「売上げに係る対価の返還等」に入るのは返品と値引きだけではありません(国税庁が挙げる7つ)
最終確認日: (数値は一次情報で照合)
国税庁タックスアンサーNo.6359は「調整が必要な取引」として7つを列挙しています。(1)返品、(2)値引き、(3)事業者がその直接の取引先に支払う割戻し(この他、間接の取引先に支払う飛越しリベート等とされるもの)、(4)海上運送事業を営む事業者が支払う船舶の早出料、(5)販売奨励金等のうち、事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に対して金銭で支払うもの、(6)協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分、(7)課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日より前に支払を受けたこと等を基因として支払われる売上割引、です。根拠は消費税法基本通達14-1-1(船舶の早出料)、14-1-2(販売奨励金等)、14-1-3(事業分量配当金)、14-1-4(売上割引)です。ただし、輸出取引など消費税が免除される取引に基因して支払われるものは除かれます。売上げに係る対価の返還等の金額は、2割特例・3割特例の特別控除税額の計算と、基準期間における課税売上高の計算にも入ります。自社の支出がこれらに当たるかどうかについては、税理士または税務署にご確認ください。
この記事の要点
- 消費税法38条1項が条文に書いている行為は「返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたこと」の3つだが、国税庁タックスアンサーNo.6359は「調整が必要な取引」として7つを列挙している。
- 7つのうち、返品・値引き以外の5つは、割戻し、船舶の早出料、販売奨励金等、協同組合等の事業分量配当金、売上割引である。根拠は消費税法基本通達14-1-1から14-1-4。
- 飛越しリベートも入る。消費税法基本通達14-1-2は、販売奨励金等の支払先である「取引先」に「課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む」と括弧書きを置いている。
- 売上割引も入る。消費税法基本通達14-1-4は「課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日よりも前に支払いを受けたこと等を基因として支払う売上割引は、売上げに係る対価の返還等に該当する」と定めている。
- 輸出取引など消費税が免除される取引に基因して支払われるものは除かれる。消費税法38条1項の括弧書きが、消費税法7条1項・8条1項その他の法律または条約の規定により消費税が免除されるものを除いている。
- 課税・軽減対象・非課税をまとめて割戻しをしたときは、区分することとされている。消費税法基本通達14-1-5は、2以上の区分の資産の譲渡等について一括して割戻しを行ったときは、それぞれの部分の割戻金額を合理的に区分したところにより消費税法38条1項を適用すると定めている。
- 調整する課税期間は、当初の売上げの課税期間ではない。消費税法38条1項は「当該売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間」の課税標準額に対する消費税額から控除すると定めている。
- 調整できない取引が2つある。免税事業者だった課税期間の売上げについて課税事業者になった後に行ったもの(消費税法基本通達14-1-6)と、課税事業者だった課税期間の売上げについて廃業後・免税事業者になった後に行ったもの(同14-1-7)。
- 税額は、税込みの返還等の金額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となったものは108分の6.24)を乗じて計算する。控除を受けるには、返還等をした金額の明細等を記録した帳簿の保存が必要(消費税法38条2項)。
- この金額は2割特例・3割特例の計算と納税義務の判定にも入る。範囲を取り違えると、これらの金額もずれる。
条文は3つ、国税庁の案内は7つ
消費税法38条1項が挙げている行為は、次の3つです。
事業者(中略)が、国内において行つた課税資産の譲渡等(中略)につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、(中略)の全部若しくは一部の返還又は(中略)売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額(中略)「売上げに係る対価の返還等」という。)をした場合には(後略)
(e-Gov 法令検索・2026年4月1日施行版。2026年9月3日に取得)
ところが、国税庁タックスアンサー No.6359 が「調整が必要な取引」として列挙しているのは、7つです。
(1) 返品 (2) 値引き (3) 事業者がその直接の取引先に支払う割戻し この他、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの (4) 海上運送事業を営む事業者が支払う船舶の早出料 (5) 販売奨励金等のうち、事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に対して金銭で支払うもの (6) 協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち、課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分 (7) 課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日より前に支払を受けたこと等を基因として支払われる売上割引
(2026年9月3日に取得)
つまり、返品と値引きだけを拾っていると、5つ足りません。
見落とされやすい5つ
割戻しと、飛越しリベート
「割戻し」は条文にも書かれています。注意が要るのは、支払先が直接の取引先とは限らない点です。
