令和8年度税制改正に対応

現金主義(消費税法第18条)を選んでいる個人事業者は、課税仕入れを「支出した日」で判定します

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

消費税法18条1項は「個人事業者で所得税法第六十七条第一項又は第二項(小規模事業者等の収入及び費用の帰属時期)の規定の適用を受ける者の資産の譲渡等及び課税仕入れを行つた時期は、その資産の譲渡等に係る対価の額を収入した日及びその課税仕入れに係る費用の額を支出した日とすることができる」と定めています。原則である消費税法基本通達11-3-1 は、課税仕入れを行った日を「資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日」とし、その日がいつであるかは別に定めるものを除き第9章の取扱いに準ずるとしています。つまり、この特例を適用している個人事業者は、判定に用いる日そのものが違います。免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の割合は、国税庁インボイスQ&A 問113-3 が「適用しようとする課税仕入れの時期で判断する」と記載しているため、令和8年9月30日をまたぐ取引では、同じ取引でも原則と結論が反対になる場合があります。入口の要件は所得税法67条1項と所得税法施行令195条にあり、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者で、前々年分の不動産所得の金額および事業所得の金額の合計額が300万円以下であることとされています。なお消費税側には届出書がなく、消費税法18条2項は確定申告書への付記を求めています。自社がこの特例の適用を受けているか、また令和8年9月30日をまたぐ取引がどの割合になるかは、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 消費税法18条1項は、所得税法67条1項・2項の適用を受ける個人事業者について、課税仕入れを行った時期を「その課税仕入れに係る費用の額を支出した日」とすることができると定めている(e-Gov 消費税法・2026年4月1日施行版)。
  • 原則は消費税法基本通達11-3-1。課税仕入れを行った日とは資産の譲受け若しくは借受けをした日または役務の提供を受けた日をいい、その日がいつかは「別に定めるものを除き」第9章の取扱いに準ずる。消費税法18条1項は法律の側に置かれた別の定めである。
  • したがって「支払日で判定するのではない」という説明は、原則についての説明である。この特例を適用している個人事業者は、支出した日で判定する。
  • 経過措置の割合は課税仕入れの時期で判断する(インボイスQ&A 問113-3)。令和5年10月1日から令和8年9月30日までが80%、令和8年10月1日から令和10年9月30日までが70%。判定に用いる日が動けば、またぐ取引の割合も動く。
  • 入口の要件は所得税法67条1項と所得税法施行令195条。青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けていること、前々年分の不動産所得の金額および事業所得の金額(事業専従者の規定を適用しないで計算した金額)の合計額が300万円以下であること。判定するのは所得の金額であって、売上高ではない。
  • 所得税側には手続の期限がある(所得税法施行令197条1項・その年3月15日まで。1月16日以後に業務を開始した場合はその日から2か月以内)。一方、消費税側に届出書はなく、消費税法18条2項は確定申告書への付記を求めるにとどまる。
  • この特例の適用をやめた場合、消費税法施行令40条1項が、やめた課税期間の初日の前日における売掛金等・買掛金等の残高の差額について、同日に資産の譲渡等または課税仕入れを行ったものとみなすと定めている。
  • 消費税法施行令70条の9第1項1号は、消費税法18条1項により前受金に係る資産の譲渡等を収入した日に行ったものとされる場合を、適格請求書の交付義務が生じない場合として挙げている。
  • 消費税法45条5項ただし書は、売上税額の積上げ計算の対象から「第十八条第一項の規定…の適用を受ける課税資産の譲渡等」を除いている。

「別に定めるもの」は、通達の中だけにあるのではありません

消費税の仕入税額控除は、課税仕入れを行った日の属する課税期間で計算します。その日がいつなのかを定めているのが、消費税法基本通達11-3-1 です。

11-3-1 法第30条第1項第1号《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する「課税仕入れを行った日」及び同項第2号に規定する「特定課税仕入れを行った日」とは、課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは借受けをした日又は役務の提供を受けた日をいうのであるが、これらの日がいつであるかについては、別に定めるものを除き、第9章《資産の譲渡等の時期》の取扱いに準ずる。

