令和8年度税制改正に対応

登録簿の登載事項が変わったときの届出書の期限は「速やかに」で、日数は書かれていません(消費税法57条の2第8項・第9項)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

消費税法57条の2第8項は「適格請求書発行事業者は、第四項に規定する適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたときは、その旨を記載した届出書を、速やかに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない」と定めています。期限の書き方は「速やかに」であり、条文に何日以内という日数は書かれていません。また、届け出るきっかけは「登録簿に登載された事項に変更があつたとき」とされており、その登載事項は消費税法施行令70条の5第1項が掲げる4つ、すなわち氏名または名称および登録番号、登録年月日、法人(人格のない社団等を除く)の本店または主たる事務所の所在地、特定国外事業者以外の国外事業者の国内の事務所等の所在地です。届出を受けた後の手続は同条9項が定めており、税務署長は遅滞なく登録簿に登載して変更の登録をし、変更後の登載事項を速やかに公表しなければならないとされています。なお国税庁のタックスアンサーNo.6629は、この届出書について「事由が生じた場合速やかに」としたうえで、法人が名称ならびに本店または主たる事務所の所在地を変更したことにより、その旨を記載した異動届出書を提出した場合は不要とするただし書きを付けています。自社の変更がどれに当たり、どの書類が必要かについては、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 消費税法57条の2第8項の期限の書き方は「速やかに」である。条文に何日以内という日数は書かれていない。
  • 届け出るきっかけは「適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたとき」である。登載事項そのものは消費税法施行令70条の5第1項が掲げる4つである。
  • したがって、この届出書の要否は「登載事項に当たるかどうか」で条文上は決まる構造になっている。8項だけを読んでも、何が変わったら出すのかは決まらない。
  • 消費税法57条の2第9項は税務署長の側の手当てを定めている。届出書の提出を受けた場合には「遅滞なく」登録簿に登載して「変更の登録」をするものとされている。
  • 同項は続けて、変更後の登録簿に登載された事項を「速やかに公表」しなければならないと定めている。公表の方法は消費税法施行令70条の5第2項が受けている。
  • 8項は事業者側の「速やかに」、9項は税務署長側の「遅滞なく」と、条文の用語が使い分けられている。
  • 国税庁のタックスアンサーNo.6629(令和8年4月1日現在法令等)は、この届出書の提出期限等を「事由が生じた場合速やかに(注12)」と記載している。その注12は「法人の納税地に異動があった場合は、異動前の納税地の所轄税務署長に提出します。ただし、法人が、その旨を記載した法人税の異動届出書を提出した場合は、提出する必要はありません。なお、個人事業者の納税地に異動があった場合、消費税異動届出書の提出は不要です。」という内容である。
  • 同じNo.6629には「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」も別の行で挙げられている。こちらは公表サイトでの公表事項について「屋号」「本店または主たる事務所等の所在地」「外国人の通称または旧姓氏名」を新たに追加するまたは変更しようとするときの書類とされており、登載事項変更届出書とは別のものである。

「何日以内」を探しても、条文には書かれていません

社名を変えた。本店を移した。そのとき、インボイスの登録についても届出書を出すことになります。

経営者の方がまず知りたいのは「いつまでに出すのか」でしょう。ところが条文には、日数が書かれていません。

8 適格請求書発行事業者は、第四項に規定する適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたときは、その旨を記載した届出書を、速やかに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。

(e-Gov 法令検索・消費税法・令和8年10月1日施行版。2026年9月14日に取得)

期限の書き方は「速やかに」です。国税庁のタックスアンサー No.6629「消費税の各種届出書」も、この届出書の提出期限等の欄を「事由が生じた場合速やかに」としています。

「○日以内」という日数は、条文にも一覧にも書かれていません。実際にいつまでに提出するかについては、税務署にご確認ください。

8項だけを読んでも、「何が変わったら出すのか」は決まりません

もう1つ、この条文には読みにくいところがあります。

8項が届出のきっかけとしているのは「登載された事項に変更があつたとき」です。つまり、何が登載事項なのかが決まらないと、届出の要否も決まらない構造になっています。

その登載事項を定めているのが、消費税法施行令70条の5第1項です。掲げられているのは 4つです。

号登載事項誰について
1号氏名又は名称及び登録番号全員
2号登録年月日全員
3号本店又は主たる事務所の所在地法人(人格のない社団等を除く)
4号国内で行う資産の譲渡等に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地特定国外事業者以外の国外事業者

