同じ短期前払費用でも、令和8年のインボイスの資料と2019年の税率の資料は答えが逆です(国税庁 問113-4 と 問7)
最終確認日: (数値は一次情報で照合)
国税庁 インボイスQ&A 問113-4【令和8年4月追加】は、3月決算法人が取引先との保守契約に基づき毎年1月にその年1年間分(1月から12月分)の保守料金を支払った上で短期前払費用として処理しており、その取引先が適格請求書発行事業者ではない場合について、「令和8年3月期の申告においては、1年間分の保守料金全額について仕入税額相当額の80%の割合により本経過措置の適用を受けることとして差し支えありません」と記載しています。他方、国税庁消費税室が2019年(平成31年)の税率引上げに際して公表した経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】問7は、3月決算法人が平成31年3月に1年分の保守料金を支払い、法人税基本通達2-2-14《短期の前払費用》および消費税法基本通達11-3-8を適用している事案について、旧税率8%適用分についてのみ仕入税額控除を行い、新税率10%適用分に係る消費税等相当額は仮払金として翌期に繰り越すと記載しています。同じ通達を適用した同じ形の事案で、2つの資料は逆の答えを示しています。2つの資料が決めているものが違い、インボイスの経過措置の割合については問113-3が「本経過措置の適用に当たって用いる割合は、適用しようとする課税仕入れの時期で判断することとなります」と記載しています。自社の年払いが短期前払費用の取扱いの適用を受けているか、またどの割合で計算することになるかは、税理士または税務署にご確認ください。
この記事の要点
- 国税庁 インボイスQ&A 問113-4【令和8年4月追加】は、短期前払費用として処理した1年分の保守料金について「1年間分の保守料金全額について仕入税額相当額の80%の割合により本経過措置の適用を受けることとして差し支えありません」と記載している。国税庁の語は「差し支えありません」である。
- 2019年の経過措置Q&A【具体的事例編】問7は、ほぼ同じ形の事案について、旧税率8%適用分のみ仕入税額控除を行い、新税率10%適用分は仮払金として翌期に繰り越すと記載している。
- 2つの事案は、3月決算法人・1年分の保守料金・短期前払費用の取扱い・施行日をまたぐという点まで同じ形である。適用されている通達も同じ消費税法基本通達11-3-8である。
- インボイスの経過措置の割合について、問113-3は「本経過措置の適用に当たって用いる割合は、適用しようとする課税仕入れの時期で判断することとなります」と記載している。課税仕入れの時期は通達で決まるため、11-3-8により支出した日の属する課税期間になる。
- 2019年の税率の側には、問7に注が付されている。「31年新消費税法の規定は、31年施行日以後の課税資産の譲渡等に適用されるものであることから、31年施行日前の課税期間に係る消費税の申告においては、新税率による申告ができないため」と記載されている。
- 同じ2019年の資料の問5(未成工事支出金)・問6(建設仮勘定)も同じ向きである。消費税法基本通達11-3-5・11-3-6により後の課税期間の課税仕入れとする場合であっても「当該課税仕入れは31年施行日前に行ったものであることから、旧税率(8%)により、仕入税額控除の計算を行うこととなります」と記載されている。
- 不動産の賃貸料についても、2019年の資料の問4は、9月分の賃貸料を10月に受領する場合について「支払期日を10月としている場合であっても、9月末日における税率(8%)が適用されます」と記載している。
- インボイスの経過措置を扱うQ&AのⅣ-5の章に収録されている問は問113から問117-3までの13問であり、2026年10月11日に原本を確認した時点で、この章に家賃・賃貸・貸付けを題材とした設例は含まれていない。ただし章の外には在る。賃貸借の使用料等について境目が月の中途に落ちた場合を扱った問77-2は「Ⅲ4 適格請求書の記載事項」の章に収録されており、「日割計算などは行わず、全額を課税売上げとして」と記載している(その境目は登録日であり、80%から70%への切り替えの日ではない)。
- 問113-4は、経過措置の適用を受けた短期前払費用の金額が契約変更等により変動した場合について、「当初の申告時に当該経過措置の適用を受けた割合(ご質問の場合 80%)により加算又は減算することとなります」と記載している。
毎年同じ時期に1年分をまとめて払っている費用があり、その相手がインボイスを出せない事業者である。この組み合わせについて、国税庁は令和8年4月に設例を1つ追加しました。
そして、その答えは2019年に同じ形の事案に出された答えとは逆を向いています。
結論から書きます。2つの資料は、それぞれ別のものについて書かれたものです。同じ通達を引いていても、答えが同じになるとは限りません。
令和8年の資料 —— 1年分全額について80%の割合によることとして差し支えない
国税庁 インボイスQ&A の 問113-4【令和8年4月追加】が扱っているのは、次の事案です。
