令和8年度税制改正に対応

仕入税額の計算方法は3つあります。積上げと割戻しの併用はできません(消費税法施行令46条・基本通達11-1-9)

最終確認日: (数値は一次情報で照合)

結論から

消費税法30条1項は、控除する「課税仕入れに係る消費税額」を、適格請求書または適格簡易請求書の記載事項を基礎として計算した金額その他の政令で定めるところにより計算した金額としています。その政令が消費税法施行令46条で、計算の方法が3つ置かれています。同条1項は、交付を受けた適格請求書等に記載されている消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額を合計し、100分の78を乗じる方法です。同条2項は、課税仕入れの都度、支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象は108分の8)を乗じた金額を帳簿に記載している場合に、その合計額に100分の78を乗じる方法で、条文は「前項の規定にかかわらず……することができる」と書いています。同条3項は、支払対価の額を税率ごとに区分して合計した金額に110分の7.8(軽減税率の対象は108分の6.24)を乗じる方法で、適用できるのは売上税額の計算について消費税法45条5項の適用を受けない事業者に限られ、かつ「前項の規定の適用を受ける場合を除き」という条件が付いています。消費税法基本通達11-1-9は、1項の方法を請求書等積上げ方式、2項の方法を帳簿積上げ方式、3項の方法を総額割戻し方式と呼び、請求書等積上げ方式または帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意するとしたうえで、注で請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能であるとしています。なお簡易課税制度・2割特例・3割特例を適用している課税期間では、この3つの方法は使いません。自社がどの方法を採れるか、帳簿の記載が2項の要件を満たしているかについては、税理士または税務署にご確認ください。

この記事の要点

  • 消費税法30条1項が控除する「課税仕入れに係る消費税額」を「政令で定めるところにより計算した金額」としており、その政令が消費税法施行令46条である(e-Gov原文・確認日2026-09-23)。
  • 消費税法施行令46条1項=請求書等積上げ方式。1号から6号の区分に応じた金額の合計額に100分の78を乗じる。1号は「当該適格請求書に記載されている同項第五号に掲げる消費税額等のうち当該課税仕入れに係る部分の金額」である(原文)。
  • 消費税法施行令46条2項=帳簿積上げ方式。「その課税仕入れの都度」支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象は108分の8)を乗じて算出した金額を消費税法30条7項の帳簿に記載している場合に、「前項の規定にかかわらず」その合計額に100分の78を乗じた金額とすることが「できる」(原文)。1円未満の端数は「切り捨て、又は四捨五入」で、切上げは条文に書かれていない。
  • 消費税法施行令46条3項=総額割戻し方式。適用できるのは売上税額の計算につき消費税法45条5項の適用を「受けない事業者」に限られ、さらに「前項の規定の適用を受ける場合を除き」という条件が付く(原文)。乗じる率は110分の7.8・108分の6.24で、1項・2項の100分の78とは形が違う。
  • 消費税法基本通達11-1-9は、この3つに請求書等積上げ方式・帳簿積上げ方式・総額割戻し方式という名前を与え、「請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する」としている。同通達の注は「請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である」としている(国税庁原文・確認日2026-09-23)。
  • タックスアンサーNo.6391は「割戻し計算により仕入税額を計算できるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます」と記載している([令和8年4月1日現在法令等]・確認日2026-09-23)。
  • 売上税額の側はルールが逆で、タックスアンサーNo.6383の注は「売上税額の計算は、取引先ごとに割戻し計算と積上げ計算を分けて適用するなど、併用することも認められます」としている(同確認日)。
  • 消費税法37条1項は、簡易課税制度の適用を受ける課税期間について「第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず」みなし仕入率による金額とすると定めている(e-Gov原文)。そのため簡易課税制度・2割特例・3割特例の課税期間には、施行令46条の3つの方法は出てこない。

本則課税で消費税を申告するとき、売上の消費税から差し引く「仕入の消費税」をどう計算するかは、法律ではなく政令に書かれています。

消費税法30条1項は、差し引く金額を次のように書いています(原文)。

当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る適格請求書……又は適格簡易請求書……の記載事項を基礎として計算した金額その他の政令で定めるところにより計算した金額をいう。……)

