令和8年度税制改正に対応

免税事業者が登録した年は、その年の12月31日までに簡易課税を選べる(2割特例・3割特例の特例とは別系統)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

国税庁 タックスアンサー No.6505《簡易課税制度》は、簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより簡易課税制度を選択することができるとしたうえで、「なお、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます」と記載しています。暦年を課税期間とする個人事業者であれば、この「登録を受けた日の属する課税期間中」は登録を受けた年の12月31日までにあたります。これは、2割特例または3割特例の適用を受けた事業者についての届出期限の特例(インボイス Q&A 問117-3)とは別の措置です。自社がどちらに当たるか、また期限が何月何日になるかは、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 簡易課税制度選択届出書の提出期限は、原則としてその課税期間の初日の前日まで(No.6505)。
  • 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間にインボイス発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができる(No.6505)。
  • 国税庁の令和8年度税制改正特集の資料は、この取扱いを「免税事業者の方がインボイス発行事業者の登録を受けた場合は、その年の12月31日までに」と記載している。
  • 同じ資料は、前年に2割特例や3割特例の適用を受けた場合として「その年の申告期限(個人事業者であれば翌年3月31日(土日の場合翌月曜日))まで」も併記している。これは別の措置である。
  • 登録の経過措置にともなう前者は、対象となる課税期間が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に限られている。
  • どちらの経路で提出した場合でも、簡易課税制度は基準期間における課税売上高が5,000万円以下の課税期間に限り適用でき、事業を廃止した場合を除き2年間の継続適用がある(インボイス Q&A 問117-3 注2・注3)。

原則は「始まる前に出す」

簡易課税制度は、届出書を出して選ぶ制度です。国税庁 タックスアンサー No.6505《簡易課税制度》の「手続き」の欄には、次のように記載されています。

簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することにより、簡易課税制度を選択することができます

暦年を課税期間とする個人事業者なら、令和9年分について簡易課税を使うには 令和8年12月31日 までに出す、という形です。年が明けてからでは原則どおりにはなりません。

この「始まる前に出す」という形には、2つの別々の例外が置かれています。この記事は、そのうち登録した年についてのものを扱います。

例外1 免税事業者が登録した年(No.6505 のなお書き)

No.6505 は、原則を述べたすぐあとに、次のなお書きを置いています。

なお、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。

条件が3つ重なった書き方になっています。

記載されている条件原文の言葉
もともとの立場免税事業者であること
登録した時期令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に登録を受けたこと
課税事業者になり方登録を受けた日から課税事業者となる場合であること

これらを満たす場合の期限が、その登録を受けた日の属する課税期間中です。

国税庁の令和8年度税制改正特集の資料では、この取扱いが日付で書かれています。

※ 原則として事前の届出が必要ですが、免税事業者の方がインボイス発行事業者の登録を受けた場合は、その年の12月31日までに、また、前年に「2割特例」や「3割特例」の適用を受けた場合には、その年の申告期限(個人事業者であれば翌年3月31日(土日の場合翌月曜日))まで(注)に「簡易課税制度選択届出書」を提出することで、その年から簡易課税による申告が可能です

「その年の12月31日まで」 という言い方は、No.6505 の「その登録を受けた日の属する課税期間中」を、暦年を課税期間とする個人事業者に当てはめたものです。

例外2 2割特例・3割特例の適用を受けた場合(別の措置)

同じ資料に併記されているもう一方が、前年に2割特例や3割特例の適用を受けた場合です。こちらの期限は「その年の申告期限(個人事業者であれば翌年3月31日(土日の場合翌月曜日))まで」と記載されています。

国税庁 インボイス Q&A 問117-3【令和8年4月追加】は、この措置を次のように記載しています。

また、2割特例や3割特例の適用を受けた事業者については、その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限まで(注1)に、その翌課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載した「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その翌課税期間から、簡易課税制度の適用を受けることができることとされています

2つは別の措置です。同じ「あとから出せる」でも、対象になる人も、期限の日も違います。

例外1(登録した年)例外2(2割特例・3割特例)
対象免税事業者が登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合2割特例または3割特例の適用を受けた事業者
登録の時期の条件令和5年10月1日〜令和11年9月30日までの日の属する課税期間(記載なし)
期限登録を受けた日の属する課税期間中その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限まで
個人事業者の場合の日付登録した年の12月31日翌年の3月31日(休日等に当たる場合は繰下げ)
どの課税期間から適用されるかその登録を受けた課税期間からその翌課税期間から

