さくなりやすい
  • 実際の仕入率が みなし仕入率より低い(仕入れ・経費が少ない)→ 簡易課税のほうが税額が小さくなりやすい

たとえばサービス業(第5種・みなし50%)で経費がほとんどかからない事業なら、簡易課税で売上税額の半分を差し引ける計算になります。逆に材料仕入れの多い事業では本則課税が小さくなることがあります。

注意点:2年縛りと上限

簡易課税は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税期間で、届出をして選べます。いったん選ぶと原則2年間は本則課税に戻せません。この2年のあいだに大きな設備投資があると、本則課税なら差し引けたはずの消費税を差し引けないこともあります。

どちらの税額が小さくなるかは、売上・仕入れ・事業区分で変わります。試算ツールで両方の金額を並べて確認したうえで、実際の選択は税理士や税務署にご相談ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者本則と簡易、うちの商売だとどっちのほうが税額が小さくなるんだ。

制度の事実本則課税は売上税額から実際の仕入税額を差し引き、簡易課税は売上税額にみなし仕入率を掛けた分を差し引きます。実際の仕入率がみなし仕入率より高い事業は本則課税、低い事業は簡易課税のほうが税額が小さくなる傾向があります。どちらになるかは事業ごとの事情で変わるため、税理士や税務署にご確認ください。

経営者みなし仕入率というのは、うちの業種だと何パーセントになるんだ。

制度の事実みなし仕入率は事業区分ごとに定められ、第1種90%、第2種80%、第3種70%、第4種60%、第5種50%、第6種40%です。区分の判定は取引ごとに行うため、自社の取引がどの区分にあたるかは税理士や税務署にご確認ください。

経営者簡易課税は一度選んだら、翌年また本則に戻せるのか。

制度の事実簡易課税は届出をして選ぶと、原則として2年間は本則課税に戻せません。また基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた課税期間は簡易課税を使えません。選択の前に税理士や税務署にご確認ください。

よくある質問

みなし仕入率はどうやって決まりますか?
事業区分ごとに国税庁が定めています。第1種(卸売業)90%、第2種(小売業など)80%、第3種(製造業・建設業など)70%、第4種(飲食店業など)60%、第5種(サービス業など)50%、第6種(不動産業)40%です。区分の判定は取引ごとに行うため、あてはめは税務署にご確認ください。
簡易課税と本則課税は毎年選び直せますか?
簡易課税は届出をして選ぶと、原則として2年間は本則課税に戻せません(2年縛り)。基準期間の課税売上高が5,000万円を超えた課税期間は簡易課税を使えません。選択の前に税理士や税務署にご相談ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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