令和8年度税制改正に対応

みなし仕入率の事業区分はどう見分けるか(第4種と第5種の境界・加工賃・固定資産の売却)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

簡易課税制度では事業形態により第1種から第6種までの6つの事業に区分し、第1種90%、第2種80%、第3種70%、第4種60%、第5種50%、第6種40%のみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。国税庁タックスアンサーNo.6509は、事業者が行う事業がどの区分に該当するかの判定を、原則としてその事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行うとしています。つまり会社や店の単位ではなく、取引の単位で判定します。第4種と第5種の境界にあるのが飲食店業で、サービス業は第5種ですが、飲食店業に該当するものはそこから除かれ第4種になります。第3種から除かれる「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」を行う事業も第4種です。ただし日本標準産業分類の大分類が運輸通信業・金融保険業・サービス業に該当するものは、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供であっても第5種となります。自己が使用していた固定資産を譲渡する事業は第4種に該当します。2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、区分していない部分について、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率が適用されます。自社の取引がどの区分に当たるかの判定は、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • みなし仕入率は6区分で、第1種90%・第2種80%・第3種70%・第4種60%・第5種50%・第6種40%。
  • 区分の判定は、事業者の単位ではなく原則として課税資産の譲渡等ごと(取引ごと)に行う。
  • 第1種と第2種の境界は販売先で、他の事業者への販売が第1種、それ以外が第2種。
  • 第3種から除かれる「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」を行う事業は第4種になる。
  • 第4種と第5種の境界は飲食店業で、サービス業のうち飲食店業に該当するものは第5種から除かれる。
  • 自己が使用していた固定資産の譲渡は第4種に該当する。
  • 事業ごとに区分していない課税売上げには、区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率が適用される。

みなし仕入率は6つ。まず率と区分を並べる

簡易課税制度は、売上げに係る消費税額に「みなし仕入率」を掛けた金額を、仕入れに係る消費税額として控除する計算です。

国税庁タックスアンサーNo.6509は、事業形態により第1種から第6種までの6つの事業に区分し、それぞれの課税売上高に対して次の率を適用すると記載しています。

事業区分みなし仕入率該当する事業(原文の要旨)
第1種事業90%卸売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)
第2種事業80%小売業(他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで販売する事業で第1種事業以外のもの)、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業)
第3種事業70%農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業
第4種事業60%第1種・第2種・第3種・第5種・第6種以外の事業。具体的には飲食店業など
第5種事業50%運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除く)
第6種事業40%不動産業

率の差は小さくありません。第4種と第5種の間には 10ポイントの差があります。区分の見分け方が問題になるのは、この差があるからです。

判定は「会社ごと」ではなく「取引ごと」

ここが最初のつまずきどころです。

No.6509は、事業者が行う事業が第1種事業から第6種事業までのいずれに該当するかの判定を、原則としてその事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行うとしています。

つまり「うちは製造業だから全部第3種」という決め方ではありません。同じ会社の中で、取引によって区分が分かれることがあります。

第1種と第2種の境界は「売る相手」

仕入れた商品をそのまま売る場合、区分は売る相手で分かれます。

  • 他の事業者に販売 … 第1種事業(90%)
  • それ以外の販売 … 第2種事業(80%)

No.6509は留意点として、次の2つを挙げています。

  • 消費者から購入した商品を品質または形状を変更しないで他の事業者に販売する事業も、卸売業に該当することになります。
  • 業務用に消費される商品の販売(業務用小売)であっても、事業者に対する販売であることが帳簿、書類等で明らかであれば卸売業に該当することになります。

後半は帳簿の話でもあります。相手が事業者であることを書類で示せるかどうかが、区分の判定に関わってきます。

なお第2種事業については、食料品小売店が他から購入した食料品に、その小売店舗において軽微な加工をして販売する場合の取扱いも示されています。加工前の食料品の販売店舗において一般的に行われると認められるもので、加工後の商品が加工前の商品と同一の店舗において販売されるものは、加工後の商品の販売についても第2種事業に該当するものとして差し支えない、という内容です。

第3種と第4種の境界は「加工賃その他これに類する料金」

No.6509の第3種事業の説明には、除外がついています。

第3種事業は、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業をいい、第1種事業・第2種事業に該当するものおよび加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除く、とされています。