いちばん下の行に注意してください。例外1 は「登録した年そのもの」から、例外2 は「特例を適用した年の翌年」から、という違いがあります。

期限が休日に当たったときの書き方

例外2 については、Q&A 問117-3 の注1 が繰下げを明記しています。

(注)1 翌課税期間に係る確定申告期限が、日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日、土曜日又は 12 月 29 日、同月 30 日若しくは同月 31 日に当たる場合はこれらの日の翌日、法人の確定申告書の提出期限の特例(消法 45 の2①)その他の規定により消費税申告書の提出期限が延長される場合は、その延長後の提出期限となります。

特集資料のフローチャートでは、この繰下げを「土日の場合翌月曜日」と短く書いています。Q&A の注1 のほうが、日曜日・国民の祝日・その他一般の休日・土曜日・12月29日・30日・31日と、対象を細かく挙げています。

いっぽう例外1(登録した年の課税期間中)について、No.6505 のなお書きには繰下げの記載がありません。この点については、「[消費税の届出書は何種類あるか](/articles/shohizei-todokedesho-ichiran/)」で扱った注6 の考え方が関係します。自社の期限日がいつになるかは、税理士または税務署にご確認ください。

出したあとに続く条件

どちらの経路で提出した場合でも、簡易課税制度そのものの条件は共通です。Q&A 問117-3 は注2・注3 で次のように記載しています。

2 簡易課税制度は、課税期間の基準期間における課税売上高が 5,000 万円以下である場合に限り、適用することができます。
3 簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続して適用した後でなければ、その適用をやめることはできません(適用を開始した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出することはできません。)。

つまり、入るときの期限は緩められていますが、出るときの条件は変わりません。この2年間の数え方については「[簡易課税をやめられるのはいつからか](/articles/kani-kazei-2nen-shibari/)」で扱っています。

期限を読み間違えないための注意(資料の基準日)

No.6505 のページには [令和7年4月1日現在法令等] と表示されています。この日付は、記載内容がいつ時点の法令にもとづくかを示すものです。

同じ No.6505 の「手続き」の欄には、2割特例についてのおって書きもあります。そこには、2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間中にこの届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができる、と記載されています。

これは令和8年度税制改正より前の期限です。先に引いたインボイス Q&A 問117-3 のとおり、改正後は「その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限まで」とされています。

資料例外2 について記載されている期限
No.6505([令和7年4月1日現在法令等])翌課税期間中
インボイス Q&A 問117-3(令和8年4月追加)翌課税期間に係る確定申告期限まで

いっぽう、この記事の主題である例外1(登録した年の課税期間中)については、No.6505 と令和8年度税制改正特集の資料の記載が一致しています。

一次情報どうしで書き方が違って見えるときは、まずそのページの基準日を見る、ということになります。この点は「[簡易課税の届出は、あとから出せる場合があります](/articles/kani-todokede-kigen-tokurei/)」でも扱っています。

この記事のまとめ

  • 原則は、簡易課税を適用したい課税期間の初日の前日まで(No.6505)
  • 免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中まで(No.6505)
  • 個人事業者に当てはめれば、それは登録した年の12月31日(令和8年度税制改正特集の資料)
  • 2割特例・3割特例の適用を受けた場合の期限は別の措置であり、翌課税期間に係る確定申告期限まで(インボイス Q&A 問117-3)
  • 入口の期限は分かれているが、5,000万円以下という要件と2年間の継続適用は共通(問117-3 注2・注3)

自社がどの経路に当たるか、期限が何月何日になるか、そして簡易課税を選んだ場合の税額がどうなるかの当てはめについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者今年になってインボイス登録をした。簡易課税は来年からしか選べないと聞いたが、本当か。

制度の事実国税庁 タックスアンサー No.6505 は、原則として「その課税期間の初日の前日までに」届出書を提出することで簡易課税制度を選択できるとしています。そのうえで、なお書きとして次のように記載しています。「免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。」御社が「登録を受けた日から課税事業者となる場合」に当たるかどうかを含め、当てはめは税理士または税務署にご確認ください。

