令和8年度税制改正に対応

課税期間を1か月・3か月に短縮すると、2割特例・3割特例は適用できない課税期間になる

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

消費税の課税期間は、個人事業者は1月1日から12月31日まで、法人はその事業年度が原則ですが、特例として事業者の選択により3か月ごとまたは1か月ごとに区分して短縮することができます(国税庁 タックスアンサー No.6137、消費税法第19条)。国税庁のインボイス制度に関するQ&A 問115《2割特例の適用ができない課税期間①》は、2割特例の適用を受けることができない課税期間の⑩として「課税期間の特例の適用を受ける課税期間」を掲げています。同じQ&Aの問115-2《3割特例の適用ができない課税期間》も、3割特例について⑧として同じ内容を掲げています。いずれも注5で、課税期間の特例の適用を受ける課税期間とは「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により課税期間を一月または三月に短縮している課税期間であり、課税期間の特例の適用(不適用)により一の課税期間とみなされる課税期間も含まれるとしています。また、課税期間の特例の適用を受けた場合には、事業を廃止した場合を除き、2年間はその特例をやめることはできません(No.6137)。自社の課税期間の選択と各特例の適用の可否は、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 消費税の課税期間は、個人事業者は1月1日から12月31日まで、法人はその事業年度が原則(タックスアンサー No.6137)。
  • 特例として、事業者の選択により3か月ごとまたは1か月ごとに区分して短縮することができる(消費税法第19条)。
  • インボイス制度に関するQ&A 問115 は、2割特例を適用できない課税期間の⑩として「課税期間の特例の適用を受ける課税期間」を掲げている。
  • 問115-2 は、3割特例を適用できない課税期間の⑧として同じ内容を掲げている。3割特例でも扱いは変わらない。
  • いずれの注5も、課税期間の特例の適用(不適用)により一の課税期間とみなされる課税期間を含むとしている。年や事業年度の途中で始めた場合・やめた場合に生じるみなし課税期間も対象になる。
  • 課税期間の特例の適用を受けようとするときは、原則としてその適用を受けようとする短縮に係る課税期間の開始の日の前日までに「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出する。
  • 課税期間の特例の適用を受けた場合には、事業を廃止した場合を除き、2年間はその特例をやめることができない。3か月ごとと1か月ごとの間の変更も、変更前の特例の適用を受けた課税期間の開始の日から2年間はできない。

課税期間は短くできる

消費税の 課税期間 は、原則として次のとおりです。

区分課税期間
個人事業者1月1日から12月31日まで
法人その法人の事業年度

タックスアンサー No.6137 は、これに続けて特例を記載しています。

課税期間は、特例として事業者の選択により、3か月ごとまたは1か月ごとに区分して短縮することができます。

個人事業者が3か月ごとに短縮する場合は、1月1日から3月31日まで、4月1日から6月30日まで、7月1日から9月30日まで、10月1日から12月31日までの各期間が、それぞれ1つの課税期間になります。法人の場合は、事業年度の初日から3か月または1か月ごとに区分した各期間です。

確定申告は、原則としてその課税期間の終了の日の翌日から2か月以内に行うこととされています(個人事業者の12月31日の属する課税期間は翌年3月31日まで)。課税期間が短くなれば、申告と納付の回数はその分だけ増えます。

短縮した課税期間は、2割特例の対象から外れる

国税庁のインボイス制度に関するQ&A 問115《2割特例の適用ができない課税期間①》は、2割特例を適用できない課税期間を①から⑩まで挙げています。その最後の項目が、課税期間の短縮です。

【課税期間を短縮している場合】 ⑩ 課税期間の特例の適用を受ける課税期間(注5)

注5には、対象の範囲が書かれています。

(注)5 課税期間の特例の適用を受ける課税期間とは、「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により、課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間であり、課税期間の特例の適用(不適用)により一の課税期間とみなされる課税期間も含みます(消法19)。

「一の課税期間とみなされる課税期間も含みます」という部分が、見落とされやすいところです。

No.6137 の注1は、年または事業年度の途中で特例の適用を受けた場合、課税期間の開始の日から適用開始の日の前日までの期間を1つの課税期間とみなして確定申告をすることになると記載しています。適用をやめた場合も同様に、やめた課税期間の末日の翌日からその年の12月31日またはその事業年度の末日までが1つの課税期間になります。