- 3月決算法人である
- 取引先との保守契約に基づき、毎年1月にその年1年間分(1月から12月分)の保守料金を支払っている
- それを短期前払費用として処理している
- その取引先は適格請求書発行事業者ではない
この法人が令和8年3月期の消費税の確定申告において、令和8年1月に支払う令和8年1月から12月分の保守料金の全額について、その仕入税額相当額の80%を仕入税額とみなして控除できる経過措置の適用を受けることができるか、という問いです。
答えの末尾は、次のとおりです。
ご質問のように、令和8年1月中に支払った令和8年分の保守料金について短期前払費用の取扱いを受けていることを踏まえ、令和8年3月期の申告においては、1年間分の保守料金全額について仕入税額相当額の80%の割合により本経過措置の適用を受けることとして差し支えありません。
国税庁が用いている語は「差し支えありません」です。「80%になります」という書き方ではありません。
なお、この取扱いの前提として、その前払費用が所得税基本通達37-30の2または法人税基本通達2-2-14《短期の前払費用》の取扱いの適用を受けていることが置かれています。年払いであれば自動的にこの話になるわけではありません。通達そのものの中身は「[短期前払費用として処理した前払いの課税仕入れの時期](/articles/tanki-maebarai-hiyo-shiire-jiki/)」で扱っています。
2019年の資料 —— 同じ形の事案で、分けて処理する
国税庁消費税室が平成30年10月に公表した資料のうち、平成31年10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&Aの【具体的事例編】です。その 問7 が扱っているのは、次の事案です。
- 3月決算法人である
- 平成31年3月に、平成31年4月から平成32年3月までの1年間の保守契約を締結し、同月中に1年分の保守料金を支払った
- 法人税基本通達2-2-14《短期の前払費用》を適用している
- 消費税についても消費税法基本通達11-3-8により、その支出した日の属する課税期間に行ったものとして取り扱うこととされている
- 契約期間が施行日(平成31年10月1日)をまたいでいる
3月決算法人・1年分の保守料金・短期前払費用・同じ通達・施行日またぎ。令和8年の問113-4と、形が同じです。
答えは、次のとおりです。
・ 平成31年4月から9月分までの保守料金(旧税率(8%)適用分)についてのみ、仕入税額控除を行い、
・ 平成31年10月から平成32年3月分までの保守料金(新税率(10%)適用分)に係る消費税等相当額については、仮払金として翌期に繰り越し、翌期の課税期間に係る消費税の申告において、新税率(10%)により、仕入税額控除を行うこととなります。
分けて、しかも後半は翌期に繰り越す。令和8年の資料が「1年間分全額について」としているのと、向きが逆です。
国税庁が、違いの理由として書いていること
どちらの資料も、自分が何を決めているかを本文に書いています。
割合の側 —— 課税仕入れの時期で判断する
インボイスの経過措置の割合について、問113-3【令和8年4月追加】に次の1文があります。
本経過措置の適用に当たって用いる割合は、適用しようとする課税仕入れの時期で判断することとなります。
割合は、課税仕入れの時期で決まります。そして課税仕入れの時期は通達で決まります。短期前払費用の取扱いの適用を受けている前払費用については、消費税法基本通達11-3-8により、課税仕入れの時期はその支出した日の属する課税期間です。
問113-4の事案では、支出した日は令和8年1月です。これは80%の期間(令和5年10月1日から令和8年9月30日まで)の中にあります。
税率の側 —— 施行日前の課税期間では新税率で申告できない
2019年の問7には、注が付されています。
(注) 31年新消費税法の規定は、31年施行日以後の課税資産の譲渡等に適用されるものであることから、31年施行日前の課税期間に係る消費税の申告においては、新税率による申告ができないため、照会の場合においては、上記の方法により消費税の申告を行うこととなります。
同じ2019年の資料の問5(未成工事支出金)・問6(建設仮勘定)も、同じ向きです。消費税法基本通達11-3-5・11-3-6により目的物の引渡しまたは完成した日の属する課税期間の課税仕入れ等とする場合であっても、次のとおりとしています。
当該課税仕入れは31年施行日前に行ったものであることから、旧税率(8%)により、仕入税額控除の計算を行うこととなります。
📌 2019年の税率の側では、通達による計上の時期ではなく、課税仕入れを実際に行った日が用いられています。割合の側は、問113-3のとおり課税仕入れの時期で判断します。同じ通達を引いていても、見ている日が違います。
家賃でも、同じことが起きています
2019年の資料の問4は、不動産賃貸の賃貸料を扱っています。当月分の賃貸料の支払期日を翌月としている契約で、平成31年9月分の賃貸料を平成31年10月に受領する場合について、次のとおりです。