太字にした「別に定めるものを除き」が、この記事の入口です。

「別に定めるもの」というと、同じ通達の中の別の項目を思い浮かべます。ただし、法律そのものが別に定めている場合もあります。消費税法第18条が、それです。

消費税法18条1項の全文

(小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期等の特例) 第十八条 個人事業者で所得税法第六十七条第一項又は第二項(小規模事業者等の収入及び費用の帰属時期)の規定の適用を受ける者の資産の譲渡等及び課税仕入れを行つた時期は、その資産の譲渡等に係る対価の額を収入した日及びその課税仕入れに係る費用の額を支出した日とすることができる。 2 前項の規定の適用を受けようとする事業者は、第四十五条第一項の規定による申告書にその旨を付記するものとする。 3 前項に定めるもののほか、第一項の規定の適用を受ける個人事業者がその適用を受けないこととなつた場合の資産の譲渡等及び課税仕入れを行つた時期の特例その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(e-Gov 法令検索・2026年4月1日施行版。2026年9月2日に取得)

売上の側は「対価の額を収入した日」、仕入れの側は「費用の額を支出した日」。入りと出の両方が置き換わります。

原則と、結論が反対に出ることがあります

免税事業者等からの課税仕入れについては、仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置があります。割合は期間で区切られています。

期間割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日まで仕入税額相当額の 80%
令和8年10月1日から令和10年9月30日まで仕入税額相当額の 70%
令和10年10月1日から令和12年9月30日まで仕入税額相当額の 50%
令和12年10月1日から令和13年9月30日まで仕入税額相当額の 30%

(国税庁 インボイス Q&A 問113-3【令和8年4月追加】・28年改正法附則52、53)

そして同じ問113-3 に、次の1文があります。

本経過措置の適用に当たって用いる割合は、適用しようとする課税仕入れの時期で判断することとなります。

判定の軸は「課税仕入れの時期」です。同問の事例は、令和8年10月20日に役務の提供が完了し同月31日に代金を支払う場合について「令和8年 10 月 20 日が課税仕入れを行った日となることから、経過措置の適用に当たっては、仕入税額相当額の 70%の割合を用いて計算することとなります」と記載しています。支払日の10月31日は、判定に使われていません。

ここに、消費税法18条1項が重なります。同項の適用を受けている個人事業者は、課税仕入れを行った時期を「その課税仕入れに係る費用の額を支出した日」とすることができるからです。

課税仕入れを行った日原文
原則資産の譲受け若しくは借受けをした日、または役務の提供を受けた日消基通11-3-1
消費税法18条1項の適用を受ける個人事業者その課税仕入れに係る費用の額を支出した日消法18①

つまり「支払日ではなく、原則として引渡しや役務の完了で判定します」という説明は、原則についての説明です。この特例の適用を受けている個人事業者は、まさに支出した日で判定することになります。令和8年9月30日をまたぐ取引では、同じ取引でも用いる割合が変わる場合があります。

またぎの判定そのものは「[令和8年9月30日をまたぐ取引は80%か70%か](/articles/matagi-torihiki-hantei/)」で扱っています。自社の取引が何%になるかは、税理士または税務署にご確認ください。

入口は消費税法の側にありません

消費税法18条1項が入口としているのは「所得税法第六十七条第一項又は第二項の規定の適用を受ける者」です。消費税法の側に、独自の要件は置かれていません。

その所得税法67条1項は、次のとおりです。

(小規模事業者等の収入及び費用の帰属時期) 第六十七条 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者で不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を行うもののうち小規模事業者として政令で定める要件に該当するもののその年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除く。)の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額は、政令で定めるところにより、その業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができる。

