令和8年度税制改正に対応

「◯月◯日から2年」はいつ終わるのか(応当日の前日に満了する — 国税通則法10条1項3号)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

国税通則法10条1項3号は「前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する」と定めています。ただし書は「最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する」としています。つまり「◯年を経過する日」は、起算日の◯年後の同じ日ではなく、その前日です。税務大学校の講本『国税通則法(基礎編)令和8年度版』は、用語の解説欄で「経過する日」を「期間の末日となる日」、「経過した日」を「期間の末日の翌日」と定義しており、この2語は1日ずれます。起算日をどこに置くかは同条1項1号で決まり、本文は初日不算入を原則としつつ、ただし書は「その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない」として初日算入とします。講本は、事業年度の終了の日の翌日や、開始の日以後6月を経過した日について「午前0時から始まる」と注記しています。消費税の届出書には「◯年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出することができない」という書き方をするものがあり、この日がどの課税期間に属するかで結論が変わります。自社の届出書について具体的にいつから提出できるかは、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 国税通則法10条1項3号は、期間は「最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する」と定めている。「2年を経過する日」は2年後の同じ日ではなく、その前日である。
  • 同号のただし書は「最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する」と定めている。1月31日を起算日とする1月の期間は、2月28日(うるう年は29日)に満了する。
  • 税務大学校の講本『国税通則法(基礎編)令和8年度版』は、「経過する日」を「期間の末日となる日」、「経過した日」を「期間の末日の翌日」と定義している。この2語は、期間の末日を指すか、その翌日を指すかで1日ずれる。
  • 起算日は同条1項1号で決まる。本文は初日不算入が原則だが、ただし書は「その期間が午前零時から始まるとき」を初日算入としている。講本は「~の日の翌日から」「◯月を経過した日」について「午前0時から始まる」と注記している。
  • 「~日から起算して」という言い方は、初日を算入するという意味ではない。講本はこれを「期間の初日(起算日)を明確にする場合に用いられる」と説明している。
  • 国税通則法基本通達(徴収部関係)第10条関係の3は、同条2項の「期限」には単に計算の基準となっている期間の末日などは含まれないとしている。期間の満了日は、休日に当たっても翌日に繰り下がるとは限らない。

消費税の届出書を読んでいると、「◯年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出することができない」という言い回しに出会います。

この「経過する日」がいつなのかは、条文に書いてあります。国税通則法10条1項3号です。そして、多くの方が思う日とは1日ずれます。

この記事では、その1日のずれがどこから来るのかを、法令と国税庁の教材で確認します。2026年9月5日に取得した内容です。

条文 — 満了するのは「応当日の前日」

国税通則法10条1項は次のとおりです(原文ママ)。

(期間の計算及び期限の特例)第十条 国税に関する法律において日、月又は年をもつて定める期間の計算は、次に定めるところによる。  一 期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない。  二 期間を定めるのに月又は年をもつてしたときは、暦に従う。  三 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

3号の本文が、この記事の中心です。期間は、起算日に応当する日の前日に満了します。

つまり、次のようになります。

計算結果
起算日—2026年1月1日
2年後の応当日2026年1月1日の2年後2028年1月1日
2年を経過する日応当日の前日2027年12月31日

「2年を経過する日」は2028年1月1日ではありません。その前日の2027年12月31日です。

応当する日が無い月のとき

ただし書は「最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する」と定めています。

税務大学校の講本『国税通則法(基礎編)令和8年度版』8頁は、国税通則法35条2項2号の「~の翌日から起算して1月を経過する日」について、次の図解を載せています。

発した日翌日(起算日)経過する日応当日
1月30日1月31日2月28日(29日)なし

2月31日という日は存在しません。そのため、その月の末日が満了日になります。

「経過する日」と「経過した日」は1日ずれる

税務大学校の講本 8頁の【参考】期間の計算の具体例は、用語そのものを解説欄で定義しています(原文ママ)。

用語説明
経過する日期間の末日となる日
経過した日期間の末日の翌日
~日から起算して期間の初日(起算日)を明確にする場合に用いられる。
以前起算点となる日(時を含む。)