照会②は、平成31年9月分の賃貸料であり、31年施行日前である平成31年9月分の資産の貸付けの対価として受領するものですから、支払期日を10月としている場合であっても、9月末日における税率(8%)が適用されます。
支払期日が10月でも、9月末日の税率。これも税率について書かれたものです。
一方、インボイスの経過措置を扱うQ&AのⅣ-5の章に収録されている問は、問113・113-2・113-3・113-4・114・114-2・115・115-2・116・116-2・117・117-2・117-3の13問です。2026年10月11日に原本を確認した時点で、この章に家賃・賃貸借を題材とした設例は含まれていません。
ただし、この章に無いことは、Q&A全体に無いことを意味しません。2026年10月13日に当サイトがQ&Aの全分冊(250ページ)を確認したところ、賃貸借の使用料等について制度の境目が月の中途に落ちた場合を扱った問が、別の章に収録されていました。問77-2【令和6年4月追加】【令和8年4月改訂】で、章は「Ⅲ4 適格請求書の記載事項」です。同問の注は次のとおりです。
(注) この場合、課税資産の譲渡等がその支払を受けるべき日に行われたこととなるため、その登録を受けた月分の使用料等については、適格請求書発行事業者の登録前の期間に係るものについて日割計算などは行わず、全額を課税売上げとして消費税の申告を行うこととなります。
⚠️ ただし問77-2の境目は「登録日」であり、80%から70%への切り替えの日ではありません。9月分の家賃を10月に払う場合の割合を国税庁が示したものではない、という点はご注意ください。同じ構造の境目について国税庁がどう処理しているかを示す記載として読めるにとどまります。この整理は「[令和8年9月30日をまたぐ対価は、期間で按分するのか](/articles/matagi-anbun-okonatta-hi-fukusu/)」で扱っています。賃貸料の課税仕入れの時期そのものの判定は「[令和8年9月30日をまたぐ取引は80%か70%か](/articles/matagi-torihiki-hantei/)」で扱っています。個別の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
あとで金額が変わったとき
問113-4は、末尾でもう1つのことに触れています。経過措置の適用を受けた短期前払費用の金額が契約変更等により変動した場合は、変動が生じた課税期間における課税仕入れに係る消費税額に加算または減算することとなるとしたうえで、次のとおりです。
この場合、当初の申告時に当該経過措置の適用を受けた割合(ご質問の場合 80%)により加算又は減算することとなります。
変動後の課税期間の割合ではなく、当初の申告時に用いた割合によります。
まとめ
| 2019年の資料(問7) | 令和8年の資料(問113-4) | |
|---|---|---|
| 決めているもの | 取引に適用される税率 | 経過措置の割合 |
| 事案 | 3月決算法人・1年分の保守料金・短期前払費用・施行日またぎ | 同じ |
| 引いている通達 | 消基通11-3-8 | 消基通11-3-8 |
| 答え | 8%適用分のみ控除し、10%適用分は仮払金として翌期へ繰越 | 1年間分全額について80%の割合によることとして差し支えない |
| 判定に用いる日 | 課税仕入れを実際に行った日 | 課税仕入れの時期(通達により支出した日の属する課税期間) |
自社の年払いが短期前払費用の取扱いの適用を受けているか、またどの割合で計算することになるかについては、税理士または税務署にご確認ください。
- 問113-4の語は「差し支えありません」である。「80%になります」ではない
- 前提は、その前払費用が所得税基本通達37-30の2または法人税基本通達2-2-14の取扱いの適用を受けていること
- 2019年の資料は税率について書かれたものであり、インボイスの経過措置の割合の判断にそのまま持ち込むと、同じ題材で逆の答えになる
- 家賃のまたぎについて、インボイスの経過措置の割合を示した国税庁の設例は、2026年10月11日時点でⅣ-5の章に収録されていない。ただし章の外には在る——賃貸借の使用料等の境目を扱った問77-2は「Ⅲ4 適格請求書の記載事項」の章にあり、「日割計算などは行わず、全額を」と記載している(その境目は登録日であり、80%から70%への切り替えの日ではない)
最終確認日: 2026年10月11日
経営者の疑問と、制度の事実
答えるのは制度の事実だけです。有利・不利は事業ごとの事情で変わるため、判断は税理士・税務署にご確認ください。
経営者うちは3月決算で、毎年1月に保守料金を1年分まとめて払っている。相手はインボイスを出せない業者だ。令和8年9月30日をまたぐ分は、分けて計算しないといけないのか。