この「政令」が、消費税法施行令46条です。条文見出しは「課税仕入れに係る消費税額の計算」で、1項・2項・3項に、それぞれ別の計算方法が置かれています。

1項 — 適格請求書に書かれた消費税額を積み上げる

まず1項です。原文はこう始まります。

法第三十条第一項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる課税仕入れ……の区分に応じ当該各号に定める金額の合計額に百分の七十八を乗じて算出した金額とする。

1号から6号まで、課税仕入れの区分ごとに「何を足すか」が決まっています。1号は次のとおりです。

一 適格請求書……の交付を受けた課税仕入れ 当該適格請求書に記載されている同項第五号に掲げる消費税額等のうち当該課税仕入れに係る部分の金額

2号は適格簡易請求書、3号は電磁的記録の提供を受けた課税仕入れ、4号と5号は自分で作成する書類(仕入明細書など)、6号は49条1項1号イからニまでに掲げる課税仕入れ(帳簿のみの保存で控除できるもの)です。

6号だけは形が違います。書類に消費税額等が書かれていないため、支払対価の額から計算します。

六 ……課税仕入れに係る支払対価の額……に百十分の十(当該課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、百八分の八)を乗じて算出した金額(当該金額に一円未満の端数が生じたときは、当該端数を切り捨て、又は四捨五入した後の金額)

消費税法基本通達11-1-9は、この第1項の方法を請求書等積上げ方式と呼んでいます。

2項 — 帳簿に記録していれば、そこから積み上げられる

2項は、1項とは別の積み上げ方です。原文です。

事業者が、その課税期間に係る前項各号に掲げる課税仕入れについて、その課税仕入れの都度、課税仕入れに係る支払対価の額に百十分の十(……百八分の八)を乗じて算出した金額(当該金額に一円未満の端数が生じたときは、当該端数を切り捨て、又は四捨五入した後の金額)を法第三十条第七項に規定する帳簿に記載している場合には、前項の規定にかかわらず、当該金額を合計した金額に百分の七十八を乗じて算出した金額を、同条第一項に規定する課税仕入れに係る消費税額とすることができる。

読みどころが3つあります。

  • 「その課税仕入れの都度」という時点の条件が付いている
  • 「帳簿に記載している場合には」という保存・記録の条件が付いている
  • 文末は「することができる」であり、義務ではない

端数について条文が並べているのは、切捨てと四捨五入の2つだけです。切上げは書かれていません。

基本通達11-1-9は、この第2項の方法を帳簿積上げ方式と呼んでいます。

「課税仕入れの都度」の意味は、通達が広げている

「都度」と書いてあると、1件ずつ記帳しなければならないように読めます。ここは基本通達11-1-10が意義を示しています(原文)。

令第46条第2項……に規定する「その課税仕入れの都度、……法第30条第7項に規定する帳簿に記載している場合」には、例えば、課税仕入れに係る適格請求書その他の書類等の交付又は提供を受けた際に、これらの書類等を単位として帳簿に記載している場合のほか、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて交付又は提供を受けた適格請求書その他の書類等を単位として帳簿に記載している場合がこれに含まれる。

つまり「書類を単位として」記帳していればよく、1か月分がまとめて届く請求書であっても、その書類を単位として記帳している場合が含まれる、という書き方です。

国税庁タックスアンサー No.6391 は、これに加えて次のようにも記載しています。

なお、帳簿積上げ計算において計上する仮払消費税額等については、受領した適格請求書ではない納品書または請求書を単位として計上することや継続的に買手の支払基準といった合理的な基準による単位により計上することでも差し支えありません。

