令和8年度税制改正に対応

年の途中で課税事業者になった年は、2年後の基準期間の計算で前半と後半に割れます(インボイスQ&A問8-2)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

適格請求書発行事業者になったことにより年の途中から課税事業者となった場合、その年を基準期間として使う年分の申告では、基準期間における課税売上高に、免税事業者であった期間の課税売上高も含めて計算します。国税庁のインボイス制度に関するQ&A問8-2【令和6年4月追加】が「当該個人事業者が免税事業者であった期間(令和X年1月から9月)の課税売上高を含む金額で計算することとなります(消法9②一、基通1-4-5)」と答えています。そのうえで同問は「その免税事業者であった期間に係る課税売上高について税抜処理は行わず、その売上げ(非課税売上げ等を除きます。)がそのまま課税売上高となります」としています。国税庁が示した計算例は、令和X年1月から9月の課税売上高5,500,000円と、10月から12月の課税売上高4,400,000円について、5,500,000円+4,400,000円×100/110=9,500,000円です。前半はそのまま、後半だけを税抜きにする形です。1つの課税期間を通して同じ扱いをするのではない点に注意が要ります。この計算は消費税法9条2項1号と消費税法基本通達1-4-5を根拠としており、特定の年の登録者に限った経過的な取扱いではありません。自社の基準期間における課税売上高の計算と納税義務の判定は、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • インボイスの登録により年の途中から課税事業者になると、1つの課税期間の中に免税だった期間と課税事業者だった期間が同居する。納税義務の免除を外しているのは登録開始日から課税期間の末日までの期間であり、課税期間の全体ではない(平成28年改正法附則44条4項・e-Gov原文・確認日2026-09-21)。
  • その年を基準期間として使うとき、免税だった期間の課税売上高も含める。国税庁インボイスQ&A問8-2が根拠条文を消費税法9条2項1号・消費税法基本通達1-4-5と明示している(確認日2026-09-21)。
  • 免税だった期間の課税売上高について税抜処理は行わない。国税庁の計算例は5,500,000円+4,400,000円×100/110=9,500,000円で、前半はそのまま、後半だけを100/110で税抜きにしている。
  • 同じ数字を、1つの課税期間を通して税込のまま合計すると9,900,000円、通して100/110で割り戻すと9,000,000円になる。当サイトが問8-2の計算例の数値で計算した結果である。受け取った金額が1,000万円前後の帯では、この差で納税義務の判定が入れ替わる範囲に入る。
  • 税抜処理をするかどうかの分かれ目は課税期間ではなく、一つ一つの課税資産の譲渡等である。消費税法28条1項が対価の額から除くとしているのは「当該課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額」であり、免税だった期間の譲渡等にはその消費税額がない(e-Gov原文・確認日2026-09-21)。
  • 法人でも同じ形である。国税庁の設例別の消費税申告書の計算・記載方法の設例6は、12月決算の法人が10月1日に登録した場合について、免税だった期間と課税事業者だった期間を分けて課税売上高を計算している(確認日2026-09-21)。
  • 基準期間が1年でない法人は、消費税法9条2項2号により、控除した残額を基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じる。返還等を引いてから年換算する順序である(e-Gov原文・確認日2026-09-21)。

インボイスの登録をした年は、1年の途中から課税事業者になります。その年の前半は免税事業者、後半は課税事業者です。

問題が起きるのは、その2年後です。消費税の納税義務は基準期間(個人事業者なら前々年)の課税売上高で判定しますから、割れたその年を、基準期間として使う番が回ってきます。

このとき、免税だった前半の売上げをどう扱うかで答えが変わります。国税庁はこれについて、根拠条文つきの答えを1つだけ出しています。

この記事は、2026年9月21日に国税庁のPDF原本とe-Gov法令検索から取得した内容で整理します。

なぜ1つの年が2つに割れるのか

条文から確認します。平成28年改正法附則44条4項です(e-Gov法令検索・2026年10月1日施行版・確認日2026年9月21日)。

…新消費税法第五十七条の二第二項の申請書を提出した事業者(…)の当該登録開始日の属する課税期間(…)のうち当該登録開始日から当該課税期間の末日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税法第九条第一項本文の規定は、適用しない。

