令和8年度税制改正に対応

国税庁の作成コーナーで消費税の申告書を作れない24の場合(うち2つは免税事業者だった期間の返還等)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

国税庁の確定申告書等作成コーナーには「ご利用になれない方」というページがあり、消費税及び地方消費税の欄には令和7年分で24項目が掲げられています(2026年9月17日に原本を取得して数えた実数)。その1番目は「法人」で、このコーナーの消費税は個人事業者を対象としたものです。17番目が「免税事業者であった期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等がある方」、18番目が「免税事業者であった期間において行った課税仕入れ(ただし消費税法第36条の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れを除きます。)について対価の返還等を受けた方」です。この2つは同じ形ではありません。18番目にはかっこ書きの例外がありますが、17番目には例外の定めが置かれていません。またこの2項目は、令和3年分から令和7年分まで一言一句同じ文言で掲げられています。令和3年分は登録申請すら始まっていない年分ですから、インボイス制度の開始が理由で追加されたものではありません。掲載されない理由について、国税庁は公表していません。なお同ページは冒頭で「ご利用になれない方に該当する方で、e-Taxでの申告をご希望の方は、パソコンでe-Taxソフトを利用して申告書等を作成し、送信することができます。」と案内しています。作成コーナーが使えないことと、申告ができないことは別です。自社が該当するかどうか、またどの方法で申告書を作成するかについては、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 確定申告書等作成コーナーの「ご利用になれない方」ページの消費税及び地方消費税の欄は、令和7年分で24項目である(2026-09-17に原本から機械抽出して計数)。
  • 1番目が「法人」である。このコーナーの消費税は個人事業者を対象としている。
  • 17番目が「免税事業者であった期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等がある方」、18番目が免税事業者であった期間の課税仕入れについて対価の返還等を受けた方である。
  • 18番目には「ただし消費税法第36条(納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整)の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れを除きます。」というかっこ書きの例外があるが、17番目には例外の定めが置かれていない。同じ形ではない。
  • この2項目は令和3年分から令和7年分まで一言一句同一である。令和3年分は適格請求書発行事業者の登録申請が始まっていない年分であり、インボイス制度の開始が理由で追加されたものではない。
  • 掲載されない理由は公表されていない。ページ本体にも、作成コーナーのよくある質問にも、確定申告の手引きにも記載がない(2026-09-17に3経路を確認)。
  • 同ページは冒頭で、該当する場合はパソコンでe-Taxソフトを利用して申告書等を作成し送信できると案内している。作成コーナーで作れないことと、申告ができないことは別である。
  • 一覧の項目数は年分によって動く。令和5年分・令和4年分・令和3年分は28項目で、令和6年分から24項目になった。項目数を書くときは年分と確認日をあわせて見る必要がある。

