令和8年度税制改正に対応

インボイス発行事業者の登録は、税務署長が拒否できる場合が条文に定められています(消費税法57条の2第5項)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

消費税法57条の2第3項は「税務署長は、前項の申請書の提出を受けた場合には、遅滞なく、これを審査し、第五項の規定により登録を拒否する場合を除き、第一項の登録をしなければならない」と定めています。登録は審査を経るもので、拒否できる場合が第5項に列挙されています。特定国外事業者以外の事業者については2つで、国税通則法117条1項の適用を受ける者が同条2項の納税管理人の届出をしていないこと(第5項1号イ)と、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であること(同号ロ)です。特定国外事業者については、税務代理人がないこと・納税管理人の届出をしていないこと・現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること・一定の登録取消しから一年を経過しないこと・罰金以上の刑に処せられ二年を経過しないことの5つです(同項2号イからホ)。登録を受けた後も、第6項に定める事実に該当すると認めるときは、税務署長は登録を取り消すことができます。登録又は処分をするときは、書面により通知されます(同条7項)。自社の申請がこれらの事実に当たるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 消費税法57条の2第3項は、税務署長は申請書を審査し「第五項の規定により登録を拒否する場合を除き」登録をしなければならない、と定めている。拒否できる場合が条文に置かれている。
  • 第5項は、事業者の区分に応じて拒否事由を分けている。特定国外事業者以外の事業者(1号)と、特定国外事業者(2号)である。
  • 特定国外事業者以外の事業者の拒否事由は2つ。国税通則法117条1項の適用を受ける者が同条2項の納税管理人の届出をしていないこと(イ)と、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であること(ロ)である。
  • 特定国外事業者とは、国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者をいう(第5項1号の括弧書きに定義がある)。
  • 特定国外事業者の拒否事由は5つ。税務代理人がないこと、納税管理人の届出をしていないこと、現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること、一定の登録取消しの日から一年を経過しないこと、罰金以上の刑に処せられ二年を経過しないことである(イからホ)。
  • 登録を受けた後についても、第6項が取消しをすることができる場合を定めている。特定国外事業者以外の事業者では、一年以上所在不明であること・事業を廃止したと認められること・合併により消滅したと認められること・納税管理人の届出をしていないこと・消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと・第5項1号の事実について虚偽の記載をして申請書を提出し登録を受けた者であることの6つである。
  • 第7項は、税務署長は登録又は第5項・第6項の処分をするときは、その事業者に対し書面によりその旨を通知する、と定めている。

登録は「審査」を経ます

インボイス発行事業者の登録は、申請書を出すところから始まります。その申請書を受け取った後のことを、条文はこう書いています。

3 税務署長は、前項の申請書の提出を受けた場合には、遅滞なく、これを審査し、第五項の規定により登録を拒否する場合を除き、第一項の登録をしなければならない。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得。原文ママ)

読みどころは、「第五項の規定により登録を拒否する場合を除き」という一句です。

この一句があることで、登録を拒否できる場合が別に定められていることが分かります。それが第5項です。

第5項は、事業者を2つに分けています

第5項は、拒否事由をひとまとめには書いていません。事業者の区分ごとに分けて書いています。

5 税務署長は、第一項の登録を受けようとする事業者が、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める事実に該当すると認めるときは、当該登録を拒否することができる。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得。原文ママ)

区分は2つです。

号どの事業者か事実の数
1号特定国外事業者以外の事業者2つ(イ・ロ)
2号特定国外事業者5つ(イ・ロ・ハ・ニ・ホ)

特定国外事業者の定義は、条文の中にあります。第5項1号の括弧書きです。

特定国外事業者(国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者をいう。次号及び次項において同じ。)

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得。原文ママ)

国内で事業所を構えて商売をしている国内の事業者は、1号のほうにあたります。

国内の事業者の拒否事由は、2つです

1号が定める2つの事実は、次のとおりです。

一 当該事業者が特定国外事業者…以外の事業者である場合 次に掲げるいずれかの事実 イ 当該事業者(国税通則法第百十七条第一項(納税管理人)の規定の適用を受ける者に限る。)が同条第二項の規定による納税管理人の届出をしていないこと。 ロ 当該事業者が、この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者であること。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得。原文ママ)