消費税法基本通達 14-1-2 の括弧書きが、これを定めています。
14−1−2 事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する。
括弧書きの中が要点です。直接の相手方である卸売業者等だけでなく、その販売先である小売業者等の取引関係者も含む、と書かれています。
No.6359の(3)にある「間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの」は、これに対応します。
販売奨励金等
上の14-1-2が、そのまま根拠です。条件は通達の文言に3つ書かれています。
- 販売促進の目的であること
- 販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じていること
- 金銭により支払うこと
船舶の早出料
14−1−1 海上運送事業を営む事業者が船舶による運送に関連して支払う早出料は、売上げに係る対価の返還等に該当する。
早出料は、荷役が予定より早く終わったときに船会社が荷主側へ支払うものです。通達に名指しで書かれています。
協同組合等の事業分量配当金
14−1−3 法法第60条の2第1項第1号《協同組合等の事業分量配当等の損金算入》に掲げる協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分の金額は、当該協同組合等の売上げに係る対価の返還等に該当することに留意する。
「配当金」という名前が付いていますが、通達は分量等に応じた部分について、売上げに係る対価の返還等に該当するとしています。全額ではなく「課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分の金額」という限定が付いています。
売上割引
14−1−4 課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日よりも前に支払いを受けたこと等を基因として支払う売上割引は、売上げに係る対価の返還等に該当する。
期日前に入金してもらったお礼として代金を割り引く、という取引です。通達は、これを売上げに係る対価の返還等に該当するとしています。
除かれるもの
消費税が免除される取引に基因するもの
No.6359は、7類型を挙げる直前に条件を置いています。
国内で行った課税資産の譲渡等に該当する取引に基因して支払われる次のもの(中略)が調整の必要な取引となります。 ただし、輸出取引など消費税が免除される取引に基因して支払われるものを除きます。
条文の側も同じです。消費税法38条1項は、課税資産の譲渡等について「第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く」と括弧書きを置いています。
免税事業者との境目をまたぐもの
No.6359は「調整を行うことができない取引」として2つを挙げています。
(1) 免税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、課税事業者となった後の課税期間において行ったもの (2) 課税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、事業を廃止し、または免税事業者となった後の課税期間において行ったもの
それぞれ消費税法基本通達 14-1-6・14-1-7 が根拠です。返金はしているのに、消費税の側では調整できないという組み合わせが生じます。この2つは当サイトの別記事で詳しく扱っています。
課税・軽減対象・非課税をまとめて割り戻したとき
14−1−5 事業者が、一の取引先に対して課税資産の譲渡等(軽減対象課税資産の譲渡等を除く。)、軽減対象課税資産の譲渡等及びこれら以外の資産の譲渡等のうち2以上の区分の資産の譲渡等を同時に行った場合において、当該2以上の区分の資産の譲渡等の対価の額につき、一括して売上げに係る割戻しを行ったときは、それぞれの資産の譲渡等に係る部分の割戻金額を合理的に区分したところにより法第38条第1項(中略)の規定を適用することとなるのであるから留意する。
3つの区分が並んでいます。課税資産の譲渡等(軽減対象を除く)/軽減対象課税資産の譲渡等/これら以外の資産の譲渡等です。3つ目には非課税のものが入ります。
一括して割り戻したときは、合理的に区分したうえで消費税法38条1項を適用する、という組み立てです。
なお、軽減対象部分と標準税率部分に合理的に区分されていないときの按分方法は、No.6359および消費税法施行令58条2項に定められています。分母はその返還等に係る課税資産の譲渡等の税込価額の合計額であり、その課税期間の売上高全体ではありません。
いつ、いくら調整するか
調整する課税期間
消費税法38条1項は「当該売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から」控除すると定めています。
No.6359も同じです。
当初の課税資産の譲渡等を行った課税期間でなく、売上げに係る対価の返還等を行った課税期間において調整を行います。
当初の売上げをさかのぼって直すのではありません。
税額
| 区分 | 乗じる割合 |
|---|---|
| 標準税率が適用された売上げに係るもの | 110分の7.8 |
| 軽減税率の適用対象となった売上げに係るもの | 108分の6.24 |
税込みの返還等の金額に、上の割合を乗じます(消費税法38条1項・No.6359)。
帳簿
消費税法38条② 前項の規定は、事業者が当該売上げに係る対価の返還等をした金額の明細を記録した帳簿を保存しない場合には、当該保存のない売上げに係る対価の返還等に係る消費税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。
記録する事項は、消費税法施行令58条の2第1項が4つ定めています。
- 売上げに係る対価の返還等を受けた者の氏名又は名称
- 売上げに係る対価の返還等を行った年月日