納税義務の免除を外しているのは、「登録開始日から課税期間の末日まで」という期間だけです。

課税期間そのものが2つに区切られるわけではありません。1つの課税期間の中に、免税だった期間と課税事業者だった期間が同居する形になります。

なお条文の主語は「事業者」で、個人事業者に限られていません。この点は後ろで扱います。

国税庁の答え — 含める。ただし前半は税抜処理をしない

インボイス制度に関するQ&A 問8-2【令和6年4月追加】です。表題は「課税期間の中途から課税事業者となった場合の基準期間における課税売上高」。原文を引きます。

適格請求書発行事業者になったことにより、令和X年 10 月1日から課税事業者となった個人事業者が、令和X+2年分の消費税の確定申告を行うに当たり、その基準期間は令和X年となりますが、この場合の基準期間における課税売上高(税抜)は、当該個人事業者が免税事業者であった期間(令和X年1月から9月)の課税売上高を含む金額で計算することとなります(消法9②一、基通1-4-5)。 また、その免税事業者であった期間に係る課税売上高について税抜処理は行わず、その売上げ(非課税売上げ等を除きます。)がそのまま課税売上高となりますので、以下の例のとおり計算することとなります。

答えは2段です。

  1. 含める。免税だった1月から9月も、基準期間の課税売上高に入ります。
  2. ただし、その期間は税抜処理をしない。受け取った金額が、そのまま課税売上高になります。

国税庁が示した計算例

同じ問8-2の【計算例】です。適用税率はすべて10パーセントという前提が付いています。

期間課税売上高扱い
①令和X年1月〜9月5,500,000円そのまま計算
②令和X年10月〜12月4,400,000円税抜処理
⇒ ① 5,500,000 円 + ② 4,400,000 円×100/110 = 9,500,000 円

前半はそのまま、後半だけを100/110で税抜きにしています。「そのまま計算」「税抜処理」という注記は原本に印刷されているものです。

同じ数字でも、揃えて計算すると金額が変わります

当サイトが問8-2の計算例の数値を使って計算した結果を並べます。

計算のしかた結果国税庁の計算例との差
期間ごとに分ける(①そのまま+②×100/110)9,500,000円— (問8-2の計算例と一致)
1年を通して税込のまま合計する9,900,000円+400,000円
1年を通して100/110で割り戻す9,000,000円−500,000円

差は40万円と50万円です。

消費税法9条1項本文は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者について納税義務を免除すると定めています。受け取った金額がこの水準の近くにある場合、どの計算をしたかによって、課税事業者になるかどうかの結論が入れ替わる範囲に入ります。

売上高の記録を「その年の合計」という1つの数字だけで持っていると、この分け方ができません。登録開始日の前と後で、金額を分けて把握しておく必要があります。

ご自身の金額がどの結果になるか、また納税義務の判定については、税理士または税務署にご確認ください。

なぜ前半と後半で扱いが変わるのか(条文の構造)

特別なルールが新しくできたわけではありません。問8-2が根拠として挙げているのは消費税法9条2項1号と消費税法基本通達1-4-5の2つだけです。

消費税法9条2項1号(e-Gov法令検索・確認日2026年9月21日・原文):

基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項、次条第二項、第十一条第四項及び第十二条の三第一項において同じ。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額…を控除した残額

その消費税法28条1項が、対価の額をこう定義しています。

課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭…の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。…)

除く対象は「当該課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額」です。「その課税期間に課されるべき消費税額」とは書かれていません。

つまり判断の単位は、課税期間ではなく、一つ一つの課税資産の譲渡等です。

  • 免税だった期間に行った譲渡等には、課されるべき消費税額がありません。除く額がゼロなので、受け取った全額がそのまま入ります。
  • 課税事業者だった期間に行った譲渡等には、課されるべき消費税額があります。そこだけ税抜きになります。

消費税法基本通達1-4-5(国税庁・確認日2026年9月21日・原文)が、前半についてこう書いています。

基準期間である課税期間において免税事業者であった事業者が、当該基準期間である課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等については消費税等が課されていない。したがって、…免税事業者であった基準期間である課税期間中に当該事業者が国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、又は収受すべき金銭等の全額が当該事業者のその基準期間における課税売上高となることに留意する。

「消費税等が課されていない。したがって」という運びです。既にある条文を取引単位で当てはめると、結果として割れるという構造になっています。

法人でも同じ形です

平成28年改正法附則44条4項の主語は「事業者」で、個人事業者に限定されていません。また消費税法9条2項1号の対象は「個人事業者及び基準期間が一年である法人」です。基準期間が1年の法人は、個人事業者と同じ号で計算します。

国税庁の設例別の消費税申告書の計算・記載方法の設例6「本則課税(課税期間の中途で免税事業者から課税事業者となる場合)」が、法人の例を示しています。12月決算の法人が10月1日に登録した設例です。その※注記を引きます(PDF原本5ページ・確認日2026年9月21日)。

※ 控除対象仕入税額の計算における「課税売上高5億円超」の判定における課税売上高及びこの課税期間を基準期間とする際の基準期間における課税売上高は、免税事業者である期間の課税売上高を含むことに留意が必要です。   なお、免税事業者である期間の課税売上高につき、税抜処理は行いません。