国税庁の確定申告書等作成コーナーは、画面の案内に沿って入力すると申告書ができあがる無料のツールです。

ただし、このコーナーで消費税の申告書を作れない場合が、あらかじめ一覧にされています。「ご利用になれない方」というページです。

この記事では、その一覧を令和7年分の原本から数えて並べます。2026年9月17日に取得した内容です。

🔴 先に結論を1つ書いておきます。「作成コーナーで作れない」ことと「申告できない」ことは別です。同ページは別の国税庁ツールへの案内を冒頭に置いています(後述)。

令和7年分は24項目

消費税及び地方消費税の欄に掲げられているのは、24項目です(2026年9月17日に原本から機械抽出して計数)。

#ご利用になれない方(原文ママ)
1法人
2相続があった場合の納税義務の免除の特例の適用がある方
3仮決算による中間申告
4課税売上割合が著しく変動した場合の調整対象固定資産に関する仕入控除税額の調整をされる方
5調整対象固定資産を転用した場合の仕入控除税額の調整をされる方
6税込経理方式と税抜経理方式を併用している方
7課税売上割合に代えて、課税売上割合に準ずる割合により計算される方
8課税期間の特例(3月ごと又は1月ごとの期間を1課税期間とする特例)を適用する方
9山林所得を有する方
10各項目の金額の入力桁数が11桁以上となる方
11課税取引に係る対価の返還等の金額が、課税取引金額を超えている方
12簡易課税制度を選択し、課税売上高を事業の種類ごとに区分していない方
13税率3%の適用がある方
14税率4%の適用がある方
15税率6.3%の適用がある方
16一般課税により申告する場合で、課税売上割合が95%未満かつ特定課税仕入れがある方
17免税事業者であった期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等がある方
18免税事業者であった期間において行った課税仕入れ(ただし消費税法第36条(納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整)の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れを除きます。)について対価の返還等を受けた方
19更正の請求書又は修正申告書を作成される方
20課税売上、課税仕入及び保税地域からの還付消費税額について、税率ごとの区分経理を行っていない方
21売上対価の返還等がある方で、売上対価の返還額が税率ごとの課税取引金額を超える方
22複数の特例を選択適用できる方で、消費税作成コーナーで選択された以外の特例を選択される方
23居住用賃貸建物の全部又は一部を調整期間に他の者に譲渡した方
24死亡の場合の準確定申告書を作成される方

🔴 1番目が「法人」です。このコーナーの消費税は、個人事業者を対象としたものだということが、一覧の先頭に書かれています。

なお8番目の「課税期間の特例」については、2割特例・3割特例との関係を当サイトの別記事([課税期間を1か月・3か月に短縮すると、2割特例・3割特例は適用できない課税期間になる](/articles/kazei-kikan-tanshuku-2wari-3wari/))で扱っています。

17番目と18番目は「同じ形」ではない

ここは読み違えやすいところです。17番目が売上側、18番目が仕入側という並びに見えます。しかし条件の書き方が違います。

17番目18番目
対象免税事業者であった期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等免税事業者であった期間において行った課税仕入れについて対価の返還等を受けた
かっこ書きの例外🔴 無い有る(消費税法36条の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れを除きます)

🔴 18番目には例外があり、17番目には例外がありません。「売上側と仕入側の同じ項目が2つ並んでいる」とまとめると、この違いが消えます。

消費税法36条は、免税事業者が課税事業者になったときに、免税だった期間に仕入れて持ち越した棚卸資産の消費税額を、課税事業者になった課税期間の課税仕入れ等の税額とみなす規定です(e-Gov 法令検索・確認日2026年9月17日)。この規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れについては、18番目から除かれています。

この2項目は、インボイス制度より前から掲げられている

「令和5年10月に免税から課税へ切り替わった人が増えたから、国税庁が対象外にしたのだろう」と考えたくなるところです。しかし、そうではありません。

このページは、1枚の中に令和3年分から令和7年分までの5年分が収録されています。その5年分を突き合わせた結果が次のとおりです(2026年9月17日に機械照合)。

年分項目数17番目・18番目に当たる文言
令和7年分24有り(令和6年分と完全一致)
令和6年分24有り
令和5年分28有り
令和4年分28有り
令和3年分28有り

🔴 5年分すべてに、一言一句同じ文言で載っています。

令和3年分は、適格請求書発行事業者の登録申請すら始まっていない年分です。したがって、インボイス制度の開始によって追加された項目ではありません。

項目数そのものは年分で動く

上の表のとおり、令和5年分までは28項目、令和6年分から24項目になりました。減った内訳は、軽減税率が導入されたころの経過措置に関する4項目と、旧消費税法施行規則22条1項の経過措置に関する1項目です。この5項目に代わって、令和6年分から「課税売上、課税仕入及び保税地域からの還付消費税額について、税率ごとの区分経理を行っていない方」という1項目が置かれています。

🔴 一覧は毎年見直されています。「24項目」という数字を見るときは、どの年分の、いつ時点の一覧かをあわせて見る必要があります。この記事の数字は令和7年分・2026年9月17日確認のものです。