3項 — 総額割戻しには、条件が2つ付いている

3項が、支払総額から割り戻す方法です。原文を、条件の部分に印を付けて引きます。

その課税期間に係る法第四十五条第一項第二号に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第五項の規定の適用を受けない事業者は、第一項の規定にかかわらず、前項の規定の適用を受ける場合を除き、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れのうち第一項各号に掲げるものに係る課税仕入れに係る支払対価の額を税率の異なるごとに区分して合計した金額に、……百十分の七・八を、軽減対象課税資産の譲渡等に係る部分については百八分の六・二四をそれぞれ乗じて算出した金額の合計額を、……課税仕入れに係る消費税額とすることができる。

条件は2つです。

#条文の言葉意味
1同条第五項の規定の適用を受けない事業者は消費税法45条5項=売上税額の積上げ計算。売上を積上げにしている事業者は対象から外れる
2前項の規定の適用を受ける場合を除き帳簿積上げ方式を使う場合は除かれる

乗じる率にも注意点があります。1項・2項は100分の78でしたが、3項は110分の7.8と108分の6.24です。掛ける相手が違う(消費税額等か、支払対価の総額か)ため、式の形が変わります。

タックスアンサー No.6391 も、条件1を次のように書いています。

なお、割戻し計算により仕入税額を計算できるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます。

併用できる組み合わせは、通達が1文で書いている

3つの方法の関係は、消費税法基本通達11-1-9 がまとめています。原文です。

その課税期間に係る法第45条第1項第2号……に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項……の規定の適用を受ける場合には、法第30条第1項……に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第46条第1項……に規定する計算の方法(以下11-1-9において「請求書等積上げ方式」という。)又は同条第2項……に規定する計算の方法(以下11-1-10までにおいて「帳簿積上げ方式」という。)によることとなることに留意する。 また、……同条第5項の規定の適用を受けない場合には、……請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式のほか、令第46条第3項……に規定する計算の方法(以下11-1-9において「総額割戻し方式」という。)によることもできるのであるが、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。 (注) 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。

表にすると次のようになります。

組み合わせ可否根拠
請求書等積上げ方式 + 帳簿積上げ方式できる基本通達11-1-9 (注)
請求書等積上げ方式 + 総額割戻し方式できない基本通達11-1-9 本文
帳簿積上げ方式 + 総額割戻し方式できない基本通達11-1-9 本文・施行令46条3項「前項の規定の適用を受ける場合を除き」

売上側とは、ルールが逆になっています

売上税額の側は、併用が認められています。タックスアンサー No.6383 の注です。

(注)売上税額の計算は、取引先ごとに割戻し計算と積上げ計算を分けて適用するなど、併用することも認められます。

一方、仕入税額の側は、積上げと割戻しの併用ができません。同じ「併用」という言葉でも、売上と仕入で向きが逆になっています。

さらに、売上側の選択が仕入側に及びます。施行令46条3項が、総額割戻し方式を使える事業者を「売上税額について45条5項の適用を受けない事業者」に限っているためです。売上税額をどちらで計算するかの詳細は、[売上税額の計算には2つの方式があります](/articles/uriage-zeigaku-warimodoshi-tsumiage/)で扱っています。

簡易課税・2割特例・3割特例では、この3つは出てきません

ここまでは本則課税の話です。

消費税法37条1項は、簡易課税制度の適用を受ける課税期間について次のように定めています。

……第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする。

施行令46条は消費税法30条1項を受けた政令ですので、「これらの規定にかかわらず」と書かれた時点で、簡易課税制度の課税期間には登場しません。控除税額は、売上税額にみなし仕入率を乗じて計算します。

2割特例は平成28年改正法附則51条の2第2項、3割特例は同附則51条の3第2項が、いずれも売上税額の側に割合(80%・70%)を乗じる形で控除税額を定めています。こちらも施行令46条の3つの方法は使いません。

2割特例や3割特例が終わって本則課税で申告する課税期間になったときに、この3つの方法の選択が関係してきます。

確認しておきたいこと

  • 自社の帳簿の記載が、施行令46条2項の「その課税仕入れの都度……記載している場合」に当たるか
  • 売上税額を積上げで計算しているか(計算していれば、仕入側で総額割戻し方式は使えません)
  • 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式を併せて使う場合の、集計の区分