登載事項そのものの詳しい話は [適格請求書発行事業者登録簿に載る事項は、政令が4つ定めています](/articles/torokubo-tosai-jiko-4tsu/) にまとめていますので、ここでは繰り返しません。この記事で押さえたいのは、8項の「変更があつたとき」が、この4つを指す書き方になっているという点です。

届出書を受け取った後は、9項が税務署長の側を定めています

8項が事業者側の義務なら、9項は税務署長側の手当てです。

9 税務署長は、前項の規定による届出書の提出を受けた場合には、遅滞なく、当該届出に係る事項を適格請求書発行事業者登録簿に登載して、変更の登録をするものとする。この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該変更後の適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない。

(e-Gov 法令検索・消費税法・令和8年10月1日施行版。2026年9月14日に取得)

2つのことが書かれています。

  1. 変更の登録をする(遅滞なく、登録簿に登載して)
  2. 変更後の登載事項を公表する(速やかに)

条文の用語が使い分けられている点も、並べると見えます。

誰が何を条文の言葉
事業者届出書の提出(8項)速やかに
税務署長登載・変更の登録(9項前段)遅滞なく
税務署長変更後の登載事項の公表(9項後段)速やかに

いずれも日数による期限ではありません。なお、後段の公表の方法は消費税法施行令70条の5第2項が受けており、「インターネットを利用して、利用者が容易に検索することができるように体系的に構成された情報を提供する方法」とされています。

一覧に書かれている提出期限等(2026年10月8日に再取得)

国税庁のタックスアンサー No.6629 は、この届出書を次の行で挙げています(セルごとに示します)。

届出書名提出すべき場合提出期限等
適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があったとき事由が生じた場合速やかに(注12)

その 注12 は、次のとおりです。

(注12) 法人の納税地に異動があった場合は、異動前の納税地の所轄税務署長に提出します。ただし、法人が、その旨を記載した法人税の異動届出書を提出した場合は、提出する必要はありません。なお、個人事業者の納税地に異動があった場合、消費税異動届出書の提出は不要です。

注12 が述べているのは「納税地の異動」と「(法人の)消費税異動届出書」についてです。同じ(注12)は、課税期間特例選択不適用届出書の行と、(法人の)消費税異動届出書の行にも付いています。

⚠️ 注意(当サイトによる補足):当サイトは以前、この行に「法人が名称ならびに本店または主たる事務所の所在地を変更したことにより、その旨を記載した異動届出書を提出した場合は、不要」というただし書きが付いている旨を記載していましたが、2026年10月8日に再取得した時点のページには、その文は見当たりません(ページは[令和8年4月1日現在法令等]に更新されています)。登載事項変更届出書を出す必要があるかどうかは、所轄の税務署にご確認ください。

法人については、別の届出書の提出によって、この届出書が不要になるとされている場合があるという書き方です。自社がこれに当たるかどうかは、税理士または税務署にご確認ください。

届出書の一覧そのものは [消費税の届出書は何種類あるか(提出期限の一覧と、期限が延びない届出書)](/articles/shohizei-todokedesho-ichiran/) にまとめています。

屋号を変えたときは、別の書類が挙げられています

No.6629 には、登載事項変更届出書とは別の行で、次の書類が挙げられています(セルごとに示します)。

届出書名提出すべき場合提出期限等
適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書国税庁ホームページ(国税庁適格請求書発行事業者公表サイト)での公表事項について、「屋号」、「本店または主たる事務所等の所在地」、「外国人の通称または旧姓氏名」を新たに追加するまたは変更しようとするとき事由が生じた場合、速やかに提出

(国税庁 タックスアンサー No.6629「消費税の各種届出書」令和8年4月1日現在法令等。2026年10月8日に再取得)

登録簿に登載される事項の変更(8項の届出書)と、公表サイトに追加で載せている事項の変更(申出書)は、一覧の上で別々の行になっています。どちらの書類になるかは、税務署にご確認ください。

この記事のまとめ

  • 消費税法57条の2第8項の期限は「速やかに」で、条文に日数は書かれていない。
  • 届出のきっかけは「登録簿に登載された事項に変更があつたとき」で、その登載事項は施行令70条の5第1項の4つである。8項だけでは要否が決まらない。
  • 9項は税務署長側を定め、遅滞なく変更の登録をし、変更後の登載事項を速やかに公表するとしている。
  • No.6629 には、法人が名称ならびに本店または主たる事務所の所在地を変更したことにより異動届出書を提出した場合は不要とするただし書きがある。
  • 公表サイトの屋号等の変更は、一覧の上では別の申出書の行に書かれている。

自社の変更がどれに当たり、どの書類をいつ提出するかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者来月、会社の商号を変更する。インボイスの登録番号のほうも何か出すのか。期限は何日以内だ。

