令和8年度税制改正に対応

災害で申告期限が延びると、消費税の中間申告書を出さなくてよくなることがあります(消費税法42条の2)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

消費税法42条の2は「国税通則法第十一条(災害等による期限の延長)の規定による申告に関する期限の延長により、中間申告書(前条第一項、第四項又は第六項の規定による申告書をいう。以下この章において同じ。)の提出期限と当該中間申告書に係る課税期間の第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、前条第一項本文、第四項本文又は第六項本文の規定にかかわらず、当該中間申告書を提出することを要しない」と定めています。発動する条件は、条文上ひとつだけです。国税通則法11条による延長の結果として、中間申告書の提出期限と、その課税期間の確定申告書の提出期限が同一の日になることです。特定非常災害の指定を受けていること、国税庁長官が定める指定日までに何かをすること、届出書を提出することは、いずれも条文の要件に書かれていません。一方で、期限が延長されただけでは足りません。2つの期限が同じ日に重なることが要件です。自社の中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限が実際に同一の日になるかどうか、また国税通則法11条による延長の対象になるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 根拠は消費税法42条の2である。条文の見出しは「災害等による期限の延長により中間申告書の提出を要しない場合」で、消費税法の本体に置かれている。
  • 発動条件は条文上ひとつだけである。国税通則法11条による申告に関する期限の延長により、中間申告書の提出期限と、当該中間申告書に係る課税期間の消費税法45条1項の申告書(確定申告書)の提出期限とが「同一の日となる場合」である。
  • 特定非常災害の指定・国税庁長官が定める指定日・届出書は、いずれも42条の2の条文に出てこない。租税特別措置法86条の5(特定非常災害の被災事業者の届出等の特例)とは根拠となる法律が異なる。
  • 対象になる中間申告書は、消費税法42条1項(1月)・4項(3月)・6項(6月)の規定による申告書である。42条の2はこの3つの「本文」を名指しで外している。
  • 6項ただし書を外して任意に6月中間申告書を提出する場合(消費税法42条8項の届出書を出した場合)も、提出の根拠は6項本文なので42条の2の射程に入る。
  • 「期限が延長されれば中間申告書は要らない」という規定ではない。条文の要件は、延長の結果として2つの期限が同一の日になることである。
  • 国税通則法11条の延長は、それ自体が自動では働かない。国税通則法施行令3条により、国税庁長官が地域および期日を指定する場合、対象者の範囲および期日を指定する場合、または申請により期日を指定する場合に分かれている。

この規定は、消費税法の本体にあります

災害で申告期限が延長されたときの話は、ふつう国税通則法や租税特別措置法の側で語られます。

ところが、中間申告書を出さなくてよくなるという規定は、消費税法そのものに置かれています。

(災害等による期限の延長により中間申告書の提出を要しない場合) 第四十二条の二 国税通則法第十一条(災害等による期限の延長)の規定による申告に関する期限の延長により、中間申告書(前条第一項、第四項又は第六項の規定による申告書をいう。以下この章において同じ。)の提出期限と当該中間申告書に係る課税期間の第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、前条第一項本文、第四項本文又は第六項本文の規定にかかわらず、当該中間申告書を提出することを要しない。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月7日に取得。原文ママ)

条文はこの1文だけです。そして、この1文に書かれている要件も1つだけです。

要件は「同一の日になること」だけです

条文を要件と効果に分けると、次のようになります。

条文の書きぶり
前提国税通則法11条(災害等による期限の延長)の規定による申告に関する期限の延長があること
要件その延長により、中間申告書の提出期限と、当該中間申告書に係る課税期間の45条1項の申告書(確定申告書)の提出期限とが同一の日となること
効果42条1項本文・4項本文・6項本文の規定にかかわらず、当該中間申告書を提出することを要しない

条文に出てこないものを並べると、この規定の性格がはっきりします。

  • 特定非常災害の指定 — 42条の2の条文に出てきません
  • 国税庁長官が定める指定日 — 42条の2の条文に出てきません
  • 届出書・申請書 — 42条の2の条文に出てきません

42条の2が参照しているのは、国税通則法11条だけです。

🔴 「延長されれば中間申告は不要」ではありません

ここが読み違えやすいところです。条文の要件は、延長されたことではありません。

延長の結果として、2つの期限が同じ日に重なったことです。

延長を受けても2つの期限が別々の日のままであれば、条文の文言には当たらない書き方になっています。

前提となる国税通則法11条のほうは、自動では働きません

42条の2は「国税通則法第十一条の規定による申告に関する期限の延長により」と書いています。その延長が先にあることが前提です。

第十一条 国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。

(e-Gov 法令検索・国税通則法・2026年6月24日施行版。2026年9月7日に取得。原文ママ)

