簡易課税をやめられるのはいつからか(2年間の継続適用と不適用届出書)
最終確認日: (数値は一次情報で照合)
国税庁 タックスアンサー No.6505《簡易課税制度》は、簡易課税制度の適用を受けている事業者がその適用をやめようとする場合には、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があるとしたうえで、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできないと記載しています。タックスアンサー No.6629《消費税の各種届出書》の注9 も同じ内容です。また No.6629 の注2 は、提出期限等が課税期間の初日の前日等までとされている届出書については、該当日が日曜日等の国民の休日等に当たる場合であっても、その日までに提出がなければそれぞれの規定の適用を受けることができないとしています。自社がいつから簡易課税をやめられるかの具体的なあてはめは、税理士または税務署にご確認ください。
この記事の要点
- 簡易課税は「消費税簡易課税制度選択届出書」で選び、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」でやめる(タックスアンサー No.6505)。
- どちらの届出書も、提出期限は原則としてその課税期間の初日の前日まで。
- 事業を廃止した場合を除き、選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、不適用届出書を提出することはできない。
- No.6629 の注2 により、提出期限が課税期間の初日の前日等までとされている届出書は、その日が日曜日等の国民の休日等に当たる場合であっても期限は延びない。
- やむを得ない事情で期限までに提出できなかった場合は、事情がやんだ日から2か月以内に申請書を提出して承認を受けることで、その課税期間の初日の前日に提出したものとみなされる(No.6629 注4)。
- 基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間は簡易課税を適用できないが、それだけでは選択届出書の効力は消えない。その後に基準期間の課税売上高が1,000万円超5,000万円以下となったときは、不適用届出書を提出している場合を除き、再び簡易課税制度が適用される。
- 課税事業者選択届出書を提出している場合、新設法人・特定新規設立法人に該当する場合、高額特定資産の仕入れ等を行った場合などは、一定期間「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出できないことがある(No.6629 注6)。
入口と出口は、どちらも届出書
簡易課税制度は、届出書を出すことで始まり、届出書を出すことで終わります。タックスアンサー No.6505《簡易課税制度》の記載は次のとおりです。
簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、簡易課税制度を選択することができます
(注)簡易課税制度の適用を受けている事業者が、その適用をやめようとする場合には、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。
| 手続 | 書類名 | 提出期限(原則) |
|---|---|---|
| 始める | 消費税簡易課税制度選択届出書 | その課税期間の初日の前日まで |
| やめる | 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 | その課税期間の初日の前日まで |
どちらも 期間が始まる前 に出す、という形です。「1年やってみて、確定申告のときに決める」という組み立てにはなっていません。
なお、始めるほうの期限には別途の特例があり、これは「[簡易課税の届出は、あとから出せる場合があります](/articles/kani-todokede-kigen-tokurei/)」で扱っています。
出口には「2年」の制限がある
やめるほうには、もう1つ条件が重なります。No.6505 の記載は次のとおりです。
なお、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできません。
タックスアンサー No.6629《消費税の各種届出書》の注9 も、言い方を変えて同じ内容を書いています。
(注9)消費税簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、原則として、適用を開始した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、適用をやめようとする旨の届出書を提出することができません。
読み違えやすいのは 起算点 です。
| 起算点になるもの | 起算点にならないもの |
|---|---|
| 選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日(=適用を開始した課税期間の初日) | 届出書を提出した日 |
期の途中に届出書を出しても、そこから2年を数えるわけではありません。数え始めるのは、簡易課税が実際に始まる課税期間の初日です。
「2年を経過する日の属する課税期間の初日以後」の読み方
この一文は、日付を3回たどる形になっています。
- 選択届出書の効力が生ずる 課税期間の初日 を確かめる
- その日から 2年を経過する日 を求める
- その日が 属する課税期間の初日 を求める。不適用届出書を提出できるのは、その日 以後
暦年を課税期間とする個人事業者を例にすると、次のようにたどることになります。
| 手順 | 日付 |
|---|---|
| 選択届出書の効力が生ずる課税期間の初日 | 令和9年1月1日 |
| その日から2年を経過する日 | 令和10年12月31日 |
| その日が属する課税期間 | 令和10年分 |
| その課税期間の初日 | 令和10年1月1日 |
| 不適用届出書を提出できるのは | 令和10年1月1日以後 |
この例では、令和10年中に不適用届出書を提出すれば、令和11年分から簡易課税制度の適用を受けないことになります。簡易課税で申告する課税期間は、令和9年分と令和10年分の2つです。
法人の場合は課税期間が事業年度になるため、決算月によって日付が変わります。自社の起算点と提出できる時期のあてはめは、税理士または税務署にご確認ください。
期限の日が休日でも、期限は延びない
届出書の期限について、No.6629 は注2 を置いています。
(注2)提出期限等が課税期間の初日の前日等までとされている届出書については、該当日が日曜日等の国民の休日等に当たる場合であっても、その日までに提出がなければそれぞれの規定の適用を受けることができませんのでご注意ください。
「その日までに提出がなければ」 と書かれています。個人事業者であれば、この期限は12月31日に当たります。法人でも、決算月の末日が休日に当たることはあります。