制度の事実消費税法57条の2第8項は「適格請求書発行事業者は、第四項に規定する適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたときは、その旨を記載した届出書を、速やかに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない」と定めています。期限の書き方は「速やかに」であり、条文に日数は書かれていません。登載事項は消費税法施行令70条の5第1項の4つで、その1号が「氏名又は名称及び登録番号」です。なお国税庁のタックスアンサーNo.6629には、法人が名称ならびに本店または主たる事務所の所在地を変更したことにより、その旨を記載した異動届出書を提出した場合は不要とするただし書きがあります。自社の場合にどの書類が必要かは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者うちは個人事業だ。引っ越して自宅兼事務所の住所が変わったんだが、これも変更届の対象か。

制度の事実消費税法57条の2第8項が届出の対象としているのは「適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたとき」です。登載事項を定める消費税法施行令70条の5第1項は4つの事項を掲げており、所在地が挙げられているのは3号の法人(人格のない社団等を除く)と、4号の特定国外事業者以外の国外事業者です。一方、国税庁のタックスアンサーNo.6629には、公表サイトでの公表事項について「屋号」「本店または主たる事務所等の所在地」「外国人の通称または旧姓氏名」を新たに追加するまたは変更しようとするときの書類として「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」が別に挙げられています。ご自身の変更がどちらに当たるかの判断は、税理士または税務署にご確認ください。

経営者届出を出したら、取引先が見る公表サイトの表示もすぐ変わるのか。

制度の事実消費税法57条の2第9項は、税務署長は届出書の提出を受けた場合には「遅滞なく」登録簿に登載して変更の登録をするものとし、この場合において「当該変更後の適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない」と定めています。公表の方法は消費税法施行令70条の5第2項が受けており、「インターネットを利用して、利用者が容易に検索することができるように体系的に構成された情報を提供する方法」とされています。条文はいずれも日数を定めていません。実際の反映の時期については、税務署にご確認ください。

よくある質問

登載事項変更届出書は、何日以内に出すのですか。
消費税法57条の2第8項は「その旨を記載した届出書を、速やかに、その納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない」と定めています。期限の書き方は「速やかに」であり、条文に日数は書かれていません。国税庁のタックスアンサーNo.6629も、この届出書の提出期限等の欄を「事由が生じた場合速やかに」としています。実際にいつまでに提出するかについては、税務署にご確認ください。
何が変わったら、この届出書を出すことになるのですか。
消費税法57条の2第8項は「第四項に規定する適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項に変更があつたとき」と書いています。その登載事項は消費税法施行令70条の5第1項が掲げる4つで、氏名又は名称及び登録番号、登録年月日、法人(人格のない社団等を除く。)の本店又は主たる事務所の所在地、特定国外事業者以外の国外事業者の国内の事務所等の所在地です。自社の変更がこれに当たるかどうかの判断は、税理士または税務署にご確認ください。
法人が社名と本店を変えた場合は、どうなりますか。
国税庁のタックスアンサーNo.6629は、適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書について「事由が生じた場合速やかに」としたうえで、「ただし、法人が名称ならびに本店または主たる事務所の所在地を変更したことにより、その旨を記載した異動届出書を提出した場合は、不要」と記載しています。自社が該当するかどうかは、税理士または税務署にご確認ください。
届出書を出した後、税務署はどうするのですか。
消費税法57条の2第9項は「税務署長は、前項の規定による届出書の提出を受けた場合には、遅滞なく、当該届出に係る事項を適格請求書発行事業者登録簿に登載して、変更の登録をするものとする」と定めています。続けて「この場合において、税務署長は、政令で定めるところにより、当該変更後の適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項を速やかに公表しなければならない」としています。
「速やかに」と「遅滞なく」は、条文の中で使い分けられているのですか。
この条文では、8項の事業者側の提出が「速やかに」、9項の税務署長側の登載・変更の登録が「遅滞なく」と書かれています。9項の後段、変更後の登載事項の公表は「速やかに」です。いずれも日数による期限の書き方ではありません。
公表サイトに載せている屋号を変えたいときも、この届出書ですか。
国税庁のタックスアンサーNo.6629には、登載事項変更届出書とは別の行で「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」が挙げられています。届出が必要な場合の欄は「国税庁ホームページ(国税庁適格請求書発行事業者公表サイト)での公表事項について、『屋号』、『本店または主たる事務所等の所在地』、『外国人の通称または旧姓氏名』を新たに追加するまたは変更しようとするとき」と記載されており、提出期限等の欄は「事由が生じた場合、速やかに提出」とされています。どちらの書類になるかは、税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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