掲載されない理由は公表されていない

「なぜこの2項目だけ対象外なのか」という疑問が残ります。この点について、国税庁は理由を公表していません。

当サイトが確認した経路と結果は次のとおりです(いずれも2026年9月17日確認)。

確認した経路結果
「ご利用になれない方」のページ本体(5年分)理由欄が無い。項目が箇条書きされているだけ
作成コーナー よくある質問「ご利用になれない方」消費税に触れていない(土地建物等の譲渡所得に関する内容)
令和7年分 確定申告の手引き(一般用・簡易課税用)取扱いは書かれているが、作成コーナーの制限には触れていない

当サイトは、理由について推測を書きません。公表されていないという事実までにとどめます。

取扱いそのものは、手引きに書かれている

作成コーナーの制限とは別に、制度上の取扱いのほうは資料に明記されています。

令和7年分 消費税及び地方消費税の確定申告の手引き 個人事業者用(一般用)26ページ(原文ママ)。

以下の貸倒回収や返還等対価及び貸倒れに係る税額については、付表1-3③欄、⑤欄及び⑥欄の計算は行いません。 ・免税事業者であった課税期間における課税売上げに係る売掛金等の貸倒れの回収 ・免税事業者であった課税期間における課税売上げに係る返品、値引き、割戻し ・免税事業者であった課税期間における課税売上げに係る売掛金等の貸倒れ ・課税売上げに係る債権以外の債権の貸倒れ

根拠となる通達は消費税法基本通達14-1-6です。制度の当てはめは当サイトの別記事([免税だったころの売上げを返品されても、消費税は調整できない](/articles/menzei-jidai-uriage-henkan/))と、貸倒れの側を扱った別記事([免税だったころの売掛金が貸し倒れても、消費税は控除できない](/articles/menzei-jidai-kashidaore-kojo-nashi/))で扱っています。この記事はツールの掲載内容の話で、制度の当てはめはそちらに委ねます。

なお、手引きが「計算は行いません」として挙げている4項目のうち、作成コーナーの24項目に掲げられているのは返品・値引き・割戻しの側だけです。24項目に「貸倒」の2文字は出てきません(2026年9月17日に原本を機械検索して0件)。これは当サイトが確認した掲載の有無であり、その理由を示すものではありません。

同じページが、別の作成方法を案内している

最後に、いちばん実務に近い点です。同ページの冒頭には次の一文が置かれています(原文ママ・2026年9月17日確認)。

ご利用になれない方に該当する方で、e-Taxでの申告をご希望の方は、パソコンでe-Taxソフトを利用して申告書等を作成し、送信することができます。詳しくは、以下のリンクをご覧ください。

🔴 作成コーナーと e-Taxソフトは別のものです。案内されているのは後者です。

e-Taxソフトについては、登録申請や届出の文脈で当サイトの別記事([インボイス発行事業者の登録申請はどう進めるか](/articles/invoice-toroku-shinsei/))でも触れています。

この記事のまとめ

  • 確定申告書等作成コーナー「ご利用になれない方」の消費税及び地方消費税の欄は、令和7年分で24項目(2026年9月17日に原本から計数)
  • 🔴 1番目は「法人」。このコーナーの消費税は個人事業者を対象としている
  • 17番目 — 免税事業者であった期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等がある方
  • 18番目 — 免税事業者であった期間において行った課税仕入れについて対価の返還等を受けた方
  • 🔴 この2つは同じ形ではない。18番目には「消費税法36条の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れを除きます」というかっこ書きがあり、17番目には例外の定めが無い
  • 🔴 この2項目は令和3年分から令和7年分まで一言一句同一。令和3年分は登録申請の開始前であり、インボイス制度が理由で追加されたものではない
  • 項目数は年分で動く。令和5年分までは28項目で、令和6年分から24項目。数字を見るときは年分と確認日をあわせて見る
  • 🔴 掲載されない理由は公表されていない。ページ本体・よくある質問・確定申告の手引きの3経路にいずれも記載が無い(2026年9月17日確認)。当サイトは理由を推測しない
  • 🔴 同ページ冒頭が e-Taxソフトを案内している。「作成コーナーで作れない」ことと「申告できない」ことは別である

自社が一覧のどの項目に当たるか、またどの方法で申告書を作成するかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者去年までは免税で、今年から課税事業者になった。無料の作成コーナーで申告書を作ろうとしたら、対象外だと書いてある。どの項目に当たるのか。