「政令で定める要件」は、所得税法施行令195条にあります。

(小規模事業者の要件) 第百九十五条 法第六十七条第一項(小規模事業者等の収入及び費用の帰属時期)に規定する政令で定める要件は、次に掲げる要件とする。 一 その年の前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額(法第五十七条(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)の合計額が三百万円以下であること。 二 既に法第六十七条第一項の規定の適用を受けたことがあり、かつ、その後同項の規定の適用を受けないこととなつた者については、再び同項の規定の適用を受けることにつき財務省令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けた者であること。

原文に書かれている言葉のうち、読み飛ばせないのは次の2つです。

  • 判定するのは「前々年分」であること
  • 判定する数字は不動産所得と事業所得の金額(=所得)の合計額であること

消費税の納税義務の判定は「基準期間における課税売上高」で行います。どちらも「前々年」を見ますが、見ている数字が違います。

手続の期限は、所得税の側にしかありません

消費税法18条2項が求めているのは、確定申告書への付記です。

2 前項の規定の適用を受けようとする事業者は、第四十五条第一項の規定による申告書にその旨を付記するものとする。

消費税に、この特例のための届出書はありません。

いっぽう、所得税の側には期限のある届出書があります。所得税法施行令197条1項です。

第百九十七条 その年分以後の各年分の所得税につき第百九十六条第一項(小規模事業者の収入及び費用の帰属時期)の選択をする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に、同項の規定の適用を受けようとする旨その他財務省令で定める事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

同条2項は、やめる場合についても「その年三月十五日までに、その適用を受けることをやめる旨…を記載した届出書を…提出しなければならない」としています。

手続期限
所得税届出書の提出(所令197①)その年3月15日まで(1月16日以後に業務を開始した場合はその日から2か月以内)
消費税確定申告書への付記(消法18②)届出書の定めなし

自社の手続がどうなっているかについては、税理士または税務署にご確認ください。

やめたときは、前日にまとめて計上されます

消費税法18条3項は、適用をやめた場合の取扱いを政令に委ねています。その政令が、消費税法施行令40条です。

(小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期の特例) 第四十条 … 一 法第十八条第一項の規定の適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日における資産の譲渡等に係る売掛金その他の債権…の額の合計額から同項の規定の適用を受けることとなつた課税期間の初日の前日における売掛金等の額の合計額を控除した残額に係る部分については、その適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日において当該個人事業者が資産の譲渡等を行つたものとみなす。 二 …買掛金その他の債務…の額の合計額から…控除した残額に係る部分については、その適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日において当該個人事業者が課税仕入れを行つたものとみなす。

「入口の残高」と「出口の残高」の差額を、やめた課税期間の初日の前日に一括で計上する構造です。二重に計上したり、計上が漏れたりしないための定めです。

同条2項は、前受金に係る資産の譲渡等・前払金に係る課税仕入れを行った時期の特例や、控除しきれない金額が生じた場合の処理の方法を、財務省令に委ねています。

具体的な金額の計算については、税理士または税務署にご確認ください。

前受金は、この特例で扱いが変わります

この特例は「時期」だけの話ではありません。

まず、消費税法基本通達9-1-27 は、この特例の適用を受ける事業者を名指しで外しています。

9-1-27 資産の譲渡等に係る前受金、仮受金に係る資産の譲渡等の時期は、法第18条《小規模事業者に係る資産の譲渡等の時期等の特例》の規定の適用を受ける事業者を除き、現実に資産の譲渡等を行った時となることに留意する。

さらに、消費税法施行令70条の9第1項は、適格請求書の交付義務が生じない場合を列挙しており、その1号が次のとおりです。

第七十条の九 法第五十七条の四第一項に規定する政令で定める場合は、次に掲げる場合とする。 一 法第十八条第一項の規定により、資産の譲渡等(前受金に係るものに限る。)に係る対価の額を収入した日に当該資産の譲渡等を行つたものとされる場合