条文の文言に沿って読むと、次の3点が見えます。

  • イには括弧書きの絞りがあります。「国税通則法第百十七条第一項…の規定の適用を受ける者に限る」と書かれています。すべての事業者に納税管理人の届出が求められている、という書き方ではありません
  • ロの「この法律」は、消費税法を指します。条文の中で「この法律」と書かれているとき、それはその条文が置かれている法律のことです
  • ロには期間があります。「執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者」です

特定国外事業者は、5つです

2号は、特定国外事業者について5つの事実を挙げています。1号より数が多く、内容も異なります。

記号事実(条文の要旨)
イ消費税に関する税務代理の権限を有する国税通則法74条の9第3項2号に規定する税務代理人がないこと
ロ国税通則法117条2項の規定による納税管理人の届出をしていないこと
ハ現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること
ニ第6項の規定により登録を取り消され(第6項2号ホ又はヘに掲げる事実のいずれかに該当した場合に限る)、その取消しの日から一年を経過しない者であること
ホこの法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であること

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得)

1号と読み比べると、違いは条文の上でははっきりしています。

  • ロ(納税管理人)には、1号イのような「117条1項の適用を受ける者に限る」という括弧書きがありません
  • ハ(滞納)とニ(取消しから一年)は、1号には無い事実です

国外事業者の側の論点は別の記事で扱っています(「国外事業者と恒久的施設(PE)」)。ここでは、同じ第5項の中に区分が2つあるという条文の構造だけを押さえておきます。

登録された後についても、条文があります

第5項が入口の話であるのに対して、第6項は登録された後の話です。

6 税務署長は、次の各号に掲げる適格請求書発行事業者が当該各号に定める事実に該当すると認めるときは、当該適格請求書発行事業者に係る第一項の登録を取り消すことができる。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得。原文ママ)

こちらも区分は同じ2つで、特定国外事業者以外の事業者(1号)については6つの事実が挙げられています。

記号事実(条文の要旨)
イ一年以上所在不明であること
ロ事業を廃止したと認められること
ハ(法人に限る)合併により消滅したと認められること
ニ国税通則法117条1項の適用を受ける者に限り、納税管理人の届出をしていないこと
ホこの法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと
ヘ第5項1号に定める事実に関する事項について、虚偽の記載をして申請書を提出し、その申請に基づき登録を受けた者であること

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得)

第5項のロと第6項のホを読み比べると、文末が違います。

  • 第5項1号ロ(拒否):罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であること
  • 第6項1号ホ(取消し):この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと

拒否の側には二年という期間の定めが条文にありますが、取消しの側の文言にはその期間が書かれていません。

拒否も取消しも、書面で通知されます

手続の締めくくりは第7項です。

7 税務署長は、第一項の登録又は前二項の処分をするときは、その登録又は処分に係る事業者に対し、書面によりその旨を通知する。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得。原文ママ)

「前二項の処分」とは、第5項(拒否)と第6項(取消し)のことです。登録した場合も、拒否した場合も、取り消した場合も、書面で通知されるという書き方になっています。

取消し等があった後については、第11項が定めています。

11 税務署長は、第六項の規定による登録の取消しを行つたとき、又は前項の規定により第一項の登録がその効力を失つたときは、当該登録を抹消しなければならない。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該登録が取り消された又はその効力を失つた旨及びその年月日を速やかに公表しなければならない。

(e-Gov 法令検索・消費税法・2026年10月1日施行版。2026年9月8日に取得。原文ママ)

登録されたときの公表は第4項に、取消し等の公表は第11項にあります。公表サイトでの確認については、別の記事で扱っています(「取引先の登録番号は公表サイトで確認できます」)。

自社の申請や登録が第5項・第6項に定める事実に当たるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。条文に列挙された事実への当てはめは、個別の判断になります。