制度の事実ページの一覧をそのまま確認します。消費税及び地方消費税の欄の17番目に「免税事業者であった期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等がある方」、18番目に「免税事業者であった期間において行った課税仕入れ(ただし消費税法第36条(納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整)の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れを除きます。)について対価の返還等を受けた方」が掲げられています。また1番目は「法人」です。御社の事情がどの項目に当たるかの判定は、税理士または税務署にご確認ください。

経営者免税だったころの返品なんて、消費税の計算に入れていない。それでも対象外になるのはおかしくないか。

制度の事実制度の取扱いと、ツールの掲載の2つに分けて事実を申し上げます。取扱いのほうは、消費税法基本通達14-1-6が、免税事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等について、課税事業者となった課税期間に売上げに係る対価の返還等を行った場合には、消費税法38条1項の規定の適用はないと定めています。令和7年分の確定申告の手引き(一般用)26ページも、付表1-3の③欄、⑤欄及び⑥欄の計算は行いませんと書いています。他方、作成コーナーの一覧に掲げられている理由については、国税庁は公表していません。当サイトが3経路を確認しましたが、記載はありませんでした。取扱いの当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者使えないなら、紙で書くしかないということか。

制度の事実同ページ冒頭の案内を引用します。「ご利用になれない方に該当する方で、e-Taxでの申告をご希望の方は、パソコンでe-Taxソフトを利用して申告書等を作成し、送信することができます。」と書かれています(2026-09-17確認)。作成コーナーとe-Taxソフトは別のもので、案内されているのは後者です。どの作成方法を用いるか、また申告期限や納付の手続については、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

作成コーナーで消費税の申告書が作れないと出ました。申告そのものができないのですか。
同ページの冒頭に次の案内が置かれています。「ご利用になれない方に該当する方で、e-Taxでの申告をご希望の方は、パソコンでe-Taxソフトを利用して申告書等を作成し、送信することができます。」(2026-09-17に原本で確認)。作成コーナーで作成できないことと、申告ができないことは別です。どの方法で申告書を作成するかについては、税務署にご確認ください。
免税事業者だった期間の返品・値引きがあると、なぜ作成コーナーが使えないのですか。
理由は公表されていません。当サイトが確認した3つの経路、すなわち「ご利用になれない方」のページ本体(令和3年分から令和7年分まで)、作成コーナーのよくある質問「ご利用になれない方」、令和7年分の確定申告の手引き(一般用・簡易課税用)のいずれにも、理由の記載はありませんでした(2026-09-17確認)。当サイトは理由について推測を書きません。取扱いそのものについては税務署にご確認ください。
17番目と18番目は、売上側と仕入側で同じ内容ですか。
同じ形ではありません。18番目は「免税事業者であった期間において行った課税仕入れ(ただし消費税法第36条(納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整)の規定の適用を受けた棚卸資産の課税仕入れを除きます。)について対価の返還等を受けた方」と書かれており、かっこ書きの例外があります。17番目は「免税事業者であった期間において行った資産の譲渡等に係る対価の返還等がある方」で、例外の定めはありません。個別の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
インボイス制度が始まったせいで、この項目が追加されたのですか。
いいえ。同じページには令和3年分から令和7年分までの5年分が収録されており、17番目と18番目は5年分すべてに一言一句同じ文言で掲げられています(2026-09-17に5年分を機械照合)。令和3年分は適格請求書発行事業者の登録申請が始まっていない年分です。したがって、インボイス制度の開始によって追加された項目ではありません。
貸倒れがある場合も作成コーナーは使えないのですか。
令和7年分の消費税及び地方消費税の24項目に「貸倒」の文字は出てきません(2026-09-17に原本を機械検索して0件)。一方、令和7年分の確定申告の手引き(一般用)26ページは、免税事業者であった課税期間における課税売上げに係る売掛金等の貸倒れやその回収について付表1-3の計算を行わないとしています。掲載の有無は当サイトが確認した事実であり、実際の画面での動作や個別の可否については、税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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