その政令が国税通則法施行令3条で、3つの項に分かれています。いずれも「期日を指定して当該期限を延長するものとする」という書き方です。

施行令3条誰が何を指定するか申請
1項国税庁長官地域及び期日条文に定めなし
2項国税庁長官対象者の範囲及び期日条文に定めなし
3項国税庁長官・国税不服審判所長・国税局長・税務署長・税関長期日(前二項の適用がある場合を除く)当該行為をすべき者の申請により

(e-Gov 法令検索・国税通則法施行令・2026年4月1日施行版。2026年9月7日に取得)

3つのルートの中身は、別の記事で扱っています(「災害で申告・納付ができないときの期限延長には3つのルートがあります」)。ここで押さえておきたいのは、指定または申請による延長がまずあり、その結果として期限が動くという順序です。

対象になるのは、3つの中間申告書です

42条の2は「中間申告書(前条第一項、第四項又は第六項の規定による申告書をいう。)」と定義しています。前条とは消費税法42条のことで、この3つの項がそれぞれ別の型の中間申告を定めています。

条文区分提出しないでよい金額の線(ただし書)提出期限
42条1項1月中間申告1号の金額が400万円以下1月中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内(課税期間開始の日以後1月の期間である場合は、課税期間開始の日から2月を経過した日から2月以内)
42条4項3月中間申告1号の金額が100万円以下3月中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内
42条6項6月中間申告1号の金額が24万円以下6月中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月7日に取得)

1号の金額は、いずれも直前の課税期間の確定申告書に記載すべき45条1項4号の消費税額を直前の課税期間の月数で除し、区分に応じて3または6を乗じて計算した金額です(1月中間申告は除して計算した金額)。

そして、比較の相手方となる確定申告書の期限は45条1項にあります。

第四十五条 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、課税期間ごとに、当該課税期間の末日の翌日から二月以内に、次に掲げる事項を記載した申告書を税務署長に提出しなければならない。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月7日に取得。原文ママ)

任意で6月中間申告をしている場合も、条文の射程に入ります

金額が24万円以下で本来は提出が要らない事業者でも、届出書を出して6月中間申告書を提出することができます。その根拠が42条8項です。

8 第六項第一号に掲げる金額が二十四万円以下であることによりその六月中間申告対象期間につき、同項の規定による申告書(以下この項及び第十一項において「六月中間申告書」という。)を提出することを要しない事業者が、当該六月中間申告書を提出する旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、…第六項ただし書の規定は、適用しない。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月7日に取得。原文ママ)

外れるのは6項の「ただし書」です。提出の根拠そのものは6項本文のままです。

そして42条の2は「前条第一項本文、第四項本文又は第六項本文の規定にかかわらず」と、本文を名指ししています。任意の6月中間申告も、条文の書き方の上ではこの規定の射程に入ります。

租税特別措置法86条の5とは、別の系統です

被災した事業者に関する消費税の特例として、租税特別措置法86条の5(特定非常災害の被災事業者に係る消費税の届出等の特例)があります。簡易課税の選択などの届出書について、指定日までの提出を認めるなどの内容です。

この2つは、根拠となる法律が違います。

消費税法42条の2租税特別措置法86条の5
置かれている法律消費税法(本体)租税特別措置法
参照している条文国税通則法11条特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律
特定非常災害の指定条文に出てこない前提となる
指定日条文に出てこない出てくる

国税庁が配布するリーフレットでは、被災事業者向けの取扱いとしてこの2つが同じ紙面に並ぶことがあります。同じ紙に載っているからといって、1つの制度ではありません。

自社にどちらの規定が関係するかについては、税理士または税務署にご確認ください。

まとめ

  • 根拠は消費税法42条の2です。消費税法の本体に置かれています
  • 要件は国税通則法11条による延長の結果、中間申告書の提出期限と確定申告書(45条1項)の提出期限が同一の日になること、この1つです
  • 特定非常災害の指定・指定日・届出書は、42条の2の条文に出てきません
  • 対象は42条1項(1月)・4項(3月)・6項(6月)の本文による中間申告書です。42条8項の届出書を出した任意の6月中間申告も、本文が根拠なので射程に入ります
  • 「延長されれば中間申告は不要」ではありません。2つの期限が同じ日に重なったときだけの規定です
  • 前提となる国税通則法11条の延長は、国税通則法施行令3条により指定または申請があって働きます

自社の中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限が実際に同一の日になるかどうか、また国税通則法11条による延長の対象になるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者水害で工場が止まって、消費税の申告期限を延ばしてもらった。ということは、次に来る中間申告も出さなくていいという理解でよいのか。