この注2 が付いている届出書は、簡易課税の選択・不適用だけではありません。No.6629 の一覧では、課税事業者選択届出書、課税事業者選択不適用届出書、課税期間特例選択・変更届出書、課税期間特例選択不適用届出書などにも同じ注2 が付いています。
出せなかったときの承認の制度
期限までに出せなかった場合について、No.6629 は注4 を置いています。
(注4)やむを得ない事情があるため、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかった場合には、提出できなかった事情などを記載した申請書を、やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内に所轄税務署長に提出し、承認を受けることにより、その課税期間の初日の前日にこれらの届出書を提出したものとみなされます。
承認を受けることによって、初日の前日に提出したものとみなされる、という組み立てです。届出書を後から出せばよい、という書き方にはなっていません。
No.6505 も同じ趣旨で、災害その他やむを得ない事情によりその課税期間開始前に選択届出書または不適用届出書の提出ができなかった場合には届出期限についての特例が適用できる場合があるとして、コード6630「やむを得ない事情により課税事業者選択届出書等の提出が間に合わなかった場合」およびコード6632「災害等により簡易課税制度の適用を受ける(受けることをやめる)必要が生じた場合」を参照するよう案内しています。
届出書を出したままにすると、後で戻ってくる
2年の制限とあわせて押さえておきたいのが、届出書の効力は自然には消えないという点です。No.6505 の注意事項の記載は次のとおりです。
「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できませんのでご注意ください。 なお、この届出書を提出した事業者のその課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円を超えることにより、その課税期間について簡易課税制度を適用できなくなった場合またはその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となり免税事業者となった場合であっても、その後の課税期間において基準期間における課税売上高が1,000万円を超え5,000万円以下となったときには、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出している場合を除き、再び簡易課税制度が適用されます。
| 基準期間の課税売上高 | その課税期間の扱い |
|---|---|
| 5,000万円超 | 簡易課税制度は適用できない(届出書の効力自体は残る) |
| 1,000万円以下 | 免税事業者になる(届出書の効力自体は残る) |
| 1,000万円超5,000万円以下に戻ったとき | 不適用届出書を提出している場合を除き、再び簡易課税制度が適用される |
売上が上下する事業では、何年も前に出した届出書が後の課税期間に効いてくることになります。過去の届出の状況がどうなっているかは、税理士または税務署にご確認ください。
入口の側にも「出せない期間」がある
最後に、始めるほうの制限にも触れておきます。No.6629 の注6 は次のとおりです。
(注6)「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となっている場合、新設法人・特定新規設立法人に該当する場合、高額特定資産の仕入れ等を行った場合または高額特定資産である棚卸資産等について調整措置の適用を受けた場合には、一定期間「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出できない場合があります
「先に出しておく」という対応ができない期間がある、という記載です。どの期間に当たるかは事情によって変わります。自社の状況の判定は、税理士または税務署にご相談ください。
経営者の疑問と、制度の事実
答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。
経営者簡易課税にしてみたが、思っていたより税額が大きい。来年から本則に戻したい。
制度の事実タックスアンサー No.6505 は、簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、「消費税簡易課税制度選択届出書」の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできないと記載しています。したがって、不適用届出書を提出できるようになる時期は、届出書を出した日ではなく、その効力が生ずる課税期間の初日を起算点として決まります。また、提出できるようになった後も、やめようとする課税期間の初日の前日までに提出する必要があるとされています。御社の場合にいつから提出できるかは、税理士または税務署にご確認ください。
経営者期限は年末年始にかかると聞いた。銀行のように翌営業日まで延びるのか。
制度の事実No.6629 の注2 は、提出期限等が課税期間の初日の前日等までとされている届出書については、該当日が日曜日等の国民の休日等に当たる場合であっても、その日までに提出がなければそれぞれの規定の適用を受けることができないと記載しています。同じ No.6629 でも、たとえば2割特例・3割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間から簡易課税制度の適用を受ける場合(注8)のように、別の期限が定められている項目もあります。No.6629 は[令和8年4月1日現在法令等]で、注8 は、その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限(その翌課税期間が令和8年9月30日以前に終了する課税期間である場合は、その翌課税期間の末日)までにこの届出書を提出すれば、当該翌課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができると記載しています。御社に当てはまる期限がどれで、その日が何月何日になるかは、税理士または税務署にご確認ください。
経営者以前に選択届出書を出したが、その後は売上が大きくて本則で申告していた。今は売上が落ちている。何もしなくてよいか。
制度の事実No.6505 の注意事項は、この場合について記載しています。届出書を提出した事業者の基準期間における課税売上高が5,000万円を超えることにより簡易課税制度を適用できなくなった場合、またはその基準期間における課税売上高が1,000万円以下となり免税事業者となった場合であっても、その後の課税期間において基準期間における課税売上高が1,000万円を超え5,000万円以下となったときには、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出している場合を除き、再び簡易課税制度が適用されるとされています。過去に提出した届出書が現在どう扱われているかは、税理士または税務署にご確認ください。
よくある質問
- 簡易課税をやめるには、何をすればよいのですか?