基準期間における課税売上高について、名指しで同じことが書かれています。

なお、この設例で計算されている本体は仕入税額控除の5億円超の判定のほうです。基準期間の話は上の※注記で触れられています。

基準期間が1年でない法人の順序

決算期の変更などで基準期間が1年でない法人は、消費税法9条2項2号です(e-Gov法令検索・確認日2026年9月21日・原文)。

基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額

順序は「返還等を引く → 月数で割る → 12を掛ける」です。年換算してから返還等を引くのではありません。

第2号の「対価の額」も、第1号の括弧書きが「以下この項」と定義しているため、同じ消費税法28条1項の対価の額です。したがって前半と後半で分ける考え方は、第2号の法人にも入口で効きます。

ただし当サイトが確認した範囲では、基準期間が1年でない法人についての国税庁の設例は見当たりませんでした(確認日2026年9月21日)。この型の計算は、税理士または税務署にご確認ください。

検索で先に見つかる資料には、根拠条文が書かれていません

同じ内容が、国税庁の資料の3か所にあります。ただし書き方が違います。

どこ年の書き方根拠条文の記載
インボイスQ&A 問8-2令和X年10月1日あり(消法9②一、基通1-4-5)
多く寄せられるご質問 問㉒令和5年10月1日なし
確定申告書等作成コーナー よくある質問 注2令和5年10月1日なし

後ろの2つだけを読むと、令和5年10月に登録した人向けの経過的な取扱いのように見えます。

しかしQ&A本体は年を「令和X年」という伏せ字で書いており、根拠として挙げているのは登録の年を限定しない条文と通達です。

なお、作成コーナーのよくある質問には注1もあります。そちらは「令和5年が免税事業者の場合」という、1年まるごと免税だった場合の話です。注1(まるごと)と注2(割れる)は別の話で、注1だけを読むと割れる場合の扱いに辿り着きません。

この記事のまとめ

  • インボイスの登録で年の途中から課税事業者になると、1つの課税期間の中に免税だった期間と課税事業者だった期間が同居します(平成28年改正法附則44条4項)。
  • その年を基準期間として使うとき、免税だった期間の課税売上高も含めます(インボイスQ&A問8-2・消費税法9条2項1号・消費税法基本通達1-4-5)。
  • 免税だった期間については税抜処理をしません。国税庁の計算例は 5,500,000円+4,400,000円×100/110=9,500,000円 です。
  • 同じ数字を1年通して税込のまま足すと9,900,000円、通して割り戻すと9,000,000円で、1,000万円の判定に影響する範囲の差が出ます(当サイトによる計算)。
  • 分かれ目は一つ一つの課税資産の譲渡等にあります(消費税法28条1項)。
  • 法人でも同じ形です(設例6の※注記)。基準期間が1年でない法人は、返還等を引いた残額を月数で割って12を掛けます(消費税法9条2項2号)。

なお、免税だった期間に返品・値引きがあった場合の引き方については、当サイトの別記事([割れた課税期間に返品があるとき、引き方は前半と後半で変わります](/articles/warekata-kikan-henkan-hikikata/))で扱っています。

自社の基準期間における課税売上高の計算、納税義務の判定、申告書への記載については、税理士または税務署にご確認ください。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者うちは12月決算の会社で、令和X年の10月1日にインボイスの登録をして課税事業者になった。2年後の申告で基準期間の売上高を出すとき、その年は10月から12月の3か月分だけ見ればいいのか。

制度の事実国税庁のインボイスQ&A問8-2は、その点を正面から答えています。「この場合の基準期間における課税売上高(税抜)は、当該個人事業者が免税事業者であった期間(令和X年1月から9月)の課税売上高を含む金額で計算することとなります(消法9②一、基通1-4-5)」と書かれています。3か月分だけではなく、免税だった1月から9月も含めた12か月分が対象という答えです。条文の側でも、平成28年改正法附則44条4項が納税義務の免除を外しているのは「当該登録開始日から当該課税期間の末日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れ」であって、課税期間そのものを2つに分けているわけではありません。御社の基準期間の範囲と金額の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者含めるのは分かった。ではその1月から9月の売上げは、受け取った金額を110で割って100を掛ければいいのか。ほかの月と揃えないと変ではないか。

制度の事実国税庁は揃えない扱いを示しています。同じ問8-2に「その免税事業者であった期間に係る課税売上高について税抜処理は行わず、その売上げ(非課税売上げ等を除きます。)がそのまま課税売上高となりますので、以下の例のとおり計算することとなります」とあり、【計算例】は①1月から9月の5,500,000円と②10月から12月の4,400,000円について、①5,500,000円+②4,400,000円×100/110=9,500,000円としています。原本では①に「そのまま計算」、②に「税抜処理」と注記されています。消費税法基本通達1-4-5が、免税事業者であった課税期間の課税資産の譲渡等には消費税等が課されていないことを理由に、収受した金銭等の全額が課税売上高になるとしていることに対応した形です。御社の数字での当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。