この「みなし」の期間も、⑩に含まれます。短縮していた期間だけが対象、というつくりにはなっていません。

3割特例でも、扱いは変わらない

問115-2《3割特例の適用ができない課税期間》は、3割特例を適用できない課税期間を①から⑧まで挙げています。その最後も同じ項目です。

【課税期間を短縮している場合】 ⑧ 課税期間の特例の適用を受ける課税期間(注5)

注5の文言も、問115 と同じです。2つのQ&Aを並べると次のようになります。

特例Q&A課税期間の短縮の項目
2割特例問115(①〜⑩)⑩ 課税期間の特例の適用を受ける課税期間
3割特例問115-2(①〜⑧)⑧ 課税期間の特例の適用を受ける課税期間

3割特例の適用できない課税期間の全体は「[3割特例が使えない8つのケース](/articles/3wari-tsukaenai-8-cases/)」で扱っています。

届出の期限は「開始の日の前日まで」

No.6137 は、届出書と期限を次のように記載しています。

場面届出書期限
課税期間の特例の適用を受けようとするとき/他の特例に変更しようとするとき消費税課税期間特例選択・変更届出書原則として、その適用を受けようとするまたは変更しようとする短縮に係る課税期間の開始の日の前日まで
特例の適用をやめようとするとき消費税課税期間特例選択不適用届出書やめようとする課税期間の開始の日の前日まで

いずれも「開始の日の前日まで」であり、その課税期間が始まってからでは間に合いません。

2年間は、やめることも変えることもできない

No.6137 には、期間の縛りが2つ書かれています。

なお、課税期間の特例の適用を受けた場合には、事業を廃止した場合を除き、2年間はその特例をやめることはできません。
(注2) 3か月ごとの課税期間から1か月ごとの課税期間へ変更する場合または1か月ごとの課税期間から3か月ごとの課税期間へ変更する場合は、変更前の特例の適用を受けた課税期間の開始の日から2年間はその特例を変更することはできません。
縛り内容
やめられない事業を廃止した場合を除き、2年間はその特例をやめることはできない
変えられない3か月ごとと1か月ごとの間で変更する場合、変更前の特例の適用を受けた課税期間の開始の日から2年間は変更できない

課税期間を短縮するという選択は、その課税期間だけの話では終わりません。2年間にわたって、2割特例・3割特例を適用できない課税期間が続くことになります。

2割特例が適用できる期間そのものは「[2割特例はいつ終わる?](/articles/2wari-when-ends/)」で、申告と納付の期限は「[消費税の確定申告と納付はいつまでか](/articles/shohizei-shinkoku-nofu-kigen/)」で扱っています。

確認しておきたいこと

  • 自社が 課税期間の特例(1か月ごと・3か月ごと)の適用を受けているかどうか
  • 受けている場合、適用を受けた課税期間の開始の日がいつか(2年間の起算点になります)
  • 年・事業年度の途中で開始した場合に生じる、一の課税期間とみなされる期間がどこか
  • その課税期間について、2割特例・3割特例の適用ができない課税期間に当たるかどうか
  • 届出書を出す場合、短縮に係る課税期間の開始の日の前日までに間に合うかどうか

試算ツールでは、課税売上高と課税仕入れを入れて、課税期間ごとの納付税額の見当をつけられます。表示されるのは前提を置いた計算結果であり、適用できる特例の判定そのものではありません。判定は、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者設備投資で還付が出そうだ。課税期間を3か月に区切れば早く受け取れると聞いたが。

制度の事実課税期間を短縮できること自体は、タックスアンサー No.6137 に記載があります。課税期間は特例として事業者の選択により3か月ごとまたは1か月ごとに区分して短縮することができ、確定申告は原則としてその課税期間の終了の日の翌日から2か月以内に行うこととされています。一方で、インボイス制度に関するQ&A 問115 は、2割特例の適用ができない課税期間の⑩として「課税期間の特例の適用を受ける課税期間」を掲げ、問115-2 も3割特例について⑧として同じ内容を掲げています。したがって、課税期間を短縮した場合、その課税期間はこれらの特例の適用ができない課税期間に当たります。どちらの取扱いが自社の状況に当てはまるかは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者1年だけ試して、合わなければ元に戻せばよいのではないか。