消費税法57条の4第1項の本文は「課税資産の譲渡等を行つた場合(…その他政令で定める場合を除く。)…交付しなければならない」という構造です。したがって、上の1号に当たる場合については、適格請求書の交付義務そのものが生じないという定めになっています。

売上税額の積上げ計算からも除かれています

消費税法45条5項は、交付した適格請求書等の写しを保存している場合に、課税標準額に対する消費税額を積上げで計算できる旨を定めています。ただし、そのただし書が次のとおりです。

ただし、第十六条第一項、第十七条第一項若しくは第二項本文又は第十八条第一項の規定その他政令で定める規定の適用を受ける課税資産の譲渡等については、この限りでない。

「第十八条第一項」が、この記事で扱っている特例です。自社の売上税額をどの方法で計算することになるかについては、税理士または税務署にご確認ください。

この記事のまとめ

  • 課税仕入れを行った日は「別に定めるものを除き」第9章の取扱いに準ずる(消基通11-3-1)。その「別に定めるもの」は通達の中だけでなく、法律の側にもある
  • 消費税法18条1項は、所得税法67条1項・2項の適用を受ける個人事業者について、課税仕入れを行った時期を「その課税仕入れに係る費用の額を支出した日」とすることができると定めている
  • 経過措置の割合は課税仕入れの時期で判断する(問113-3)。したがって令和8年9月30日をまたぐ取引では、原則とこの特例とで用いる割合が分かれる場合がある
  • 入口は消費税法の側になく、所得税法67条1項・所得税法施行令195条にある。青色申告の承認と、前々年分の不動産所得と事業所得の金額の合計額が300万円以下であること
  • 手続の期限は所得税の側にしかない(所令197①・その年3月15日まで)。消費税は申告書への付記(消法18②)
  • やめたときは、やめた課税期間の初日の前日に売掛金等・買掛金等の残高の差額をまとめて計上したものとみなされる(消令40①)
  • 前受金については、適格請求書の交付義務が生じない場合として政令に挙げられている(消令70の9①一)
  • 売上税額の積上げ計算の対象からは除かれている(消法45⑤ただし書)

自社がこの特例の適用を受けているか、令和8年9月30日をまたぐ取引が何%になるか、そして税額がどうなるかの当てはめについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者うちは長年、現金が動いた日で帳簿をつけている。消費税でも、払った日で仕入れを計上してよいのか。

制度の事実消費税法18条1項は「個人事業者で所得税法第六十七条第一項又は第二項…の規定の適用を受ける者の資産の譲渡等及び課税仕入れを行つた時期は、その資産の譲渡等に係る対価の額を収入した日及びその課税仕入れに係る費用の額を支出した日とすることができる」と定めています。条文が入口としているのは「所得税法第六十七条第一項又は第二項の規定の適用を受ける者」であり、帳簿を現金の動きでつけているかどうかではありません。所得税法67条1項は青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者であることを求め、所得税法施行令195条1号は前々年分の不動産所得の金額および事業所得の金額の合計額が300万円以下であることを求めています。御社がこれに当たるかどうかは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者9月中に仕事を頼んで、代金を払うのは10月になりそうだ。免税事業者への支払いなのだが、控除できるのは8割か7割か。

制度の事実国税庁 インボイス Q&A 問113-3【令和8年4月追加】は「本経過措置の適用に当たって用いる割合は、適用しようとする課税仕入れの時期で判断することとなります」と記載しています。割合は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までが仕入税額相当額の80%、令和8年10月1日から令和10年9月30日までが70%です。そして課税仕入れの時期については、消費税法基本通達11-3-1 が原則を定める一方、消費税法18条1項は、その適用を受ける個人事業者について「その課税仕入れに係る費用の額を支出した日」とすることができると定めています。つまり、この特例の適用を受けているかどうかで、判定に用いる日が変わります。御社の取引が何%になるかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者この方法をやめたら、それまでの未払い分はどう扱われるのか。