講本の図解では、国税通則法14条3項の「~日から起算して7日を経過したとき」が、次のように示されています。

掲示を始めた日(起算日)7日目(経過する日)経過した日
2月7日2月13日2月14日

同じく、国税通則法40条の「督促状を発した日から起算して10日を経過した日」は、次のとおりです。

督促状発送(起算日)経過する日経過した日
4月27日5月6日5月7日

条文はこの2語を意図して使い分けています。同じ日として扱うことはできません。

起算日を決めるのは1項1号

1項3号は「起算日に応当する日の前日」と書いています。では、その起算日はどこか。これは1項1号で決まります。

講本 6頁は、次のように整理しています(原文ママ)。

(イ) 初日不算入  期間の初日は算入しないで、翌日を起算日とするのが原則である(通則法10①一本文)。 (ロ) 初日算入  期間が午前0時から始まるとき、又は特に初日を算入する旨の定めがあるときは、初日を起算日(初日算入)とする(通則法10①一ただし書)。

そして 8頁の具体例は、何が「午前0時から始まる」のかを注で名指ししています。

用例講本の注図の日付
その理由のやんだ日から2月以内(通則法11)原則・初日不算入理由のやんだ日 6/1 → 起算日 6/2 → 満了日 8/1
終了の日の翌日から2月以内(法法74①)注 ○ ~の日の翌日から・・・午前0時から始まる。終了の日 3/31 → 起算日 4/1 → 満了日 5/31
開始の日以後6月を経過した日から2月以内(法法71①)注 ○ 6月を経過した日・・・午前0時から始まる。開始日 4/1 → 起算日 10/1 → 満了日 11/30

🔴 3行目に注目してください。開始日が4月1日で、「6月を経過した日」が10月1日と図示されています。逆算すると、「6月を経過する日」は9月30日です。これは、4月1日を起算日(初日算入)として6月後の応当日である10月1日の前日を取った日と一致します。

一方、1行目の国税通則法11条の期間は初日不算入です。理由のやんだ日が6月1日なら、起算日は6月2日になります。同じ講本の同じ表の中で、初日を算入する例と算入しない例が並んでいます。

「起算して」は初日算入という意味ではない

講本は「~日から起算して」について、「期間の初日(起算日)を明確にする場合に用いられる。」と説明しています。初日を数えるという意味ではありません。

その裏づけとして、講本は国税通則法35条2項2号の「~の翌日から起算して1月を経過する日」に、次の注を付けています。

○注 ~の翌日から1月を経過する日と同じである。

「起算して」があってもなくても、結果は変わらないという整理です。

消費税の届出書では、1日のずれが年のずれになる

ここが、経営者の方に直接効いてくる点です。

消費税法には「◯年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出することができない」という形の規定があります。この場合、問われるのは「経過する日」そのものではなく、それが属する課税期間です。

個人事業者(課税期間は暦年)で、2026年1月1日を起算日とする2年の期間を考えます。

手順満了日を応当日の前日とした場合応当日そのものを満了日とした場合
起算日2026年1月1日2026年1月1日
2年後の応当日2028年1月1日2028年1月1日
2年を経過する日2027年12月31日2028年1月1日
その日が属する課税期間令和9年分(2027年)令和10年分(2028年)
その初日=提出できるようになる日2027年1月1日2028年1月1日

🔴 食い違いは1日ではなく、1年になります。「経過する日」がどちらの課税期間に入るかで、結論が跳ぶためです。

国税庁タックスアンサー No.6501 は、消費税課税事業者選択届出書について次のように記載しています([令和7年4月1日現在法令等])。

ただし、消費税課税事業者選択届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、原則として、課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出することができませんので、課税事業者となった日から2年間は免税事業者となることはできません。

条文の書き方と、平易な言い換えが並べて書かれています。この言い換えは、満了日を応当日の前日としたときに成り立つ形です。

なお、簡易課税をやめられる時期そのものについては、当サイトの別記事([簡易課税をやめられるのはいつからか](/articles/kani-kazei-2nen-shibari/))で扱っています。この記事では期間の計算そのものに絞ります。