いずれも自社の帳簿・請求書の保存状況によって当てはめが変わります。個別の判断は、税理士または税務署にご確認ください。

この記事のまとめ

  • 仕入税額の計算方法は消費税法施行令46条に3つある。1項=請求書等積上げ方式、2項=帳簿積上げ方式、3項=総額割戻し方式(名前は消費税法基本通達11-1-9)。
  • 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式の併用は可能(同通達 注)。積上げ方式と総額割戻し方式の併用はできない(同通達 本文)。
  • 総額割戻し方式には条件が2つ。売上税額について消費税法45条5項の適用を受けない事業者であること、帳簿積上げ方式の適用を受ける場合を除くこと。
  • 端数処理として条文が並べているのは切捨てと四捨五入の2つで、切上げは書かれていない。
  • 簡易課税制度・2割特例・3割特例の課税期間には、この3つの方法は出てこない(消費税法37条1項「これらの規定にかかわらず」)。

経営者の疑問と、制度の事実

答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。

経営者うちは請求書に書いてある消費税額を足して仕入の消費税を出している。やり方はこれ一つだと思っていたが、ほかにもあるのか。

制度の事実消費税法施行令46条には3つの計算方法が置かれています。1項が、交付を受けた適格請求書等に記載されている消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額を合計し100分の78を乗じる方法で、消費税法基本通達11-1-9はこれを請求書等積上げ方式と呼んでいます。2項は、課税仕入れの都度、支払対価の額に110分の10(軽減税率の対象は108分の8)を乗じた金額を帳簿に記載している場合の方法で、帳簿積上げ方式と呼ばれます。3項は、支払対価の額を税率ごとに合計してから110分の7.8・108分の6.24を乗じる方法で、総額割戻し方式と呼ばれます。どの方法が自社の帳簿・請求書の保存状況に当てはまるかについては、税理士または税務署にご確認ください。

経営者帳簿から積み上げる方法と、まとめて割り戻す方法を、科目によって使い分けてもいいのか。

制度の事実消費税法基本通達11-1-9は「請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。」としています。一方、同通達の注は「請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。」としています。条文の側でも、施行令46条3項が「前項の規定の適用を受ける場合を除き」として帳簿積上げ方式を使う場合を除いています。自社でどの組み合わせを採ることになるかについては、税理士または税務署にご相談ください。

経営者売上のほうは割戻しと積上げを混ぜてよいと聞いた。仕入も同じではないのか。

制度の事実国税庁タックスアンサーNo.6383は、売上税額について注で「売上税額の計算は、取引先ごとに割戻し計算と積上げ計算を分けて適用するなど、併用することも認められます」と記載しています。仕入税額については、消費税法基本通達11-1-9が積上げ方式と総額割戻し方式の併用はできないとしています。また施行令46条3項は、総額割戻し方式を使える事業者を、売上税額の計算につき消費税法45条5項の適用を受けない事業者に限っています。売上側の選択が仕入側の選択に及ぶ形になりますので、自社の申告については税理士または税務署にご確認ください。