経営者揃えるか揃えないかで、うちの判定が変わることはあるのか。売上げは年間1,000万円のあたりを行ったり来たりしている。

制度の事実金額の差は生じます。国税庁の計算例の数字をそのまま使うと、国税庁が示した計算では9,500,000円です。当サイトが同じ数字を別の方法で計算したところ、1年を通して税込のまま合計すると9,900,000円、1年を通して100/110で割り戻すと9,000,000円になりました。差の幅は400,000円と500,000円です。消費税法9条1項本文は、基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者について納税義務を免除すると定めていますので、金額がこの水準の近くにある場合、計算方法の違いが判定の結論に影響する範囲に入ります。御社がどの金額になるか、また納税義務の判定については、税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

令和X年10月1日に登録して課税事業者になりました。令和X+2年分の基準期間は令和X年ですが、1月から9月の売上げも入れるのですか。
国税庁のインボイスQ&A問8-2は「その基準期間は令和X年となりますが、この場合の基準期間における課税売上高(税抜)は、当該個人事業者が免税事業者であった期間(令和X年1月から9月)の課税売上高を含む金額で計算することとなります(消法9②一、基通1-4-5)」と答えています。含めるという答えです。ただし、その期間の金額をどう扱うかについては続きがあります。自社の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
免税だった1月から9月の売上げは、税抜きに直してから足すのですか。
国税庁のインボイスQ&A問8-2は「その免税事業者であった期間に係る課税売上高について税抜処理は行わず、その売上げ(非課税売上げ等を除きます。)がそのまま課税売上高となります」としています。消費税法基本通達1-4-5も「免税事業者であった基準期間である課税期間中に当該事業者が国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、又は収受すべき金銭等の全額が当該事業者のその基準期間における課税売上高となることに留意する」と定めています。個別の金額の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
国税庁が示している計算例の数字を教えてください。
インボイスQ&A問8-2の【計算例】は、適用税率をすべて10パーセントとして、①令和X年1月から9月の課税売上高5,500,000円、②令和X年10月から12月の課税売上高4,400,000円について、①5,500,000円+②4,400,000円×100/110=9,500,000円としています。原本には①に「そのまま計算」、②に「税抜処理」と注記が付いています。この計算例は令和6年4月に追加されたもので、年は令和X年という伏せ字で書かれています。
1つの課税期間なのに、なぜ前半と後半で扱いが変わるのですか。
消費税法9条2項1号は、基準期間における課税売上高を「課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう)」の合計額から計算するとしています。その消費税法28条1項は、対価の額について「当該課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする」と定めています。除く対象が「当該課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額」と書かれているため、判断の単位は課税期間ではなく一つ一つの譲渡等になります。免税だった期間に行った譲渡等には課されるべき消費税額がないため、除く額がありません。条文の読み方についての詳細は、税理士または税務署にご相談ください。
これは令和5年10月に登録した人だけの経過的な取扱いではないのですか。
インボイスQ&A問8-2は年を「令和X年」という伏せ字で書いており、根拠として消費税法9条2項1号と消費税法基本通達1-4-5を挙げています。いずれも登録の年を限定した規定ではありません。なお、確定申告書等作成コーナーのよくある質問「基準期間の課税売上高とは」の注2など、同じ内容を「令和5年10月1日」という具体的な年で説明している資料もあります。そちらには根拠条文の記載がありません。自社の年分についての当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
法人の場合も同じですか。
平成28年改正法附則44条4項の主語は「事業者」であり、個人事業者に限定されていません。また消費税法9条2項1号は「個人事業者及び基準期間が一年である法人」を対象としており、基準期間が1年の法人は個人事業者と同じ号で計算します。国税庁の設例別の消費税申告書の計算・記載方法の設例6は、12月決算の法人が課税期間の中途で免税事業者から課税事業者となった場合について、免税だった期間と課税事業者だった期間を分けて課税売上高を計算し、その※注記で「この課税期間を基準期間とする際の基準期間における課税売上高は、免税事業者である期間の課税売上高を含むことに留意が必要です。なお、免税事業者である期間の課税売上高につき、税抜処理は行いません」としています。自社の決算期での当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
基準期間が1年でない法人はどう計算しますか。
消費税法9条2項2号が「基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額」と定めています。返還等を控除した残額に対して年換算を行う順序です。年換算してから返還等を引くのではありません。なお、国税庁の設例別の消費税申告書の計算・記載方法の設例は12月決算の法人のもので、基準期間が1年でない法人の設例は当サイトが確認した範囲では見当たりませんでした(確認日2026-09-21)。個別の計算は、税理士または税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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