⚠️ 「◯年間」という言い換えが何年になるかは、条文ごとに異なります。自社の届出書について具体的にいつから提出できるかは、税理士または税務署にご確認ください。

満了日は、休日でも繰り下がるとは限らない

国税通則法10条2項は、申告・申請・請求・届出その他書類の提出・通知・納付または徴収に関する「期限」が日曜日などに当たるときは、その翌日をもって期限とみなすと定めています。

問題は、期間の満了日がここでいう「期限」に当たるかどうかです。国税通則法基本通達(徴収部関係)第10条関係の3が、正面から書いています(原文ママ)。

(法律に定める申告等に関する期限) 3 法第10条第2項の「期限」には、次に掲げる期間の末日等は含まれない。  (1) 単に計算の基準となっている期間の末日  (2) 課税内容を定めるにつき基準となる期間の末日  (3) 一定事実の判断の基準としている特定の日又は期間の末日  (4) 行政処分により定められた期限

その日が提出期限そのものなのか、判断の基準となる日なのかで、扱いが分かれます。

また、同じ通達の4は「一般の休日」の中身を示しています(原文ママ)。

(一般の休日) 4 法第10条第2項の「一般の休日」とは、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日以外の全国的な休日をいうものとする。 なお、行政機関の休日に関する法律第1条第1項第3号《行政機関の休日》に掲げる日のうち、1月2日及び3日は、法第10条第2項の「一般の休日」に該当する(昭和33.6.2最高判参照)。

🔴 1月2日と1月3日が「一般の休日」に含まれます。土曜日および12月29日から31日は国税通則法施行令2条2項で定められており、これらと元日を合わせると、12月29日から1月3日までの6日間はすべて休日に当たることになります。

自社の届出書の提出期限がどちらの扱いになるかは、税理士または税務署にご確認ください。

まとめ

  • 国税通則法10条1項3号は「起算日に応当する日の前日に満了する」と定めている。「2年を経過する日」は2年後の同じ日ではない
  • 同号ただし書により、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日が満了日になる
  • 講本は「経過する日=期間の末日となる日」「経過した日=期間の末日の翌日」と定義している。この2語は1日ずれる
  • 起算日は同条1項1号で決まる。原則は初日不算入だが、期間が午前0時から始まるときは初日算入である
  • 「~日から起算して」は初日を算入するという意味ではなく、起算日を明確にする言い方である
  • 消費税の届出書のように「経過する日の属する課税期間の初日以後」という書き方では、1日の違いが1年の違いになる
  • 期間の満了日は、国税通則法10条2項の「期限」に当たるとは限らない(通達第10条関係の3)

個別の届出書について、いつから提出できるかの当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者届出書に「2年を経過する日の属する課税期間の初日以後」と書いてある。うちは令和8年1月1日からなので、令和10年1月1日以後という理解でよいのか。

制度の事実国税通則法10条1項3号は「その期間は、最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する」と定めています。この条文に当てはめると、2026年1月1日を起算日とする2年の期間の応当日は2028年1月1日であり、「2年を経過する日」はその前日の2027年12月31日になります。個人事業者の課税期間は暦年ですので、2027年12月31日が属する課税期間は令和9年分であり、その初日は2027年1月1日です。国税庁タックスアンサーNo.6501も、消費税課税事業者選択届出書について「課税事業者となった日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、消費税課税事業者選択不適用届出書を提出することができません」と記載しています。御社の届出書について具体的にいつから提出できるかは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者条文に「起算して」と書いてあったら、初日から数えるということではないのか。

制度の事実税務大学校の講本『国税通則法(基礎編)令和8年度版』8頁の【参考】期間の計算の具体例は、「~日から起算して」について「期間の初日(起算日)を明確にする場合に用いられる。」と説明しています。初日を算入するかどうかを決めているのは、この言い方ではなく国税通則法10条1項1号の本文とただし書です。講本は、国税通則法35条2項2号の「~の翌日から起算して1月を経過する日」に「~の翌日から1月を経過する日と同じである。」という注を付けており、「起算して」の有無で結果は変わらないことを示しています。個別の条文の読み方については、税理士または税務署にご確認ください。