制度の事実国税庁 インボイスQ&A 問113-4【令和8年4月追加】が、まさにその形の事案を扱っています。3月決算法人が毎年1月にその年1年間分(1月から12月分)の保守料金を支払った上で短期前払費用として処理しており、取引先が適格請求書発行事業者ではない場合について「令和8年3月期の申告においては、1年間分の保守料金全額について仕入税額相当額の80%の割合により本経過措置の適用を受けることとして差し支えありません」と記載しています。前提として、その前払費用が所得税基本通達37-30の2または法人税基本通達2-2-14《短期の前払費用》の取扱いの適用を受けていることが置かれています。御社の年払いがこの前提に当たるか、またこの問の事案と同じ形といえるかについては、税理士または税務署にご確認ください。
経営者2019年に8%から10%に上がったときは、顧問の先生に言われて期をまたいで分けた覚えがある。今回は分けなくていいというのは、どういうことなのか。
制度の事実2019年の経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】問7は、ほぼ同じ形の事案について、旧税率8%適用分についてのみ仕入税額控除を行い、新税率10%適用分に係る消費税等相当額は仮払金として翌期に繰り越すと記載しています。同じ消費税法基本通達11-3-8を適用した同じ形の事案で、2つの資料は逆の答えになっています。問7には注が付されており、「31年新消費税法の規定は、31年施行日以後の課税資産の譲渡等に適用されるものであることから、31年施行日前の課税期間に係る消費税の申告においては、新税率による申告ができないため」と記載されています。他方、インボイスの経過措置の割合については、問113-3が課税仕入れの時期で判断すると記載しています。2つの資料が決めているものが違うという関係です。御社の過去の処理と今回の処理の関係については、税理士または税務署にご確認ください。
経営者では、2019年のときの資料を見ながら今回の判断をするのは、まずいということか。
制度の事実2019年の資料の表題は「消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」であり、取引に適用される税率について書かれたものです。免税事業者等からの課税仕入れについて仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置(28年改正法附則52、53)の割合については、国税庁 インボイスQ&Aの問113から問117-3までが扱っています。実際に、短期前払費用という同じ題材について、2つの資料は逆の答えを示しています。どの資料が御社の取引のどの論点に当たるかの判断については、税理士または税務署にご確認ください。
よくある質問
- 短期前払費用として処理した1年分の保守料金は、令和8年9月30日をまたいでも全額80%になるのですか。
- 国税庁 インボイスQ&A 問113-4【令和8年4月追加】は、3月決算法人が毎年1月にその年1年間分(1月から12月分)の保守料金を支払った上で短期前払費用として処理しており、その取引先が適格請求書発行事業者ではない場合について「令和8年3月期の申告においては、1年間分の保守料金全額について仕入税額相当額の80%の割合により本経過措置の適用を受けることとして差し支えありません」と記載しています。国税庁が用いている語は「差し支えありません」です。また、この取扱いの前提は、その前払費用が所得税基本通達37-30の2または法人税基本通達2-2-14《短期の前払費用》の取扱いの適用を受けていることです。自社の年払いがその前提に当たるかどうか、またどの割合で計算することになるかは、税理士または税務署にご確認ください。
- 2019年に8%から10%になったときは、またぎの1年分を分けて処理しました。今回も同じですか。
- 2019年の経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】問7は、3月決算法人が平成31年3月に1年分の保守料金を支払い、法人税基本通達2-2-14と消費税法基本通達11-3-8を適用している事案について、平成31年4月から9月分までの保守料金(旧税率8%適用分)についてのみ仕入税額控除を行い、平成31年10月から平成32年3月分までの保守料金(新税率10%適用分)に係る消費税等相当額については仮払金として翌期に繰り越すと記載しています。一方、インボイスの経過措置の割合については、問113-4が1年間分全額について80%の割合によることとして差し支えないと記載しています。2つの資料は、それぞれ別のものについて書かれています。自社の処理については、税理士または税務署にご確認ください。
- どちらの資料を見ればよいのか分かりません。見分け方はありますか。
- 2019年の資料は、平成31年10月1日の税率引上げに際して、取引に適用される消費税の税率について書かれたものです。表題も「消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」です。一方、免税事業者等からの課税仕入れについて仕入税額相当額の一定割合を仕入税額とみなして控除できる経過措置(28年改正法附則52、53)の割合については、国税庁 インボイスQ&Aの問113から問117-3までが扱っています。割合の判定について、問113-3は「本経過措置の適用に当たって用いる割合は、適用しようとする課税仕入れの時期で判断することとなります」と記載しています。どちらの論点が自社の取引に関係するかについては、税理士または税務署にご確認ください。