経営者去年2割特例で申告した。今年から簡易課税にしたい場合も、年内に出せばよいのか。

制度の事実その場合に当てはまるのは別の措置です。国税庁の令和8年度税制改正特集の資料は「前年に『2割特例』や『3割特例』の適用を受けた場合には、その年の申告期限(個人事業者であれば翌年3月31日(土日の場合翌月曜日))まで」に届出書を提出することで、その年から簡易課税による申告が可能であると記載しています。またインボイス Q&A 問117-3 は、2割特例や3割特例の適用を受けた事業者について「その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限まで」に届出書を提出した場合には、その翌課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができるとしています。同問の注1 は、その確定申告期限が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日、土曜日または12月29日、同月30日もしくは同月31日に当たる場合はこれらの日の翌日になるとしています。御社の期限が何月何日になるかは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者どちらの措置でも「あとから出せる」なら、違いを気にする必要はないのではないか。

制度の事実国税庁の資料では、対象と期限が別々に書かれています。登録の経過措置にともなうものは、対象が「令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合」に限られ、期限は「登録を受けた日の属する課税期間中」です。2割特例・3割特例の適用を受けた場合のものは、対象がその特例の適用を受けた事業者で、期限は「その適用を受けた課税期間の翌課税期間に係る確定申告期限まで」です。なおインボイス Q&A 問117-3 の注1 には、法人の確定申告書の提出期限の特例(消法45の2①)その他の規定により消費税申告書の提出期限が延長される場合は、その延長後の提出期限になるという記載もあります。どちらが当てはまるかによって期限の日が変わりますので、自社の当てはめは税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

簡易課税制度選択届出書は、いつまでに出すのが原則ですか。
国税庁 タックスアンサー No.6505 は「簡易課税制度の適用を受けようとする事業者は、その課税期間の初日の前日までに、『消費税簡易課税制度選択届出書』を納税地の所轄税務署長に提出することにより、簡易課税制度を選択することができます」と記載しています。暦年を課税期間とする個人事業者であれば、その課税期間の初日の前日は前年の12月31日にあたります。自社の課税期間と提出期限については、税理士または税務署にご確認ください。
免税事業者が登録した年についての取扱いは、どこに書かれていますか。
No.6505 の「手続き」の欄に次のとおり記載されています。「なお、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け、登録を受けた日から課税事業者となる場合は、その登録を受けた日の属する課税期間中に消費税簡易課税制度選択届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。」また国税庁の令和8年度税制改正特集の資料にも「免税事業者の方がインボイス発行事業者の登録を受けた場合は、その年の12月31日までに」と記載されています。自社が対象に当たるかは、税理士または税務署にご確認ください。
「その年の12月31日まで」と「翌年3月31日まで」は、どちらが正しいのですか。
どちらも国税庁の同じ資料に併記されており、対象が違います。令和8年度税制改正特集の資料は「免税事業者の方がインボイス発行事業者の登録を受けた場合は、その年の12月31日までに、また、前年に『2割特例』や『3割特例』の適用を受けた場合には、その年の申告期限(個人事業者であれば翌年3月31日(土日の場合翌月曜日))まで(注)に『簡易課税制度選択届出書』を提出することで、その年から簡易課税による申告が可能です」と記載しています。前者は登録の経過措置にともなうもの、後者は2割特例・3割特例の適用を受けた事業者についてのものです。自社がどちらに当たるかは、税理士または税務署にご確認ください。
法人の場合も「12月31日まで」ですか。
No.6505 の記載は「その登録を受けた日の属する課税期間中」です。日付そのものではなく課税期間で書かれています。12月31日という日付は、暦年を課税期間とする個人事業者に当てはめた場合の言い方です。令和8年度税制改正特集の資料でこの記載が置かれているのは3割特例の適用可否フローチャートの中であり、3割特例の主な適用要件の1つ目には「個人事業者であること」が挙げられています。自社の課税期間の末日が何月何日になるかは、税理士または税務署にご確認ください。
この取扱いには期限がありますか。
No.6505 は対象を「令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間に適格請求書発行事業者の登録を受け」た場合と記載しています。期間が区切られている措置です。自社の登録日がこの期間に含まれるかは、税理士または税務署にご確認ください。
届出書を出したあと、すぐにやめることはできますか。
国税庁 インボイス Q&A 問117-3 の注3 は「簡易課税制度の適用を受けている事業者は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続して適用した後でなければ、その適用をやめることはできません(適用を開始した課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、『消費税簡易課税制度選択不適用届出書』を提出することはできません。)」と記載しています。自社の場合にいつから提出できるかは、税理士または税務署にご確認ください。
簡易課税制度そのものに、売上の上限はありますか。
インボイス Q&A 問117-3 の注2 は「簡易課税制度は、課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下である場合に限り、適用することができます」と記載しています。No.6505 も同じ内容を記載しています。基準期間の課税売上高の集計方法については、税理士または税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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