よくある質問

仕入税額の計算方法は、どこに書かれているのですか。
消費税法30条1項が、控除する「課税仕入れに係る消費税額」について「当該課税仕入れに係る適格請求書……又は適格簡易請求書……の記載事項を基礎として計算した金額その他の政令で定めるところにより計算した金額をいう」と定め、政令に委ねています。その政令が消費税法施行令46条で、条文見出しは「課税仕入れに係る消費税額の計算」です。1項・2項・3項にそれぞれ別の計算方法が置かれています。自社の計算については、税理士または税務署にご確認ください。
3つの方法を、条文の言葉で教えてください。
1項は「次の各号に掲げる課税仕入れ……の区分に応じ当該各号に定める金額の合計額に百分の七十八を乗じて算出した金額とする」です。1号は適格請求書の交付を受けた課税仕入れについて「当該適格請求書に記載されている同項第五号に掲げる消費税額等のうち当該課税仕入れに係る部分の金額」としています。2項は「その課税仕入れの都度、課税仕入れに係る支払対価の額に百十分の十(当該課税仕入れが他の者から受けた軽減対象課税資産の譲渡等に係るものである場合には、百八分の八)を乗じて算出した金額……を法第三十条第七項に規定する帳簿に記載している場合には、前項の規定にかかわらず、当該金額を合計した金額に百分の七十八を乗じて算出した金額を……とすることができる」です。3項は「同条第五項の規定の適用を受けない事業者は、第一項の規定にかかわらず、前項の規定の適用を受ける場合を除き、当該課税期間中に国内において行つた課税仕入れのうち第一項各号に掲げるものに係る課税仕入れに係る支払対価の額を税率の異なるごとに区分して合計した金額に……百十分の七・八を、軽減対象課税資産の譲渡等に係る部分については百八分の六・二四をそれぞれ乗じて算出した金額の合計額を……とすることができる」です(e-Gov原文・確認日2026-09-23)。
併用の可否は、どの資料に書かれていますか。
消費税法基本通達11-1-9です。原文は「請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。」とし、その直後の注で「請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。」としています。つまり積上げ同士は併用でき、積上げと割戻しは併用できないという形です。自社の帳簿と請求書の状況にどう当てはまるかは、税理士または税務署にご相談ください。
総額割戻し方式には条件があるのですか。
消費税法施行令46条3項の条文には、2つの限定が書かれています。1つは対象者で、「その課税期間に係る法第四十五条第一項第二号に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第五項の規定の適用を受けない事業者」とされています。消費税法45条5項は売上税額の積上げ計算の規定です。もう1つは「前項の規定の適用を受ける場合を除き」で、帳簿積上げ方式を使う場合が除かれています。タックスアンサーNo.6391も「割戻し計算により仕入税額を計算できるのは、売上税額を割戻し計算している場合に限られます」と記載しています(確認日2026-09-23)。
「課税仕入れの都度」とは、1件ずつという意味ですか。
消費税法基本通達11-1-10が意義を示しています。原文は「例えば、課税仕入れに係る適格請求書その他の書類等の交付又は提供を受けた際に、これらの書類等を単位として帳簿に記載している場合のほか、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて交付又は提供を受けた適格請求書その他の書類等を単位として帳簿に記載している場合がこれに含まれる。」です。タックスアンサーNo.6391の注1は、これに加えて「受領した適格請求書ではない納品書または請求書を単位として計上することや継続的に買手の支払基準といった合理的な基準による単位により計上することでも差し支えありません」と記載しています。自社の帳簿の付け方が要件を満たしているかは、税理士または税務署にご確認ください。
端数はどう処理するのですか。
消費税法施行令46条2項は、支払対価の額に110分の10または108分の8を乗じて算出した金額について「当該金額に一円未満の端数が生じたときは、当該端数を切り捨て、又は四捨五入した後の金額」と書いています。同条1項6号にも同じ括弧書きがあります。条文に並んでいるのは切捨てと四捨五入の2つで、切上げは書かれていません。個別の処理については、税理士または税務署にご相談ください。
簡易課税や2割特例を使っている場合も、この3つから選ぶのですか。
いいえ。消費税法37条1項は、簡易課税制度の適用を受ける課税期間について「第三十条から前条までの規定により課税標準額に対する消費税額から控除することができる課税仕入れ等の税額の合計額は、これらの規定にかかわらず、次に掲げる金額の合計額とする」と定めています。消費税法施行令46条は消費税法30条1項を受けた政令ですので、簡易課税制度の課税期間にはこの3つの方法は出てきません。2割特例は平成28年改正法附則51条の2第2項、3割特例は同附則51条の3第2項が、いずれも売上税額の側に割合を乗じる形で控除税額を定めています。どの制度を適用するかについては、税理士または税務署にご確認ください。

個別の判断について

適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。

出典(一次情報)

法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。

本ページは公表されている制度情報にもとづく解説と試算の補助であり、税務に関する助言ではありません。個別の判断は必ず税理士等の専門家にご確認ください(所轄の税務署でも確認できます)。

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