- 未成工事支出金や建設仮勘定でも、同じことが起きているのですか。
- 2019年の資料の問5(未成工事支出金)および問6(建設仮勘定)は、消費税法基本通達11-3-5・11-3-6により目的物の引渡しまたは完成した日の属する課税期間の課税仕入れ等とする場合であっても「当該課税仕入れは31年施行日前に行ったものであることから、旧税率(8%)により、仕入税額控除の計算を行うこととなります」と記載しています。つまり2019年の税率の側では、通達による計上の時期ではなく、課税仕入れを実際に行った日が用いられています。これに対して問113-3は、インボイスの経過措置の割合は課税仕入れの時期で判断すると記載しています。未成工事支出金や建設仮勘定について国税庁がインボイスの経過措置の割合をどう当てはめるかを示した設例は、2026年10月11日に確認した時点でⅣ-5の章には収録されていません。自社の経理処理との関係は、税理士または税務署にご確認ください。
- 家賃についても国税庁の設例はありますか。
- インボイスの経過措置を扱うQ&AのⅣ-5の章に収録されている問は、問113・113-2・113-3・113-4・114・114-2・115・115-2・116・116-2・117・117-2・117-3の13問です。2026年10月11日に原本を確認した時点で、この章に家賃・賃貸借を題材とした設例は含まれていません。2019年の税率の資料には不動産賃貸の設例(問4)があり、9月分の賃貸料を10月に受領する場合について「支払期日を10月としている場合であっても、9月末日における税率(8%)が適用されます」と記載されています。ただしこれは税率について書かれたものです。なお、この章に無いことは、Q&A全体に無いことを意味しません。2026年10月13日にQ&Aの全分冊を確認したところ、賃貸借の使用料等について制度の境目が月の中途に落ちた場合を扱った問77-2が「Ⅲ4 適格請求書の記載事項」の章に収録されており、「課税資産の譲渡等がその支払を受けるべき日に行われたこととなるため、その登録を受けた月分の使用料等については、適格請求書発行事業者の登録前の期間に係るものについて日割計算などは行わず、全額を課税売上げとして消費税の申告を行うこととなります」と記載しています。ただし問77-2の境目は登録日であり、80%から70%への切り替えの日について書かれたものではありません。個別の当てはめは、税理士または税務署にご確認ください。
- あとで金額が変わったときはどうなりますか。
- 問113-4は、経過措置の適用を受けた短期前払費用の金額が契約変更等により変動した場合について、変動が生じた課税期間における課税仕入れに係る消費税額に加算または減算することとなるとし、その際は「当初の申告時に当該経過措置の適用を受けた割合(ご質問の場合 80%)により加算又は減算することとなります」と記載しています。変動後の課税期間の割合ではなく、当初の申告時に用いた割合によるという書き方です。実際の計算については、税理士または税務署にご確認ください。
個別の判断について
適用の可否や有利・不利は、事業区分・基準期間の課税売上高・過去の届出など個別の事情で変わります。実際の判断の前に、税理士等の専門家、または所轄の税務署にご相談ください。
出典(一次情報)
- 国税庁 インボイス Q&A 問113-4《短期前払費用に係る免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の適用》【令和8年4月追加】確認日 2026-10-11
- 国税庁 インボイス Q&A 問113-3《令和8年10月1日前後の取引に係る免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の適用》【令和8年4月追加】確認日 2026-10-11
- 国税庁消費税室 平成31年10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】(問4・問5・問6・問7)平成30年10月確認日 2026-10-11
- 国税庁 消費税法基本通達 第11章第3節 課税仕入れ等の時期(11-3-5・11-3-6・11-3-8)確認日 2026-10-11
- 国税庁 法人税基本通達 2-2-14《短期の前払費用》(第2款 販売費及び一般管理費等)確認日 2026-10-11
- 国税庁 インボイス Q&A(Ⅳ-5 経過措置・収録されている問の確認元)確認日 2026-10-11
- 国税庁 インボイス Q&A 問77-2《月の中途で適格請求書発行事業者となった場合の適格請求書等の交付方法》【令和6年4月追加】【令和8年4月改訂】(PDF原本)確認日 2026-10-13
法令・国税庁・省庁など公的機関の公表資料のみを参照しています(解説記事等の二次情報は使用していません)。