- 売上げに係る対価の返還等に係る課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(軽減対象課税資産の譲渡等である場合には、資産の内容および軽減対象課税資産の譲渡等である旨)
- 税率の異なるごとに区分した売上げに係る対価の返還等をした金額
保存期間は、閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から 7年間 です(同条2項)。
範囲を取り違えると、他の計算もずれます
「売上げに係る対価の返還等」の金額は、この控除だけに使われるものではありません。他の2か所にも入ります。
| 使われる場所 | どう入るか | 根拠 |
|---|---|---|
| 2割特例・3割特例 | 特別控除税額の計算で、課税標準額に対する消費税額から返還等に係る消費税額を控除した残額に80%または70%を乗じる。さらに返還等そのものも控除項目として引く | 平成28年改正法附則51の2第2項・51の3第2項、消費税法38条1項 |
| 納税義務の判定 | 基準期間における課税売上高は、対価の額の合計額から売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額 | 消費税法9条2項1号 |
範囲を狭く取ると、この2つの金額も同時にずれます。それぞれの詳しい仕組みは、当サイトの別記事で扱っています。
まとめ
- 消費税法38条1項の文言は「返品・値引き・割戻し」の3つだが、国税庁が挙げる調整の必要な取引は7つである
- 見落とされやすいのは、割戻し・飛越しリベート・船舶の早出料・販売奨励金等・事業分量配当金・売上割引
- 根拠は消費税法基本通達14-1-1から14-1-4。一括割戻しの区分は14-1-5
- 輸出取引など消費税が免除される取引に基因するものは除かれる
- 免税事業者との境目をまたぐものは調整できない(14-1-6・14-1-7)
- 調整するのは返還等をした日の属する課税期間。税額は110分の7.8(軽減対象は108分の6.24)
- 控除には帳簿の保存が必要(消費税法38条2項・消費税法施行令58条の2)
この記事は、法令と国税庁の一次情報に書かれている内容を整理したものです。自社の支出が「売上げに係る対価の返還等」に当たるかどうか、どの課税期間で調整することになるか、帳簿にどう記録することになるかについては、税理士または税務署にご確認ください。
経営者の疑問と、制度の事実
答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。
経営者うちは返品も値引きもほとんど無い。だからこの話は関係ないと思っているが、それでよいか。
制度の事実消費税法38条1項が条文に書いている行為は「返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたこと」ですが、国税庁タックスアンサーNo.6359は「調整が必要な取引」として7つを列挙しています。返品と値引き以外に、直接の取引先に支払う割戻し、間接の取引先に支払う飛越しリベート等とされるもの、海上運送事業を営む事業者が支払う船舶の早出料、販売促進の目的で販売数量・販売高等に応じて取引先に金銭で支払う販売奨励金等、協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分、支払期日より前に支払を受けたこと等を基因として支払われる売上割引が挙げられています。御社の支出のうちどれがこれらに当たるかについては、税理士または税務署にご確認ください。
経営者早く払ってくれた得意先に、支払期日前だからということで代金を少し割り引いている。これは金利のようなものだと思っていた。
制度の事実消費税法基本通達14-1-4は「課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日よりも前に支払いを受けたこと等を基因として支払う売上割引は、売上げに係る対価の返還等に該当する」と定めています。国税庁タックスアンサーNo.6359も、調整が必要な取引の(7)として同じ内容を挙げています。売上げに係る対価の返還等に該当する場合、消費税法38条1項により、返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から控除することとされ、同条2項により、その金額の明細を記録した帳簿の保存が必要とされています。御社の取引がこれに当たるかどうか、また処理の方法については、税理士または税務署にご確認ください。
経営者問屋を通して売っているが、その先の小売店に販促の協力金を払っている。相手はうちの直接の取引先ではない。
制度の事実消費税法基本通達14-1-2は、販売奨励金等について「事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する」と定めています。括弧書きが、直接の相手方である卸売業者等のほか、その販売先である小売業者等の取引関係者も含む書き方になっています。国税庁タックスアンサーNo.6359も、(3)に「この他、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの」と記載しています。御社が支払っている協力金がこれに当たるかどうかは、支払の名目ではなく条件によることになりますので、税理士または税務署にご確認ください。
よくある質問
- 国税庁は、どんな取引を挙げていますか。
- 国税庁タックスアンサーNo.6359は「調整が必要な取引」として次の7つを挙げています。(1)返品、(2)値引き、(3)事業者がその直接の取引先に支払う割戻し(この他、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの)、(4)海上運送事業を営む事業者が支払う船舶の早出料、(5)販売奨励金等のうち、事業者が販売促進の目的で販売奨励金等の対象とされる課税資産の販売数量、販売高等に応じて取引先に対して金銭で支払うもの、(6)協同組合等が組合員等に支払う事業分量配当金のうち、課税資産の譲渡等の分量等に応じた部分、(7)課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日より前に支払を受けたこと等を基因として支払われる売上割引。自社の支出がこれらに当たるかどうかは、税理士または税務署にご確認ください。