制度の事実消費税法42条の2は「国税通則法第十一条(災害等による期限の延長)の規定による申告に関する期限の延長により、中間申告書(前条第一項、第四項又は第六項の規定による申告書をいう。以下この章において同じ。)の提出期限と当該中間申告書に係る課税期間の第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限とが同一の日となる場合は、前条第一項本文、第四項本文又は第六項本文の規定にかかわらず、当該中間申告書を提出することを要しない」と定めています。条文の要件は、延長されたことではなく、延長の結果として中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限とが同一の日になることです。この2つの期限が別々の日のままであれば、条文の要件には当たらない書き方になっています。御社の場合に2つの期限が実際に同一の日になるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者そもそも中間申告の期限と確定申告の期限が同じ日になるということが起きるのか。ふつうは別々の日だろう。

制度の事実平時の条文では別々の日になります。消費税法42条6項は、6月中間申告対象期間の末日の翌日から2月以内に申告書を提出することとし、消費税法45条1項は、課税期間ごとに当該課税期間の末日の翌日から2月以内に申告書を提出することと定めているためです。一方、国税通則法11条は、災害その他やむを得ない理由により期限までに申告等ができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から2月以内に限り、当該期限を延長することができると定めています。その政令である国税通則法施行令3条は、1項で国税庁長官が地域および期日を指定する場合、2項で対象者の範囲および期日を指定する場合、3項で申請により期日を指定する場合を定めており、いずれも「期日を指定して当該期限を延長する」という書き方になっています。指定された期日が実際にどの期限に及ぶか、また御社の2つの期限がその結果どうなるかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者うちの地域は特定非常災害の指定を受けていない。それでもこの条文は使えるのか。

制度の事実消費税法42条の2の条文に、特定非常災害の指定は出てきません。42条の2が参照しているのは国税通則法11条だけです。特定非常災害の被災事業者に係る消費税の届出等の特例は、租税特別措置法86条の5に置かれた別の規定であり、根拠となる法律が異なります。したがって、42条の2の要件として条文に書かれているのは、国税通則法11条による延長の結果として中間申告書の提出期限と確定申告書の提出期限とが同一の日となること、この一点です。御社が国税通則法11条による延長の対象になるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

災害で申告期限が延長されたら、その年の中間申告書は出さなくてよくなるのですか。
条文はそう書いていません。消費税法42条の2の要件は「中間申告書の提出期限と当該中間申告書に係る課税期間の第四十五条第一項の規定による申告書の提出期限とが同一の日となる場合」です。延長されたことではなく、延長の結果として2つの期限が同じ日に重なったことが要件になっています。したがって、延長されても2つの期限が別々の日のままであれば、42条の2は働きません。自社の2つの期限が実際に同一の日になるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。
42条の2の適用を受けるために、届出書を出す必要はありますか。
消費税法42条の2の条文には、届出書も申請書も出てきません。条文は「…同一の日となる場合は、前条第一項本文、第四項本文又は第六項本文の規定にかかわらず、当該中間申告書を提出することを要しない」という書き方で、要件は期限が同一の日になることだけです。ただし、前提となる国税通則法11条の延長のほうは、国税通則法施行令3条3項の個別指定によるときは「当該行為をすべき者の申請により」と定められており、申請が必要です。自社がどのルートに当たるかについては、税理士または税務署にご確認ください。
特定非常災害に指定された地域の事業者でなければ、使えないのですか。
消費税法42条の2の条文に、特定非常災害の指定も、国税庁長官が定める指定日も出てきません。42条の2が参照しているのは国税通則法11条だけです。特定非常災害の被災事業者に係る消費税の届出等の特例は租税特別措置法86条の5に置かれた別の規定で、根拠となる法律が異なります。国税庁のリーフレットが両方を同じ紙面に載せている場合がありますが、条文の系統は別です。自社に適用される規定については、税理士または税務署にご確認ください。
24万円以下だったので中間申告は不要のはずですが、届出書を出して任意に6月中間申告をしています。この場合はどうなりますか。
消費税法42条8項は、6項1号に掲げる金額が24万円以下であることにより6月中間申告書を提出することを要しない事業者が、6月中間申告書を提出する旨を記載した届出書を提出した場合には「第六項ただし書の規定は、適用しない」と定めています。つまり、外れるのは6項の「ただし書」であり、提出の根拠は6項本文のままです。消費税法42条の2は「前条第一項本文、第四項本文又は第六項本文の規定にかかわらず」と本文を名指ししているため、任意の6月中間申告もこの規定の射程に入る書き方になっています。実際の取扱いについては、税理士または税務署にご確認ください。
中間申告書を出さなくてよくなると、その分の消費税は納めなくてよくなるのですか。
消費税法42条の2が定めているのは「当該中間申告書を提出することを要しない」ということだけです。課税期間の消費税額そのものを減らす規定ではありません。確定申告については消費税法45条1項が別に定めており、その課税期間の課税標準額、消費税額などを記載した申告書を提出することとされています。中間申告と確定申告の関係、および納付すべき税額については、税理士または税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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