経営者1日くらいずれても、実務では大した違いにはならないのではないか。

制度の事実条文の書き方によっては、1日の違いが結論の年を動かす場合があります。消費税法には「◯年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ提出することができない」という形の規定があり、この場合は「経過する日」がどの課税期間に属するかで、提出できるようになる年が変わります。国税通則法10条1項3号は満了日を応当日の前日としているため、応当日そのものを満了日と考えると、暦年が課税期間である個人事業者では属する課税期間が1年ずれることになります。国税庁タックスアンサーNo.6501は「課税事業者となった日から2年間は免税事業者となることはできません」という言い換えも併記しています。御社の場合の具体的な年については、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

「2年を経過する日」は、2年後の同じ日ではないのですか。
国税通則法10条1項3号は「最後の月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する」と定めています。したがって、2026年1月1日を起算日とする2年の期間は、応当日である2028年1月1日の前日、すなわち2027年12月31日に満了します。税務大学校の講本『国税通則法(基礎編)令和8年度版』も、「経過する日」を「期間の末日となる日」と説明し、図解では応当日と経過する日を別の日として並べています。個別の期間の当てはめについては、税理士または税務署にご確認ください。
「経過する日」と「経過した日」は同じ意味ではないのですか。
税務大学校の講本『国税通則法(基礎編)令和8年度版』8頁の【参考】期間の計算の具体例は、用語の説明欄で「経過する日」を「期間の末日となる日」、「経過した日」を「期間の末日の翌日」と定義しています。講本の図解では、国税通則法14条3項の「~日から起算して7日を経過したとき」について、掲示を始めた日を2月7日とすると、7日目である2月13日が「経過する日」、2月14日が「経過した日」と示されています。条文はこの2語を使い分けているため、同じ日として扱うことはできません。
起算日は、初日を数えるのですか、翌日からですか。
国税通則法10条1項1号の本文は「期間の初日は、算入しない」と定め、初日不算入を原則としています。ただし書は「その期間が午前零時から始まるとき、又は国税に関する法律に別段の定めがあるときは、この限りでない」と定めています。税務大学校の講本は6頁で「期間が午前0時から始まるとき、又は特に初日を算入する旨の定めがあるときは、初日を起算日(初日算入)とする」と説明し、8頁の具体例では、法人税法74条1項の「終了の日の翌日から2月以内」と、法人税法71条1項の「開始の日以後6月を経過した日から2月以内」の両方に「午前0時から始まる。」という注を付けています。個別の条文の当てはめについては、税理士または税務署にご確認ください。
起算日が1月31日のとき、1月の期間はいつ満了しますか。
国税通則法10条1項3号のただし書は「最後の月にその応当する日がないときは、その月の末日に満了する」と定めています。税務大学校の講本8頁の具体例は、国税通則法35条2項2号の「~の翌日から起算して1月を経過する日」について、発した日を1月30日とすると翌日の1月31日が起算日となり、経過する日は2月28日(29日)で、応当日は「なし」と図示しています。2月31日という日が存在しないため、その月の末日が満了日になるという整理です。
満了日が日曜日に当たったら、翌日にずれますか。
国税通則法10条2項は、申告、申請、請求、届出その他書類の提出、通知、納付または徴収に関する「期限」が日曜日などに当たるときは、その翌日をもって期限とみなすと定めています。一方、国税通則法基本通達(徴収部関係)第10条関係の3は、この「期限」には「単に計算の基準となっている期間の末日」「課税内容を定めるにつき基準となる期間の末日」「一定事実の判断の基準としている特定の日又は期間の末日」「行政処分により定められた期限」は含まれないとしています。したがって、その日が提出期限そのものなのか、判断の基準となる日なのかによって取扱いが分かれます。自社の届出書がどちらに当たるかは、税理士または税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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