制度の事実戻せる時期に定めがあります。No.6137 は、課税期間の特例の適用を受けた場合には、事業を廃止した場合を除き、2年間はその特例をやめることはできないと記載しています。やめる場合の手続についても、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出しなければならないとされています。また、3か月ごとと1か月ごとの間で変更する場合も、変更前の特例の適用を受けた課税期間の開始の日から2年間は変更できないとされています。自社の場合にいつから変更や取りやめができるかは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者うちは個人事業者だ。令和9年からの3割特例には影響しないだろうか。

制度の事実問115-2《3割特例の適用ができない課税期間》は、3割特例の適用を受けることができない課税期間の⑧として「課税期間の特例の適用を受ける課税期間」を掲げています。注5は、これを「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間であり、課税期間の特例の適用(不適用)により一の課税期間とみなされる課税期間も含むとしています。したがって、課税期間を短縮している間は、3割特例についても適用ができない課税期間に当たることになります。自社の課税期間がいつからいつまでかという整理は、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

課税期間はどのくらいまで短くできますか?
タックスアンサー No.6137 は、課税期間は特例として事業者の選択により3か月ごとまたは1か月ごとに区分して短縮することができると記載しています。個人事業者が3か月ごとに短縮する場合は1月1日から3月31日まで、4月1日から6月30日まで、7月1日から9月30日まで、10月1日から12月31日までの各期間、1か月ごとに短縮する場合は1月1日から1か月ごとに区分した各期間が課税期間になります。法人の場合は事業年度の初日から3か月または1か月ごとに区分した各期間です。自社に合う課税期間の選び方は、税理士または税務署にご確認ください。
課税期間を短縮すると2割特例はどうなりますか?
インボイス制度に関するQ&A 問115《2割特例の適用ができない課税期間①》は、2割特例の適用を受けることができない課税期間を①から⑩まで列挙しており、その⑩として「課税期間の特例の適用を受ける課税期間」を掲げています。注5は、これを「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により課税期間を一月又は三月に短縮している課税期間であるとしています。自社の課税期間がこれに当たるかどうかは、税理士または税務署にご確認ください。
3割特例でも同じですか?
問115-2《3割特例の適用ができない課税期間》は、3割特例の適用を受けることができない課税期間を①から⑧まで列挙し、その⑧として「課税期間の特例の適用を受ける課税期間」を掲げています。注5の内容も問115 と同じです。2割特例と3割特例で、この項目の扱いは変わりません。個別のあてはめは、税理士または税務署にご確認ください。
年の途中で課税期間の短縮を始めた場合、その前の期間はどうなりますか?
No.6137 の注1は、年または事業年度の途中でこの特例の適用を受けた場合は、課税期間の開始の日から適用開始の日の前日までの期間を1つの課税期間とみなして確定申告をすることになると記載しています。そして問115 注5・問115-2 注5は、課税期間の特例の適用(不適用)により一の課税期間とみなされる課税期間も、適用ができない課税期間に含まれるとしています。自社の期間の区切り方は、税理士または税務署にご確認ください。
短縮をやめたいときは、いつでもやめられますか?
No.6137 は、課税期間の特例の適用を受けている事業者がその適用をやめようとする場合には、やめようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出しなければならないとしたうえで、課税期間の特例の適用を受けた場合には、事業を廃止した場合を除き、2年間はその特例をやめることはできないと記載しています。自社の適用開始時期といつからやめられるかは、税理士または税務署にご確認ください。
3か月ごとから1か月ごとへ変更することはできますか?
No.6137 は、既に課税期間の特例の適用を受けている事業者が他の課税期間の特例に変更しようとするときも、原則としてその変更しようとする短縮に係る課税期間の開始の日の前日までに「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出しなければならないとしています。あわせて注2で、3か月ごとの課税期間から1か月ごとの課税期間へ変更する場合または1か月ごとの課税期間から3か月ごとの課税期間へ変更する場合は、変更前の特例の適用を受けた課税期間の開始の日から2年間はその特例を変更することはできないと記載しています。変更の可否と時期は、税理士または税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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