そして第4種事業の説明に、こう書かれています。

なお、第3種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第4種事業となります。

製造業や建設業であっても、対価が加工賃その他これに類する料金であれば、率は 70% ではなく 60% の側で計算することになります。

第3種事業の判定について、No.6509は、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定するとしたうえで、次の事業は第3種事業に該当するものとして取り扱われると記載しています。

  • 自己の計算において原材料等を購入し、これをあらかじめ指示した条件に従って下請加工させて完成品とする、いわゆる製造問屋
  • 自己が請け負った建設工事の全部を下請に施工させる建設工事の元請
  • 天然水を採取して瓶詰等して人の飲用に販売する事業
  • 新聞・書籍等の発行、出版を行う事業

第4種と第5種の境界は「飲食店業」

もっとも間違えやすいのがここです。

第5種事業は運輸通信業、金融・保険業、サービス業ですが、サービス業からは「飲食店業に該当する事業」が除かれます。除かれた飲食店業は、第1種から第3種・第5種・第6種のいずれにも当たらないため、第4種事業になります。

  • 飲食店業 … 第4種事業(60%)
  • 飲食店業に該当しないサービス業 … 第5種事業(50%)

さらにNo.6509は、逆向きの注意も置いています。日本標準産業分類の大分類の区分が運輸通信業、金融・保険業、サービス業に該当するものは、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業」であっても第5種事業に該当する、という記載です。加工賃だからといって一律に第4種になるわけではありません。

宿泊業の場合

No.6509は、サービス業から除かれる「飲食店業に該当するもの」の例を具体的に挙げています。

  • ホテル内にある宴会場、レストラン、バー等のように、そのホテルの宿泊者以外の者でも利用でき、その場で料金の精算をすることもできるようになっている施設での飲食物の提供
  • 宿泊者に対する飲食物の提供で、宿泊サービスとセットの夕食等の提供時に宿泊者の注文に応じて行う特別料理、飲料等の提供や、客室内に冷蔵庫を設置して行う飲料等の提供のように、料金体系上も宿泊に係る料金と区分されており、料金の精算時に宿泊料と区分して領収されるもの

そのうえで、次の記載があります。

なお、例えば、「1泊2食付で2万円」というように、食事代込みで宿泊料金が定められている場合は、その料金の全額が第5種事業の対価となります。

同じ夕食でも、料金の立て方によって区分の扱いが変わるということです。

見落としやすい第4種 — 使っていた固定資産を売ったとき

No.6509の留意点には、次の記載があります。

事業者が自己において使用していた固定資産の譲渡を行う事業は、第4種事業に該当することになります。

機械や車両を入れ替えて古いものを売却したときの売却収入は、本業の区分ではなく第4種事業(60%)として扱われることになります。本業だけを見て区分を決めていると抜けやすい部分です。

区分していないと、一番低い率が使われる

国税庁タックスアンサーNo.6505は、2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合について、こう記載しています。

2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、この区分をしていない部分については、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算します。

区分していない部分には、その中で一番低い率が当てられます。帳簿の付け方が、そのまま計算に影響する形です。

なお、2種類以上の事業を営む場合には、No.6505に次の特例の計算も示されています。

  • 2種類以上の事業を営む事業者で、1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の 75%以上を占める場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます。
  • 3種類以上の事業を営む事業者で、特定の2種類の事業の課税売上高の合計額が全体の課税売上高の 75%以上を占める場合には、その2業種のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高にはそのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高にはその2種類のうち低い方のみなし仕入率を適用することができます。

区分の前に、簡易課税そのものの要件も確認が要ります

事業区分は、簡易課税制度を適用する場合の計算方法です。簡易課税制度そのものには、次の要件があります(No.6505)。

  • 納税地の所轄税務署長に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出した課税事業者であること
  • その基準期間(個人事業者は前々年、法人は原則として前々事業年度)における課税売上高が 5,000万円以下の課税期間であること
  • 事業を廃止した場合を除き、届出書の効力が生ずる課税期間の初日から 2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、選択不適用届出書を提出できないこと

区分の判定も、簡易課税を適用するかどうかの判断も、個別の事情によって結論が変わります。自社の取引の区分、帳簿での分け方、申告方法については、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