- タックスアンサー No.6505 は、簡易課税制度の適用を受けている事業者がその適用をやめようとする場合には、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要があると記載しています。タックスアンサー No.6629 の一覧でも、この届出書の提出期限等は「適用をやめようとする課税期間の初日の前日まで」とされています。やめる時期と提出の手続は、税理士または税務署にご確認ください。
- 「2年間はやめられない」とは、条文ではどう書かれているのですか?
- No.6505 は次のように記載しています。「簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、『消費税簡易課税制度選択届出書』の効力が生ずる課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、『消費税簡易課税制度選択不適用届出書』を提出することはできません。」No.6629 の注9 は「消費税簡易課税制度選択届出書を提出した場合には、原則として、適用を開始した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、適用をやめようとする旨の届出書を提出することができません」としています。起算点は届出書を出した日ではなく、その効力が生ずる課税期間の初日です。自社の起算点がいつになるかは、税理士または税務署にご確認ください。
- 事業をやめる場合はどうなりますか?
- No.6505 の記載は「事業を廃止した場合を除き」という書き出しになっており、事業を廃止した場合はこの制限の対象から外れています。廃止した場合の届出の要否と時期については、税理士または税務署にご確認ください。
- 提出期限が日曜日に当たったら、翌日まで延びますか。
- No.6629 の注2 は次のように記載しています。「提出期限等が課税期間の初日の前日等までとされている届出書については、該当日が日曜日等の国民の休日等に当たる場合であっても、その日までに提出がなければそれぞれの規定の適用を受けることができませんのでご注意ください。」つまり、この種類の届出書について期限が延びるとは記載されていません。自社の提出期限の日付は、税理士または税務署にご確認ください。
- うっかり期限を過ぎてしまった場合、救済はありますか。
- No.6629 の注4 は次のように記載しています。「やむを得ない事情があるため、適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかった場合には、提出できなかった事情などを記載した申請書を、やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内に所轄税務署長に提出し、承認を受けることにより、その課税期間の初日の前日にこれらの届出書を提出したものとみなされます。」また No.6505 も、災害その他やむを得ない事情によりその課税期間開始前に選択届出書または不適用届出書の提出ができなかった場合には、その届出期限についての特例が適用できる場合があるとして、コード6630 およびコード6632 を参照するよう案内しています。承認の要否と手続は、税理士または税務署にご確認ください。
- 売上が増えて簡易課税が使えなくなったら、届出書の効力も消えますか。
- No.6505 の注意事項は、そうは記載していません。「『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出している場合であっても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える場合には、その課税期間については、簡易課税制度は適用できません」としたうえで、「なお、この届出書を提出した事業者のその課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円を超えることにより、その課税期間について簡易課税制度を適用できなくなった場合またはその課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となり免税事業者となった場合であっても、その後の課税期間において基準期間における課税売上高が1,000万円を超え5,000万円以下となったときには、その課税期間の初日の前日までに『消費税簡易課税制度選択不適用届出書』を提出している場合を除き、再び簡易課税制度が適用されます」と記載しています。自社の届出書の効力が現在どうなっているかは、税理士または税務署にご確認ください。
- 選択届出書は、いつでも出せるのですか。
- No.6629 の注6 は次のように記載しています。「『消費税課税事業者選択届出書』を提出して課税事業者となっている場合、新設法人・特定新規設立法人に該当する場合、高額特定資産の仕入れ等を行った場合または高額特定資産である棚卸資産等について調整措置の適用を受けた場合には、一定期間『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出できない場合があります。」提出できない期間に当たるかどうかは、税理士または税務署にご確認ください。
個別の判断について
適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。
出典(一次情報)
- 国税庁 タックスアンサー No.6505 簡易課税制度(令和8年4月1日現在法令等)確認日 2026-10-08
- 国税庁 タックスアンサー No.6629 消費税の各種届出書(令和8年4月1日現在法令等)確認日 2026-10-09
- 国税庁 インボイス Q&A 問117-3(令和8年4月追加・簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例)確認日 2026-08-20
法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。