制度の事実消費税法施行令40条1項が定めを置いています。同項2号は、適用を受けないこととなった課税期間の初日の前日における買掛金その他の債務の額の合計額から、適用を受けることとなった課税期間の初日の前日における買掛金等の額の合計額を控除した残額に係る部分について「その適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日において当該個人事業者が課税仕入れを行つたものとみなす」と定めています。1号は売掛金等について同じ形の定めを置いています。また同条2項は、前受金に係る資産の譲渡等や前払金に係る課税仕入れを行った時期の特例、控除しきれない金額が生じた場合の処理の方法を財務省令に委ねています。御社の場合にいくらの調整になるかについては、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

消費税法18条1項には、何と書かれていますか。
次のとおりです。「個人事業者で所得税法第六十七条第一項又は第二項(小規模事業者等の収入及び費用の帰属時期)の規定の適用を受ける者の資産の譲渡等及び課税仕入れを行つた時期は、その資産の譲渡等に係る対価の額を収入した日及びその課税仕入れに係る費用の額を支出した日とすることができる。」(e-Gov 法令検索・2026年4月1日施行版で2026年9月2日に確認)自社が「所得税法第六十七条第一項又は第二項の規定の適用を受ける者」に当たるかについては、税理士または税務署にご確認ください。
誰が使える特例ですか。
消費税法18条1項は、入口を「所得税法第六十七条第一項又は第二項の規定の適用を受ける者」と定めており、消費税法の側に独自の要件を置いていません。その所得税法67条1項は「青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者で不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を行うもののうち小規模事業者として政令で定める要件に該当するもの」と定め、その政令である所得税法施行令195条1号が「その年の前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額(法第五十七条(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)の合計額が三百万円以下であること」としています。要件の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
「300万円以下」は売上高で判定するのですか。
所得税法施行令195条1号が挙げているのは「前々年分の不動産所得の金額及び事業所得の金額…の合計額」であり、所得の金額です。消費税の納税義務の判定に用いる「基準期間における課税売上高」とは、同じ「前々年」を見る場合でも、対象になる数字が異なります。自社の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
消費税にも届出書がありますか。
消費税法18条2項は「前項の規定の適用を受けようとする事業者は、第四十五条第一項の規定による申告書にその旨を付記するものとする」と定めています。届出書ではなく、確定申告書への付記です。一方、所得税側には期限のある届出書があり、所得税法施行令197条1項は「その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項に規定する業務を開始した場合には、その業務を開始した日から二月以内)に…届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない」と定めています。手続については、税理士または税務署にご確認ください。
所得税で現金主義を選んでいれば、消費税でも自動的にそうなりますか。
消費税法18条1項の文言は「…とすることができる」です。選択できるという書き方であり、当然にそうなると定めた条文ではありません。加えて、同条2項が求める確定申告書への付記は、消費税の申告書についての手続です。自社の申告がどうなっているかについては、税理士または税務署にご確認ください。
この特例をやめると、どうなりますか。
消費税法施行令40条1項2号は、消費税法18条1項の適用を受けないこととなった課税期間の初日の前日における買掛金その他の債務の額の合計額から、適用を受けることとなった課税期間の初日の前日における買掛金等の額の合計額を控除した残額に係る部分について「その適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日において当該個人事業者が課税仕入れを行つたものとみなす」と定めています。1号は売掛金等について同じ形で資産の譲渡等を行ったものとみなすとしています。具体的な計算については、税理士または税務署にご確認ください。
この特例を適用していると、売上税額の積上げ計算はできますか。
消費税法45条5項は、適格請求書の写しを保存している場合に課税標準額に対する消費税額を積上げで計算できる旨を定めたうえで、ただし書で「第十六条第一項、第十七条第一項若しくは第二項本文又は第十八条第一項の規定その他政令で定める規定の適用を受ける課税資産の譲渡等については、この限りでない」としています。この「第十八条第一項」がこの記事で扱っている特例です。自社の計算方法については、税理士または税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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