出典

  • 国税庁 タックスアンサー No.6509 簡易課税制度の事業区分(令和7年4月1日現在法令等)/確認日 2026-08-20
  • 国税庁 タックスアンサー No.6505 簡易課税制度(令和7年4月1日現在法令等)/確認日 2026-08-20
  • 国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問117-3(令和8年4月追加。2ページ目にみなし仕入率6区分の表)/確認日 2026-08-20

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者うちは町工場だ。製造業だから第3種、それでいいんじゃないのか。

制度の事実国税庁タックスアンサーNo.6509は、第3種事業を製造業などとしたうえで、そこから「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」を除くと記載しています。同じページの第4種事業の欄には、第3種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第4種事業となる、と書かれています。みなし仕入率は第3種が70%、第4種が60%です。また区分の判定は原則として課税資産の譲渡等ごとに行うとされており、同じ工場でも取引によって区分が分かれることがあります。自社の取引がどちらに当たるかは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者小さな旅館をやっている。料理も出すが、飲食店業になるのか宿泊業のサービス業になるのか。

制度の事実No.6509は、サービス業から除かれる「飲食店業に該当するもの」の例として、ホテル内にある宴会場・レストラン・バーのように宿泊者以外でも利用でき、その場で料金の精算もできる施設での飲食物の提供と、宿泊者に対する飲食物の提供のうち特別料理や客室内の冷蔵庫の飲料等のように料金体系上も宿泊料金と区分され、精算時に宿泊料と区分して領収されるものを挙げています。一方、たとえば「1泊2食付で2万円」のように食事代込みで宿泊料金が定められている場合は、その料金の全額が第5種事業の対価となると記載されています。実際の料金設定に当てはめた判定は、税理士または税務署にご確認ください。

経営者同じ商品でも、売る相手で区分が変わると聞いた。本当か。

制度の事実No.6509は、第1種事業(卸売業)を他の者から購入した商品をその性質、形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業とし、第2種事業(小売業)をその販売のうち第1種事業以外のものとしています。さらに留意点として、業務用に消費される商品の販売であっても、事業者に対する販売であることが帳簿、書類等で明らかであれば卸売業に該当することになる、と記載されています。みなし仕入率は第1種が90%、第2種が80%です。帳簿書類の備え方を含めた判定は、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

事業区分は、会社ごと・お店ごとに1つ決まるのですか?
国税庁タックスアンサーNo.6509は、事業者が行う事業が第1種事業から第6種事業までのいずれに該当するかの判定を、原則としてその事業者が行う課税資産の譲渡等ごとに行うとしています。したがって1つの事業者が複数の区分にまたがることがあります。自社の取引ごとの判定は、税理士または税務署にご確認ください。
飲食店は第5種のサービス業ではないのですか?
No.6509の表では、第5種事業は運輸通信業、金融・保険業、サービス業とされていますが、サービス業からは「飲食店業に該当する事業」が除かれます。そして第4種事業は第1種・第2種・第3種・第5種・第6種以外の事業をいい、具体的には飲食店業などであると記載されています。みなし仕入率は第4種が60%、第5種が50%です。個別の当てはめは税理士または税務署にご確認ください。
製造業ですが、材料は相手先から支給されています。第3種のままですか?
No.6509の第3種事業の説明では、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業および水道業から、第1種事業・第2種事業に該当するものおよび「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供」が除かれます。そして第4種事業の説明には、第3種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第4種事業となる旨が記載されています。自社の取引がこれに当たるかどうかの判定は、税理士または税務署にご確認ください。
使っていた機械を売りました。これは何種になりますか?
No.6509の留意点のうち第4種事業の欄には、事業者が自己において使用していた固定資産の譲渡を行う事業は第4種事業に該当することになる、と記載されています。第4種事業のみなし仕入率は60%です。実際の申告での取扱いは、税理士または税務署にご確認ください。
売上を事業区分ごとに分けていない場合はどうなりますか?
国税庁タックスアンサーNo.6505は、2種類以上の事業を営む事業者が課税売上げを事業ごとに区分していない場合には、この区分をしていない部分について、その区分していない事業のうち一番低いみなし仕入率を適用して仕入控除税額を計算する、としています。帳簿での区分の方法については、税理士または税務署にご相談ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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