- 売上割引も含まれるのですか。
- 消費税法基本通達14-1-4は「課税資産の譲渡等に係る対価をその支払期日よりも前に支払いを受けたこと等を基因として支払う売上割引は、売上げに係る対価の返還等に該当する」と定めています。国税庁タックスアンサーNo.6359も、(7)として同じ内容を挙げています。個別の取引の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
- 取引先ではなく、その先の小売店に支払ったリベートはどうなりますか。
- 消費税法基本通達14-1-2は、販売奨励金等について「取引先(課税資産の販売の直接の相手方としての卸売業者等のほかその販売先である小売業者等の取引関係者を含む。)に対して金銭により支払う販売奨励金等は、売上げに係る対価の返還等に該当する」と定めています。括弧書きにより、直接の相手方だけでなく、その販売先である小売業者等の取引関係者も含まれる書き方になっています。国税庁タックスアンサーNo.6359も、(3)に「この他、間接の取引先(商品等の卸売業者、製造業者等)に支払う飛越しリベート等とされるもの」と記載しています。自社の支出の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
- 輸出売上げについての返品も調整するのですか。
- 国税庁タックスアンサーNo.6359は「ただし、輸出取引など消費税が免除される取引に基因して支払われるものを除きます」と記載しています。消費税法38条1項も、括弧書きで「第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるもの」を除いています。個別の取引については、税理士または税務署にご確認ください。
- 軽減税率の商品と標準税率の商品をまとめて割り戻した場合はどうなりますか。
- 消費税法基本通達14-1-5は、一の取引先に対して課税資産の譲渡等(軽減対象課税資産の譲渡等を除く)、軽減対象課税資産の譲渡等、これら以外の資産の譲渡等のうち2以上の区分の資産の譲渡等を同時に行った場合において、その2以上の区分の資産の譲渡等の対価の額につき一括して売上げに係る割戻しを行ったときは「それぞれの資産の譲渡等に係る部分の割戻金額を合理的に区分したところにより法第38条第1項の規定を適用することとなる」と定めています。また、軽減対象部分と標準税率部分に合理的に区分されていないときの按分方法が、国税庁タックスアンサーNo.6359および消費税法施行令58条2項に定められています。区分の方法については、税理士または税務署にご確認ください。
- いつの課税期間で調整するのですか。
- 消費税法38条1項は「当該売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から」控除すると定めています。国税庁タックスアンサーNo.6359も「当初の課税資産の譲渡等を行った課税期間でなく、売上げに係る対価の返還等を行った課税期間において調整を行います」と記載しています。
- 調整できない場合はありますか。
- 国税庁タックスアンサーNo.6359は「調整を行うことができない取引」として2つを挙げています。(1)免税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、課税事業者となった後の課税期間において行ったもの、(2)課税事業者であった課税期間における課税資産の譲渡等につき、事業を廃止し、または免税事業者となった後の課税期間において行ったもの。それぞれ消費税法基本通達14-1-6・14-1-7が根拠です。自社の状況の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
- 税額はどう計算しますか。帳簿は必要ですか。
- 国税庁タックスアンサーNo.6359は「税込みの売上げに係る対価の返還等の金額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となった売上げに係るものについては108分の6.24)を乗じて算出した金額となります」と記載しています。消費税法38条1項も同じ割合を定めています。帳簿については、消費税法38条2項が「事業者が当該売上げに係る対価の返還等をした金額の明細を記録した帳簿を保存しない場合には、当該保存のない売上げに係る対価の返還等に係る消費税額については、適用しない」と定めています。記録する事項と保存期間は消費税法施行令58条の2にあります。自社の処理については、税理士または税務署にご確認ください。
個別の判断について
適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。
出典(一次情報)
- 国税庁 タックスアンサー No.6359 値引き、返品、割戻しなどを行った場合の税額の調整(売上げに係る対価の返還等)確認日 2026-10-08
- 国税庁 消費税法基本通達 第14章第1節第1款 売上げに係る対価の返還等の範囲(14-1-1〜14-1-8の2)確認日 2026-09-03
- e-Gov 法令検索 消費税法 第38条(売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除・2026年4月1日施行版 363AC0000000108_20260401_508AC0000000012)確認日 2026-09-03
- e-Gov 法令検索 消費税法施行令 第58条・第58条の2(売上げに係る対価の返還等の計算の特例・帳簿の記載事項等・2026年9月1日施行版 363CO0000000360_20260901_508CO0000000096)確認日 2026-09-03
法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。