まとめ

  • 消費税法57条の2第3項は、税務署長は申請書を審査し、「第五項の規定により登録を拒否する場合を除き」登録をしなければならない、と定めています
  • 第5項は事業者を2つの区分に分けています。特定国外事業者以外の事業者(1号)は2つ、特定国外事業者(2号)は5つです
  • 1号の2つは、納税管理人の届出をしていないこと(国税通則法117条1項の適用を受ける者に限る)と、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、二年を経過しないことです
  • 特定国外事業者の定義は条文の括弧書きにあります。「国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者」です
  • 登録後については第6項が取消しをすることができる場合を定めており、1号(特定国外事業者以外)は6つです
  • 登録・拒否・取消しは、いずれも書面により通知されます(第7項)。取消し等は登録を抹消し、その旨と年月日が公表されます(第11項)

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者うちは国内で普通に商売をしている法人です。登録を申請したら、そのまま通ると思っていたのですが。

制度の事実消費税法57条の2第3項は、税務署長は申請書を審査し「第五項の規定により登録を拒否する場合を除き」登録をしなければならない、と定めています。第5項1号が、特定国外事業者以外の事業者についての拒否事由を2つ挙げています。納税管理人の届出をしていないこと(国税通則法117条1項の適用を受ける者に限る)と、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であることです。自社がこれらに当たるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者納税管理人という言葉は初めて聞きました。うちにも関係するのでしょうか。

制度の事実条文は「当該事業者(国税通則法第百十七条第一項(納税管理人)の規定の適用を受ける者に限る。)が同条第二項の規定による納税管理人の届出をしていないこと」と書いています。括弧書きで、国税通則法117条1項の規定の適用を受ける者に限る、と範囲が絞られています。自社が同項の適用を受ける者に当たるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者海外に本社がある取引先が登録できないと言っていました。国内の会社と扱いが違うのですか。

制度の事実消費税法57条の2第5項は、事業者を2つの区分に分けています。第5項1号の括弧書きは、特定国外事業者を「国内において行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを国内に有しない国外事業者」と定義しています。2号は特定国外事業者についての拒否事由として、税務代理人がないこと、納税管理人の届出をしていないこと、現に国税の滞納があり、かつ、その滞納額の徴収が著しく困難であること、一定の登録取消しの日から一年を経過しないこと、罰金以上の刑に処せられ二年を経過しないことの5つを挙げています。個別の事業者がどちらの区分に当たるかについては、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

申請書を出せば、そのまま登録されるのですか。
消費税法57条の2第3項は「遅滞なく、これを審査し、第五項の規定により登録を拒否する場合を除き、第一項の登録をしなければならない」と定めています。審査を経るもので、第5項に該当すると認めるときは税務署長は登録を拒否することができる、というのが条文の建て付けです。自社の場合に第5項の事実に当たるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。
国内で事業をしている場合、拒否事由はいくつありますか。
消費税法57条の2第5項1号は、特定国外事業者以外の事業者について2つの事実を挙げています。イが、国税通則法117条1項(納税管理人)の規定の適用を受ける者に限り、同条2項の規定による納税管理人の届出をしていないことです。ロが、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であることです。
罰金以上の刑とは、どの法律の違反を指しますか。
第5項1号ロの文言は「この法律の規定に違反して罰金以上の刑に処せられ」です。「この法律」とは消費税法を指します。個別の事実がこれに当たるかどうかの判断については、税理士または税務署にご確認ください。
登録された後に取り消されることはありますか。
消費税法57条の2第6項が、税務署長が登録を取り消すことができる場合を定めています。特定国外事業者以外の事業者については、一年以上所在不明であること、事業を廃止したと認められること、法人が合併により消滅したと認められること、納税管理人の届出をしていないこと、消費税法の規定に違反して罰金以上の刑に処せられたこと、第5項1号に定める事実に関する事項について虚偽の記載をして申請書を提出し登録を受けた者であることの6つが挙げられています。
拒否や取消しは、どうやって知らされますか。
消費税法57条の2第7項は「税務署長は、第一項の登録又は前二項の処分をするときは、その登録又は処分に係る事業者に対し、書面によりその旨を通知する」と定めています。前二項とは第5項(拒否)と第6項(取消し)です。また第11項は、取消しを行ったとき等は登録を抹消し、その旨及び年月日を速やかに公表しなければならないと定めています。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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